2026年5月25日
日経平均1,819円高の6万5,158円――「地政学リスクの解消」が誘発した6万5,000円突破の正体
ヒナコ
トシさん、本日の日経平均株価は前週末比1,819円12銭高の6万5,158円となり、ついに6万5,000円の大台を初突破して連日の史上最高値を更新しました!特にソフトバンクグループ(SBG)が7%超の上昇で7,000円台に乗せ、時価総額40兆円台で上場来高値を更新したと聞いて驚いています。米国とイランの戦闘終結が近いという観測が原油安を呼び、それがAI・半導体株への買いに広がる流れだそうですが、わずか3営業日で6万円割れから6万5,000円台まで未踏の領域へ突き抜けるなんて、市場では今、何が起きているのでしょうか?
トシ
これまでの相場を抑えつけていた最大の重石が外れ、市場が本来あるべき株価水準へ一気にジャンプアップした状態だと言える。ここでプロが評価している市場の構造を解説しよう。トランプ大統領が23日にイラン戦闘終結合意の大部分が完了したと発言したことで、ニューヨーク原油先物は時間外で1バレル90ドル台へと前週末比約6%急落した。原油安はインフレ懸念を後退させ、国内の長期金利を低下させる。金利が下がるとAI・半導体などのグロース株は計算上の割引率が改善し、機械的に割安と判定される。さらに、週明けのアジアで最初に開く日本市場に世界の資金が集中した結果、SBGが7%超急騰し、傘下の英アーム株高や出資先OpenAIの上場申請接近報道が重なって、AI関連株への買いが一気に加速した構図だ。
ヒナコ
原油安が金利低下を呼んで、それがAI株の評価を改善させる連鎖が起きたのですね。さらにSBGが保有するOpenAIの上場で巨額の利益が生まれるという話まで重なって、まるで複数の追い風が一斉に吹いている状態に見えます。ただ、わずか3営業日で5,000円も急騰している相場を見ていると、今すぐ買いに入らないと一生損をするのではないかと焦る気持ちが抑えられません。
トシ
ここでもう一段深い金融理論の話をしよう。今日の急騰には「リスクプレミアム圧縮」と「AI成長物語の再評価」という、性質の異なる2つの上昇エンジンが同時稼働している。一つ目のリスクプレミアム圧縮とは、地政学リスクや金利不安によって株価から差し引かれていた「不安代」が一気に剥がれ落ちる現象で、世界中の機関投資家が資金配分パラメータとして用いる最重要指標の一つだ。原油90ドル台への急落と長期金利低下によって、AI・半導体などのグロース株から不安代が剥がれた。二つ目のAI成長物語の再評価とは、SBGとOpenAIの関係が象徴的だ。OpenAIは未上場のため、SBG保有資産は計算上ディスカウントされていた。報道通り9月にも上場が実現し時価総額1兆ドル超に到達すれば、SBGが保有する13%分の価値は約20兆円規模となり、前期連結純利益約5兆円を大幅に上回る10兆円級の利益貢献が見込まれる――この巨大な数字が、SBG株の上場来高値更新と時価総額40兆円台到達を支えている。歴史を振り返れば、こうしたリスクプレミアム圧縮の急騰相場は何度も発生してきた。1991年湾岸戦争の停戦合意発表時、NYダウは1日で4.6%急騰し、その後数ヶ月で15%以上の上昇相場へつながった。一方で、停戦から3か月後にはイラク内戦の継続が再認識され、上昇相場は一旦調整に入った歴史もある。歴史が教えるのは「リスク解消の急騰は短期では爆発的だが、その後は実需が伴うかどうかで継続性が試される」という構造的事実だ。今日の6万5,000円突破は短期のリスクプレミアム圧縮なのか、それともAI成長物語が裏付ける本格上昇の出発点なのか。来週以降の決算発表、日銀政策、AI半導体の世界的設備投資計画、そしてOpenAI上場申請の進捗――これらのミクロ指標で答えが検証される。今この瞬間に必要なのは飛び乗りでも投げ売りでもなく、「リスクプレミアムが圧縮された後の新しい市場で、自分のポートフォリオが想定通りのリスク量に収まっているか」を点検する作業となる。

