Market Commentary

マーケット解説・相場コメンタリー【最新】

元・金融コンサルタント トシが、日々の相場動向を初心者にも分かりやすく読み解きます。

日経平均488円安の6万5,528円――半導体安でも半数が上がった理由

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は続落し、前週末比488円安の6万5,528円で取引を終えました。エヌビディアの決算を前にAI・半導体株は売られ、ソフトバンクグループやアドバンテスト、キオクシアも下落しています。でもプライム市場では5割強が値上がりしたそうです。指数の印象とはずいぶん違いますね。

トシ

トシ

今日は「AI・半導体が安い=日本株全体が弱い」と見ると、中身を取り違える。エヌビディアの決算を控え、AI・半導体には強気でも追加で買いにくい空気がある。前週末のプライム市場の売買代金も7兆9,134億円と、3カ月半ぶりに8兆円を下回った。ところが資金が市場から消えたわけではない。今日はプライムの5割強が値上がりし、任天堂やカプコンなどのコンテンツ株が上昇した。サンリオとの提携を発表したGENDAや、AI・半導体向け材料に関連するJX金属、住友金属鉱山にも買いが入っている。AIの次を探しているというより、AIの重要イベントを待つ間も、別の成長材料には資金が動いている。488円安の裏で起きていたのは、この物色の移動だ。

ヒナコ

ヒナコ

AI・半導体をいったん買わないからといって、株式市場からお金が逃げているわけではないんですね。こういう主役の入れ替わりは、相場ではよくあるのでしょうか。

トシ

トシ

相場では、一つのテーマが永遠に主役であり続けるわけではない。強く買われた分野に大きなイベントが近づけば、そこでいったん足を止め、その間に別の分野へ資金が回ることがある。これが循環物色だ。今日が分かりやすい。エヌビディアの決算を前にAI・半導体株は動きづらくなった。だからといって、投資家が日本株そのものから離れたわけでもない。日経平均が488円下げる一方、プライムでは5割強が上昇した。任天堂やカプコンといったコンテンツ株、AIを支える材料に関連する非鉄株にも買いが向かった。ここで興味深いのは、AIを見限って別のテーマへ乗り換えたという話ではないことだ。市場ではAI・半導体の中長期成長を評価する声が残っている。それでも今は決算と金利を見たい。その待ち時間に、別の成長先へ資金が動いている。指数だけを見ると続落だ。しかし中では、次に何を買うかを探す動きが止まっていない。主役が休んでいる日に脇役が動く。今日の488円安は、そんな相場の一面がよく見えた一日だった。

日経平均200円安の6万6,016円――好決算でも売られた理由

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ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は反落し、前日比200円安の6万6,016円で取引を終えました。一時は900円を超えて下げましたが、その後は下げ幅を縮めています。今日はファーストリテイリングや良品計画など小売株の下げが目立ちました。きっかけが米ウォルマートの急落というのは、日本株なのに意外です。

トシ

トシ

ウォルマートの株価が一時10%下げた理由を見ると、今日の日本株が分かりやすい。5〜7月期は売上高も1株利益も市場予想を上回った。それでも、売上高の7割弱を占める米国のスーパーマーケット事業で、既存店の売り上げ成長率が6年ぶりの低水準だったことを市場は嫌った。日本でも似た不安がある。4〜6月期の個人消費は弱く、7月のCPIは前年同月比1.8%上昇と6月の1.6%から伸びが拡大した。今日はファストリが一時5%安、良品計画4%安、アシックス6%安となった。しかもファストリの予想PERは45倍台、良品計画は33倍台で、小売業平均の25倍台を上回る。物価高で消費が鈍れば、期待の大きかった銘柄ほど業績への見方が厳しくなりやすい。今日は米国の一社の決算が、日本の消費株を見る目まで変えた一日だった。

ヒナコ

ヒナコ

ウォルマートは売上高も利益も予想を上回ったのに売られたんですね。決算は数字が良ければ株価も上がる、というほど単純ではないのでしょうか。

トシ

トシ

決算には面白いところがある。市場が見ているのは「何点だったか」だけではなく、その点数をどう取ったかだ。ウォルマートは売上高と1株利益で市場予想を上回った。それでも米国のスーパーマーケット事業の伸びが鈍ったことで、株価は一時10%下げた。今の利益が良くても、消費者の財布が細くなれば、その先の売り上げには不安が残る。市場はそこに反応した。その警戒が日本にも伝わったのが今日だ。日本でも個人消費には弱さがあり、その一方で物価の上昇は続いている。さらにファストリや良品計画は小売業平均より高いPERで評価されていた。期待が高い銘柄ほど、成長に疑問が出たときの反応も大きくなりやすい。日経平均は一時900円超安から200円安まで戻したので、終値だけなら小幅な反落に見える。ただ今日のニュースは200円安そのものではない。海の向こうのウォルマートが、日本の消費株にも「物価が上がるなかで、客はこれまで通り買い続けるのか」という疑問を持ち込んだことだ。決算を見るとき、最終的な数字だけでは見えないものがある。

日経平均890円高の6万6,216円――円高でも自動車株が上がった理由

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ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は3日ぶりに反発し、前日比890円37銭高の6万6,216円79銭で取引を終えました。日米の長期金利が低下し、これまで売られていた銘柄に買いが戻っています。意外だったのは自動車株です。今日は円高だったのに、トヨタや日産が大きく上がったんですね。

トシ

トシ

今日の890円高は、AI・半導体株が再び相場を引っ張ったわけではない。米財務省が国債の買い入れ消却を増やす計画を発表し、日米の長期金利が低下したことが反発のきっかけになった。前日まで週間で約3,400円下げ、業績とは関係なく機械的な売りに巻き込まれた銘柄も増えていたため、今日はそこへ買い戻しが入った。象徴的なのが自動車だ。為替は1ドル=158円台半ばと円高基調だったのに、トヨタは一時4.65%高、日産は6.99%高となった。好業績だったのに年初来安値まで売られていた建設株も上昇している。一方、AI・半導体はまちまちで、東京エレクトロンは下落した。今日の主役は「AI復活」ではなく、直前まで売られていた銘柄の見直しだった。

ヒナコ

ヒナコ

円高なら自動車株にはマイナス、と思っていました。それでも大きく上がったということは、相場では普段の関係が当てはまらない日もあるんですね。

トシ

トシ

一つ聞きたい。円高の日に自動車株が上がったら、それを「おかしい値動き」と呼べるのか。今日のトヨタや日産を見ると、そう単純ではないことが分かる。確かに自動車メーカーには円安が追い風になりやすい。ただ今日は、それとは別の材料が重なった。各社の想定為替レートよりはなお円安水準にあり、カナダ製自動車への関税引き下げ観測も出た。そして何より、前日までの下落で売り込まれていたところへ資金が戻った。株価は毎日、同じ材料に同じ重みを付けて動くわけではない。昨日まで売りの理由だったものより、今日は「下げすぎたのではないか」という見方が前に出ることもある。だから、為替だけを見て今日の自動車株を説明しようとすると話が合わなくなる。890円高でも、AI・半導体株への買いはまだまばらで、金利上昇への警戒も残っている。昨日までの不安が消えた反発ではない。今日の値動きから見えてくるのは、何でも買い直された相場ではなく、売られた銘柄の中から理由のあるものを拾い直す動きが始まったということだ。

日経平均2,134円安の6万5,326円――悪材料が一本につながった日

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は2日続落し、前日比2,134円31銭安の6万5,326円42銭で取引を終えました。昨日も1,759円下げたばかりですが、今日はAI・半導体株が軒並み売られ、2日間で4,000円近い下落です。金利だけでなく中東情勢や原油高も重なってきました。急に悪材料が増えたように感じます。

トシ

トシ

昨日との違いは、売られる理由が増えたことだ。18日の米市場でSOX指数が5%近く下げ、東京市場でも東京エレクトロン、キオクシア、アドバンテストなどAI・半導体株が崩れた。そこへ中東情勢が重なった。米国とイランの緊張緩和は見えず、米原油先物は1バレル85ドル台で高止まりしている。原油高が長引けば物価を押し上げ、個人消費を圧迫する懸念が強まる。実際、4〜6月期の個人消費は8四半期ぶりのマイナスで、小売業は今日で6日続落だ。さらに世界的な金利上昇はPERの高いAI・半導体株には重荷になる。昨日は金利高でも銀行株などに買いが残ったが、今日は半導体安、中東、原油、消費、金利という複数の材料が同時に投資家心理を冷やした。

ヒナコ

ヒナコ

昨日は「指数ほど中身は悪くない」と思えましたが、今日は少し様子が違いますね。これだけ悪材料が重なると、どこまで下がるのかが一番気になってしまいます。

トシ

トシ

『高値覚え、安値覚え』という格言がある。直近で見た高値や安値を基準にしてしまい、今の値段を冷静に見られなくなる心理への戒めだ。先週まで7万円が見えていたため、今日の6万5,326円は急に安くなったように映る。だが中長期で見れば、日経平均はまだ高値圏にいる。2日で4,000円近く下げたことと、割安になったことは同じではない。今日なら、下げ幅より悪材料のつながりを見る必要がある。AI・半導体株には米半導体株安と金利高、中東情勢には原油高、原油高の先には物価と個人消費への懸念がある。昨日まで別々だった不安が、今日は一本につながって見え始めた。ここからどこまで下がるかは、今日の素材だけでは決められない。見るべきなのは、今挙がっている悪材料がさらに悪化するのか、それとも一つずつ軽くなるのかだ。特に中東情勢と原油は、企業業績だけでは吸収しにくい外からの材料になる。7万円から見れば調整でも、より長い時間軸ではなお高値圏。その両方が同時に成り立つのが、今日の6万5,326円という値段だ。

日経平均1,759円安の6万7,460円――30年ぶりの金利水準で明暗

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ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は6営業日ぶりに反落し、前日比1,759円安の6万7,460円で取引を終えました。長期金利が一時2.945%と30年ぶりの高水準まで上がり、不動産やAI・半導体株が売られています。ただ、プライム市場では値上がり銘柄の方が多かったそうです。1,700円を超える下落なのに、少し不思議ですね。

トシ

トシ

今日は日経平均の1,759円安だけを見ると、相場全体が崩れたように見える。実際はかなり違う。長期金利が一時2.945%まで上がり、借入負担が意識された三菱地所、三井不動産、住友不動産がそろって年初来安値を付けた。高PERの太陽誘電は一時11%安、村田製作所は8%安となり、東京エレクトロンとアドバンテストだけでも日経平均を600円超押し下げた。一方で、プライム市場では5割が上昇し、値下がりは4割だった。銀行株には利ざや改善への期待から買いが入り、年初来高値を付ける地銀も相次いでいる。つまり今日は、金利上昇が市場全体を一方向に押し下げたのではない。借金の負担が重くなる業種、高いPERが意識される銘柄、金利上昇が収益改善につながる銀行で、反応がはっきり分かれた一日だ。

ヒナコ

ヒナコ

1,759円安と聞いて怖くなりましたが、半分の銘柄は上がっていたんですね。それなら今日は「日本株が急落した」とだけ考えると、中身を見誤りそうです。

トシ

トシ

今日の2.945%には「30年ぶり」という時間が付いている。30年間ほとんど経験しなかった金利水準が戻ってきたなら、株式市場で起きるのは単純な全面安とは限らない。金利が上がれば、不動産会社には借入コストという負担が増える。高PERの銘柄には割高感が意識されやすくなる。その一方、銀行には利ざや改善という追い風になる。同じ金利上昇でも、会社によって意味が逆になるからだ。今日の値動きは、それをかなり鮮明に映した。不動産大手は年初来安値、AI・半導体株は日経平均を大きく押し下げたのに、地銀では年初来高値が相次いだ。しかもプライム市場では値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回っている。ここ数日は7万円が見えるところまで指数が上がり、今日はそこから1,759円下げた。数字だけなら景色が一変したように感じる。ただ、企業の利益成長という材料が消えたわけではない。変わったのは、金利という条件だ。30年ぶりの金利水準が問い直しているのは、日本株全体の強さより、金利が上がっても利益を伸ばせる会社はどこかということだ。

日経平均506円高の6万9,220円――弱いGDPでも株価が上がった理由

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ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は5日続伸し、前週末比506円高の6万9,220円で取引を終えました。アドバンテストや東京エレクトロンが買われ、キオクシアも約3週間ぶりに6万円台を回復しています。一方で、4〜6月期の実質GDPは市場予想を下回りました。景気に弱さが見えるのに、株価はむしろ上がったんですね。

トシ

トシ

今日の相場は、半導体株の復調だけを見ていると半分しか分からない。キオクシアは6万円台を回復し、アドバンテストや東京エレクトロンも指数を押し上げた。4〜6月期決算も幅広い業種で上振れし、JPモルガン証券は26年末のTOPIX目標を4400から4600へ引き上げている。面白いのは、その一方で17日発表の4〜6月期実質GDPが前期比年率1.1%増と、市場予想の2.2%増を下回ったことだ。個人消費や設備投資など需要の弱さを意識させる数字だった。それでも株価は506円上がった。市場が見ているのは景気の強弱だけではないからだ。同じGDPでも名目では年率4.8%増、実額は687兆7,182億円まで膨らんでいる。今日は「景気が強いから株高」という単純な一日ではなかった。

ヒナコ

ヒナコ

実質GDPを見ると景気には少し不安が残るのに、名目GDPや企業業績を見ると違う景色になるんですね。どちらを見れば今の株高を理解しやすいのでしょうか。

トシ

トシ

実質と名目は、似た数字に見えて役割が違う。実質GDPは物価変動の影響を除くので、モノやサービスが実際にどれだけ増えたかを見る数字だ。名目GDPは、そのときの価格を含んだ経済の金額そのものを表す。だから物価が上がる局面では、実質の伸びが鈍くても名目の金額は大きくなりやすい。今日の相場が興味深いのは、この二つが同時に見えたことだ。実質GDPは市場予想を下回り、個人消費や設備投資には弱さが残った。一方、名目GDPは年率4.8%増で、企業業績も幅広い業種で上振れている。株式市場はこちらにも目を向けた。もちろん、物価が上がれば暮らしまで豊かになるという話ではない。実体経済の弱さと、企業収益や株価を支える名目の拡大は同時に起こりうる。記事にある「株高不況」という言葉が引っかかるのは、そのためだ。日経平均はあと780円ほどで7万円というところまで来た。ただ今日の506円高で面白いのは、大台までの距離よりも、弱いGDPを受けても株が崩れなかった理由の方だ。景気と株価は、いつも同じ方向を向いているわけではない。

日経平均405円高の6万8,713円――7万円に「何人で近づくか」

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は4日続伸し、前日比405円21銭高の6万8713円80銭で取引を終えました。午前は6万9600円台まで上げ、7万円台も視野に入ったそうです。アドバンテストは2日連続で上場来高値を更新し、一時8%高となりました。6月下旬に急落したのが同じ銘柄だったと思うと、この短期間での戻りに驚きます。

トシ

トシ

今日の上げの土台は米国だ。13日発表の7月の米卸売物価指数の伸びが市場予想に届かず、早期の利上げ観測が後退した。S&P500種株価指数は最高値を更新している。個別では材料が重なった。アドバンテストは野村証券が13日に目標株価を1万1800円引き上げて4万2400円としたことが効き、一時8%高の3万8730円を付けた。キオクシアは米サンディスクが投資家向け説明会で2028〜30年度にかけて売上高が年率10%台半ばから後半で伸び続けると説明したことを受け、約9%高まで急騰した。パナソニックホールディングスはAIデータセンター向け電池事業の成長性が評価され上場来高値を更新、ソニーグループも約5%高だ。さらにコナミグループや任天堂、バンダイナムコホールディングスといったコンテンツ株も買われ、プライムの約7割が値上がり。TOPIXは連日の最高値となった。

ヒナコ

ヒナコ

6月に急落した銘柄が最高値まで戻ったと聞くと、また同じことが起きないかと不安にもなります。今回の上昇は6月のときとは違うのでしょうか。

トシ

トシ

違いは数字ではっきり出ている。日経平均が最高値をつけた6月25日から8月13日までの騰落率を見ると、構成銘柄の8割が指数を上回った。ところが昨年末から6月25日までは、指数を上回った銘柄は2割弱しかなかった。同じ上昇に見えて、中身は逆だ。6月までは一部のAI・半導体が指数を引っ張り、大半の銘柄は置いていかれていた。今は幅広い銘柄が上がり、指数はその平均として付いてきている。この違いは、階段を上る人数の差だと考えると分かりやすい。数人が駆け上がる階段は、その数人が息切れした瞬間に止まる。6月下旬の急落がそれだった。大勢で上る階段は、誰かが休んでも列は進む。今日の相場でも、アドバンテストが最高値を更新する横で、コンテンツ株や電池事業が評価された銘柄が別々の理由で買われた。買う理由が一つに集中していないということだ。野村アセットマネジメントが6月より健全な上昇と評したのは、この構図を指している。7万円が近いかどうかより、そこに何人で近づいているかの方が、今は意味を持つ。

日経平均784円高の6万8,308円――「適温経済」はなぜ株価に良いのか

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は続伸し、前日比784円高の6万8308円で取引を終えました。上げ幅は一時1200円を超え、約1カ月ぶりに6万8000円台を回復しています。市場では「適温経済」という言葉が出ているそうですね。景気が良すぎず悪すぎない状態が株価に良い、という意味だと聞きましたが、なぜ中途半端な状態が歓迎されるのでしょうか。

トシ

トシ

株価が嫌うのは、両端だからだ。景気が過熱すれば物価が上がり、中央銀行が利上げに動く。逆に景気が冷えすぎれば企業の利益が減る。今週はその両方が同時に遠のいた。12日発表の7月の米消費者物価指数は前年同月比3.4%上昇と市場予想と一致し、6月の3.5%上昇から伸びが鈍化した。原油高の一服でインフレ懸念が和らいでいる。一方、先週の7月の米雇用統計は弱い内容だったが、景気後退を意識させるほどではなかった。この組み合わせでフェドウオッチでは9月に政策金利を据え置く確率が上昇した。金利の先高観が和らげば、評価の高い銘柄の割高感は薄れる。だから12日の米市場でナスダックとフィラデルフィア半導体株指数がそろって上昇し、今日の東京でもアドバンテストが一時7%高、キオクシアやイビデン、太陽誘電が買われた。国内の4〜6月期決算も一巡し、総じて良好だった。

ヒナコ

ヒナコ

物価も雇用も、ちょうど良いところに収まったということですね。それなら、しばらく安心して見ていられるのでしょうか。

トシ

トシ

適温という言葉には、もともと出典がある。イギリスの童話「3びきのくま」で、少女ゴルディロックスが熊の家に入り、熱すぎるおかゆでも冷たすぎるおかゆでもない、ちょうど良い一杯を選ぶ場面から来ている。市場がこの言葉を好んで使うのは、経済にも同じちょうど良さがあるからだ。ただ、童話にはあまり語られない結末がある。少女はそのあと熊たちに見つかり、家から逃げ出す。ちょうど良い状態は、長くは続かない。今日の相場に当てはめると、物価が想定内に収まり、雇用は弱いが深刻ではなく、決算は良好という三つが同時に成り立っている。三つのうち一つでも動けば、この均衡は崩れる。野村証券の集計では、業績予想の上方修正が下方修正を上回る度合いが今期基準で最高となり、利益の裏付けは厚くなっている。数字の面では悪くない。だが東京海上アセットマネジメントが、変動の大きい状況は続くとして積極的に買いに動ける状況ではないと述べているのも同じ理由だ。ちょうど良さは、状態であって約束ではない。

日経平均553円高の6万7,524円――夏枯れ相場の「閑散に売りなし」

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は続伸し、前営業日比553円84銭高の6万7524円06銭で取引を終えました。中東情勢への警戒で原油が上がるなか、午前は上げ下げを繰り返して方向感がなかったそうです。それでも終わってみれば500円を超える上昇でした。お盆の時期で市場は静かだと聞きますが、こういう時期の値上がりは信じてよいのでしょうか。

トシ

トシ

今日の買いには、はっきりした担い手がいた。銀行株だ。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが軒並み買われ、福井銀行が5.0%高、千葉銀行が2.7%高と地銀にも広がった。背景は日銀の利上げ観測だ。10日公表の7月会合の主な意見を受け、利上げペースの加速が意識されている。銀行は貸出金利が上がれば利ざやが改善する。みずほ銀行は10日、大企業向け融資の指標となる長期プライムレートの8月分引き上げを発表した。日銀が今日発表した7月のマネーストックでもM3の残高が2カ月ぶりに増え、貸し出しは好調だ。チャートの面でも、5日移動平均が25日移動平均を上抜けるゴールデンクロスが出た。5日線は75日線も上抜けており、この形は4月初旬以来になる。

ヒナコ

ヒナコ

買う理由がはっきりしているのですね。ただ、人が少ない時期に上がったというのが、少しだけ気になります。

トシ

トシ

相場には「閑散に売りなし」という言葉がある。参加者が減って商いが細るとき、相場は下がりにくいという経験則だ。売りたい人も休んでいるから、売り物が出てこない。今日のような夏枯れの時期に株価が底堅いのは、買いの力が強いからだけではなく、売りの力も同じように弱まっているからだ。ただ、この言葉には裏側がある。薄い商いでついた値段は、少ない資金でも動かせる値段だということだ。今日の553円高も、普段より軽い力で持ち上がった部分を含んでいる。だから今日の値段は、休んでいた投資家が戻ってきたときにもう一度問い直される。それでも、今日の内容には見るところがあった。上がったのがAI・半導体ではなく銀行で、利ざやの改善という数字の裏付けを持っていた点だ。夏枯れの薄商いの中でも、理由のある買いは残る。9月に人が戻ったとき、残っているのはそちらの方だ。

日経平均1,363円高の6万6,970円――悪いニュースで株価が上がる「割引率」の仕組み

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は反発し、前週末比1363円51銭高の6万6970円22銭で取引を終えました。きっかけはアメリカの雇用統計だそうですね。7月の雇用者数が2万3000人の減少と、8万3000人増という予想に反してマイナスでした。雇用が悪化したのに株価が上がるというのが、私にはよく分かりません。

トシ

トシ

市場が見たのは雇用そのものではなく、その先にある金利だ。雇用が弱ければ利上げは遠のく。米金利先物の動きから政策を読むフェドウオッチでは、9月会合で政策金利が据え置かれる確率が6割近くと、7月31日時点の3割程度から大きく上がった。金利が下がれば、将来の利益で評価されるAI・半導体のような高PER銘柄は割高感が薄れる。だから7日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数が2%あまり上昇し、今日の東京でもアドバンテストや東京エレクトロン、イビデンが軒並み買われた。もう一つの主役がリクルートホールディングスだ。7日に今期の連結営業利益を前期比50%増の9450億円へ、従来予想の7870億円から引き上げた。市場予想の8120億円も大幅に上回り、株価はストップ高水準の22.78%高で上場来高値を更新。1銘柄で日経平均を300円ほど押し上げた。日経平均は上値を抑えられていた25日移動平均も上抜けている。

ヒナコ

ヒナコ

悪いニュースが良いニュースになるというのは、なんだか不思議です。それなら景気が悪くなるほど株価は上がるのでしょうか。

トシ

トシ

その理屈は、ある範囲の中でだけ通用する。株価は企業が将来生む利益を、金利で割り引いて今の値段にしたものだ。だから金利が下がれば同じ利益でも株価は高くなる。今日はこの割引の部分が効いた。だが分子には企業の利益がある。景気が本当に悪くなれば、その利益が減る。金利低下という追い風より、業績悪化という向かい風が強くなった時点で、悪いニュースはただの悪いニュースに戻る。今日の相場が明るかったのは、雇用者数の減少がまだ利益を脅かす規模には見えなかったからだ。実際、4〜6月期の決算は総じて好調で、リクルートのように上方修正を出す会社も続いている。金利の追い風と業績の裏付けが、たまたま同じ日にそろった。市場は今日それを「いいとこ取り」と呼んだ。ただし、いいとこ取りが成り立つのは両方が生きている間だけだ。次の雇用統計や決算で、どちらか一方が崩れたとき、同じ材料がどう扱われるかが変わる。今日の1363円高は、その二つがそろっている間の値段だ。

日経平均76円安の6万5,606円――指数はほぼ動かず、値上がりは6割という日

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ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は続落し、前日比76円55銭安の6万5606円71銭で取引を終えました。下げ幅は一時1000円を超えていました。ソフトバンクグループが一時7%近く下げ、レーザーテックは14%安です。ところが値上がりした銘柄は931と全体の6割もありました。指数はほとんど動いていないのに、中身はずいぶん荒れているように見えます。

トシ

トシ

下げの主役はAI関連の本命だった2社だ。ソフトバンクグループは4〜6月期の純利益が前年同期比18%減の3473億円で、AI企業に投資するビジョン・ファンドの投資利益が65%減とふるわなかった。レーザーテックは27年6月期の純利益見通しが前期比16%増の900億円と、市場予想の968億円に届かなかった。この2社が指数を押し下げた。だが同じ日、決算で評価された銘柄には買いが入っている。任天堂が5%高、バンダイナムコホールディングスが11%高、コナミグループが4%高だ。午後2時にフジクラが業績見通しの上方修正を発表すると株価は13%高となり、日経平均も急速に下げ渋って上昇に転じる場面があった。76円安という終値は、AI関連の失速と、決算で選ばれた銘柄への買いが、ほぼ相殺された跡だ。

ヒナコ

ヒナコ

下がったのは有名な会社ばかりなので、ニュースを見ると相場全体が悪いように感じます。でも6割の銘柄は上がっているのですね。

トシ

トシ

一つ聞きたい。今日の相場を、君は「ソフトバンクグループが7%下げた日」と覚えるか、それとも「6割の銘柄が上がった日」と覚えるか。どちらも同じ日の事実だが、選んだ方が、次にニュースを見るときの受け取り方を決める。7月からの相場は、AI・半導体という一つの物語をみんなで買い、みんなで売る形だった。だから指数の上下と体感が一致していた。今日はその形が崩れている。AI関連の本命が売られる横で、任天堂やバンダイナムコ、フジクラのように、自分の決算で評価された銘柄が買われた。テーマ全体で動く相場から、会社ごとの成績で動く相場へ移りつつあるということだ。この移行期には、指数の数字と自分の資産の動きが食い違いやすい。今日は夜に米雇用統計もあり、方向はまだ決まっていない。ただ、見出しになるのは常に大きな下げの方だ。だから今日のような日は、どのニュースを自分の記憶に残すかを、自分で選んでおく価値がある。

日経平均617円安の6万5,683円――好決算の太陽誘電が売られた「先食い」の話

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は3日ぶりに反落し、前日比617円18銭安の6万5683円26銭で取引を終えました。目立ったのが太陽誘電で、一時14%安まで売られています。この会社は5日に今期の純利益見通しを従来の180億円から290億円へ引き上げたばかりです。前期比96%増という数字なのに、なぜ売られたのでしょうか。

トシ

トシ

市場が見たのは利益の額ではなく、受注の中身だ。太陽誘電の主力である積層セラミックコンデンサーは、4〜6月期のBBレシオが1.72倍と、前年同期の0.95倍から急拡大した。BBレシオは受注高を売上高で割った数字で、1を超えれば受注が売り上げを上回る。普通なら好調の証しだ。ただ同社の専務執行役員は、調達リスクを意識して在庫を積み増す顧客が一部にいるとして、実需より多めに受注が入っているイメージだと説明した。つまりこの1.72倍には、将来の需要を前倒しで取り込んだ分が含まれている。先食いした分は、いずれ受注の空白として返ってくる。同じ日、米サンディスクの7〜9月期の売上高見通しが市場予想に届かず、東京ではキオクシアが10%安となった。一方で、業績見通しを上げたヤマハ発動機は上場来高値を更新し、メルカリや明治ホールディングスも急伸している。プライムでは値上がり銘柄の方が多かった。

ヒナコ

ヒナコ

数字が良くても、その中身によって受け取られ方が変わるのですね。私たちのような個人投資家は、そこまで見きれない気がします。

トシ

トシ

先食いという現象は、株の世界に限った話ではない。1970年代の石油危機のとき、トイレットペーパーが店頭から消えた。あれは紙の生産が止まったからではなく、なくなると思った人が先に買ったからだ。買い占めが一巡すると需要はぱたりと止み、翌年は在庫が余った。半導体でも、供給不足が意識されると顧客は必要量より多めに発注する。それが積み上がったのが太陽誘電の1.72倍だ。だから今日の急落は、業績が悪いという判断ではない。この好調がどこまで実需かという疑いだ。そしてこの疑いは、決算の数字を何度読んでも解けない。解けるのは、次の四半期に受注がどう動いたかを見たときだ。今日、投資家の関心がヤマハ発動機やメルカリのような別の好決算銘柄へ移り、プライムの値上がり銘柄が値下がりを上回ったのは、その答え待ちの時間を別の場所で過ごそうという動きに見える。数字の大きさより、その数字がどこから来たのか。今日の相場が問うたのは、そこだ。

日経平均2,342円高の6万6,300円――「知ったらしまい」、材料は出た瞬間に役目を終える

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は続伸し、前日比2342円91銭高の6万6300円44銭で取引を終えました。7月下旬にあれほど売られていたAI・半導体株が、今日は東京エレクトロンもアドバンテストもキオクシアも大きく上がっています。イビデンにいたっては一時ストップ高です。7月にあった心配ごとは、この数日で解決したのでしょうか。

トシ

トシ

解決したというより、判断の材料が出てきたと言った方が近い。7月の下げの理由は、大規模クラウド事業者が投資を絞るのではないかという懸念と、中国企業との競争激化だった。どちらも数字ではなく心配の話だった。今週出てきたのは数字の方だ。米キャタピラーの4〜6月期は純利益が65%増の35億9300万ドルで、データセンター建設に伴う建設機械や発電機器の需要が急増した。イビデンは27年3月期の純利益見通しを前期比32%増の840億円へ、従来予想を260億円上回る水準に上方修正し、株価は一時ストップ高水準の24%高まで買われた。加えて岡三証券の集計では、TOPIX採用企業のうち4日までに第1四半期決算を発表した45%について、市場予想を上回った比率が43.8%と、過去10年の中央値22.6%を大きく上回っている。イランとの合意が近いとの米財務長官の発言もリスクを取りやすくした。ただし、良い決算が全て買われたわけではない。ダイキン工業は4〜6月期として過去最高の営業利益を出しながら、一時10%超下げている。

ヒナコ

ヒナコ

過去最高の利益なのに下がる会社もあるのですね。同じ日に、良い決算で上がる会社と下がる会社があるというのが、やはり不思議です。

トシ

トシ

相場には「知ったらしまい」という言葉がある。材料は、出た瞬間にその役目を終えるという意味だ。今日はこの言葉が両側に効いた一日だった。イビデンの上方修正は、市場が心配していたAI需要そのものへの答えだった。心配が具体的な数字で否定されたから、株価はストップ高水準まで跳ねた。一方のダイキンは、過去最高の営業利益を出しながら売られた。市場の関心が、すでに好業績そのものではなく、今後の円高が輸出企業にどう効くかへ移っていたからだ。同じ良い決算でも、市場がいま何を心配しているかによって、答えになる場合と、答えにならない場合がある。だから決算シーズンで見ておきたいのは、数字の良し悪しの前に、市場がその会社に何を問うているかだ。今日の2342円高も、AI需要への問いに答えが返ってきた分の上げであって、円高が業績に効いてくるという問いにはまだ答えが出ていない。三井住友トラスト・アセットマネジメントが、AI・半導体以外への物色の広がりはまだ本格化していないと見ているのも、そこだ。霧が晴れたのは、あくまで霧の一部だ。

日経平均202円高の6万3,957円――値幅が小さい日には、二種類ある

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は反発し、前日比202円63銭高の6万3957円53銭で取引を終えました。前日の米ハイテク株高を受けてAI・半導体やデータセンター関連が買われた一方、円高への警戒から下落する場面も多かったそうです。先週は毎日千円単位で動いていたのに、今日の値動きは202円と静かでした。ようやく相場が落ち着いてきた、と考えてよいのでしょうか。

トシ

トシ

今日を動かしたのは、向きの違う二つの力だ。買い方の材料は前日の米ハイテク株高で、東京でもAI・半導体関連の一角やデータセンター関連が買われ、指数を押し上げた。売り方の材料は為替だ。日米の協調介入をきっかけに円高基調へ転換したことで、企業業績の上振れ期待が後退するとの警戒がくすぶり続けた。結果として日経平均は下落する場面も多く、終値は202円63銭高にとどまった。値幅は小さいが、中身は静かではない。押し上げる材料と押し下げる材料が、ほぼ同じ強さで一日中せめぎ合った結果が、この202円だ。

ヒナコ

ヒナコ

大きく動かないほうが安心だと思っていましたが、そういう見方もあるのですね。では、この静けさは良い兆しではないということでしょうか。

トシ

トシ

一つ聞きたい。今日の202円高を見て君が感じた安心は、相場が落ち着いたことへの安心か、それとも自分の資産が減らなかったことへの安心か。この二つは似ているようで、まるで違う。値動きが小さい日には二種類ある。買う理由も売る理由も乏しく、参加者が減って静かになる日。もう一つが今日のように、買う理由と売る理由が両方はっきりあって、力が拮抗した結果として値幅が小さくなる日だ。前者は凪だが、後者は綱引きの均衡で、どちらかの手が緩めば一気に動く。今日で言えば、AI関連への買いと、円高が業績に効いてくるという警戒。この二つは、どちらもまだ結論が出ていない。先週の千円単位の乱高下と、今日の202円は、実は同じ状態の別の見え方だ。市場が答えを出せずにいることに変わりはなく、それが日をまたいで振れるか、一日の中で釣り合うかの差でしかない。だとすれば、静けさそのものを判断の材料にはできない。今日のような日に見ておきたいのは、値幅の大きさではなく、拮抗している二つの力のうち、どちらが先に材料を追加してくるかだ。

日経平均607円安の6万3,754円――28年ぶりの日米協調介入と、日本株のもう一つの顔

証券・NISA FX・為替
ヒナコ

ヒナコ

本日の日経平均株価は反落し、前週末比607円12銭安の6万3754円90銭で取引を終えました。下げ幅は一時1600円を超えています。原因は為替だそうですね。7月31日に日本とアメリカが協調介入に踏み切り、今日は円が一時1ドル155円台前半まで急騰しました。円高になると株が下がるとよく聞きますが、なぜ為替が動くだけで、これほど株価が動いてしまうのでしょうか。

トシ

トシ

輸出企業の利益が、そのまま円換算で目減りするからだ。りそなホールディングスの試算では、為替が1円円高に振れると企業業績を0.7%程度押し下げる。ここ数日で円は163円台から155円台まで動いた。単純に当てはめれば、業績見通しの前提が大きく変わったことになる。だから今日はトヨタ自動車が一時6%安、ホンダが5%安と、為替の影響を受けやすい業種から売られ、業種別日経平均の自動車は4%安となった。今回の介入は日米協調で、1998年の金融危機時以来28年ぶりだ。市場が想定していなかった手が突然打たれたことで、投資家は業績見通しの前提を組み直す必要に迫られた。もう一つ、ファナックの急落も心理を冷やした。27年3月期の純利益見通しを引き上げたのに一時19%安となっている。AI関連の受注は積み上がっているのに、部品の調達難で売り上げの伸びが追いつかないと受け止められた。一方で、キオクシアは好決算で大幅高、円高で恩恵を受ける神戸物産やニトリも逆行高となり、プライムの約3割は上昇している。

ヒナコ

ヒナコ

為替が動いただけで、会社の中身は何も変わっていないのに株価が下がるというのは、少し理不尽な気もします。でも今日は上がった会社もあるのですね。こういう日は、どこを見ればよいのでしょうか。

トシ

トシ

君が理不尽と感じたところに、実は今日の相場の性質が表れている。日本の株価は、企業の実力だけで決まっているわけではない。海外投資家から見れば、日本株を買うことは日本企業を買うことであると同時に、円という通貨を持つことでもある。だから円が動けば、事業が何も変わっていなくても、外から見た価値は変わる。今日、事業内容が一日で悪化した会社はほとんどないはずだ。それでも自動車株が売られたのは、円換算での利益の見え方が変わったからだ。ここに、日本株を持つということの二面性がある。輸出企業の株を持つ人は、その会社の成長と同時に、円安という条件にも乗っている。今日はその条件だけが外れた。逆に神戸物産やニトリのように輸入の比重が大きい会社は、同じ理由で買われた。プライムの約3割が上昇したのは、円高が全ての会社に同じ向きで効くわけではないからだ。介入は、その条件を政策の側から動かす行為だ。1998年以来28年ぶりという頻度が示すとおり、これは日常の出来事ではない。今日の607円安は、AI相場の物語が壊れたというより、日本株のもう一つの顔である為替が、久しぶりに表に出た日と見た方が実態に近い。

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