株のテクニカル分析|MACD・RSI・一目均衡表の見方と組み合わせ方
株のテクニカル分析は、株価や出来高から値動きの特徴を読み取る方法です。指標を組み合わせるときは、まず株価の方向と節目を確認し、MACDで平均線の差、RSIで上げ下げの偏りを見ます。一目均衡表は、線と株価の位置関係をまとめて確認する選択肢です。
「MACDは上向きなのに、RSIは買われすぎ」。そんな場面でも、両方が別のことを示していると分かれば、次に見る場所を絞れます。このページでは日本株の日足を例に、指標の読み方から判断が分かれる場面まで順に整理します。
見る順番は「株価の方向 → 価格の節目 → 指標 → 出来高・開示情報」です。最後に、その見立てを変える条件を書き留めます。買いサインが何個あるかより、何が分かり、何がまだ分からないかを分けると整理しやすくなります。
ローソク足や日足・週足の違いから確認したい方は、株チャートの見方・初級編が入口です。ここで扱う売りの判断は主に保有株の見直しで、空売りを始める指示ではありません。
1. テクニカル指標は「何を確認するか」で組み合わせる
最初に価格チャートを見て、上昇・下降・横ばいのどれに近いかを考えます。そのうえで、知りたいことに合う指標を添えます。MACDとRSIを表示すれば、上昇や下落の勢いと、値動きの偏りを分けて眺められます。
| 見るもの | 分かること | 併せて確かめること |
|---|---|---|
| 高値・安値、移動平均線 | 価格の大きな流れ | 一時的な反発か、高値・安値の更新が続いているか |
| 水平線・トレンドライン | 過去に反応した価格帯と今の位置 | 線に届いたか、越えたか、元の範囲に戻ったか |
| MACD | 短期・長期の平均線の差とその変化 | シグナルとのクロスと、MACD自体の0ラインを区別 |
| RSI | 一定期間の値上がり・値下がりの偏り | 高い・低い状態でも価格の流れが続いていないか |
| 一目均衡表 | 高安の中間値、株価、雲などの位置関係 | 比較する横軸の時点が合っているか |
| 出来高 | 成立した売買の数量 | 株価の方向、同じ銘柄の過去の数量 |
MACDもRSIも、もとになるのは株価の変化です。同じ値動きを加工したサインが複数点灯しても、それぞれが別の裏づけとは限りません。たとえば、MACDとシグナルのクロス、ヒストグラムの0越えは同じ出来事です。これを「買い材料が2つ」と数えると、確認したことを大きく見積もってしまいます。
相場の状態によって、同じサインの意味が変わる
| 価格と指標の状態 | 読み取れること | 次の確認 |
|---|---|---|
| 高値・安値が切り上がる。MACD上向き、RSI72 | 上昇と、上げ幅の偏りは両立する。RSIが高いだけで矛盾とはいえない | 直前の高値付近か。押し目の安値を割っていないか |
| 一定の価格帯を往復。RSIが低水準から上向く | 下げの偏りが和らぐ場面。ただし下限を割れば横ばいという前提が変わる | 価格が範囲内へ戻るか、下抜けが続くか |
| 安値更新が続く。MACDは0未満で上向き、RSI28 | 下落途中の反発でも起こり得る。安値更新が止まったとはいえない | 直近の戻り高値と安値。形が変わるまでは反転と決めつけない |
この表は読み方を整理した学習例です。特定の設定や組み合わせの売買成績を検証したものではありません。指標の計算上の意味は、下の各節で具体例とともに確認できます。
2. トレンドラインと水平線で、今の株価の位置を見る
トレンドラインは、上昇時なら目立つ安値同士、下降時なら高値同士を結ぶ線です。水平線は、過去に反発や反落が見られた価格帯へ横に引きます。下側の節目を支持線(サポート)、上側を抵抗線(レジスタンス)と呼びます。
線は1円単位で機械的に効く境界というより、反応を確かめる目安です。どの高値・安値を選ぶかでも変わります。途中で都合のよい位置へ引き直す前に、最初に選んだ点と理由を残しておくと判断を振り返れます。
上側と下側の線が近づいてくる形が三角保ち合いです。値幅が狭くなっても、次に上と下のどちらへ動くかは形だけでは決まりません。抜けた直後に戻ることもあります。線を越えた事実と、その後の値動きは分けて記録します。
3. MACDは「クロス」と「0ライン」を分けて読む
MACD(マックディー)は、短期と長期の移動平均の差を見る指標です。代表的な設定は12・26・9。日足なら1本が1取引日で、短期12日と長期26日のEMA(直近の価格に重みを置く指数平滑移動平均)を使い、その差をMACDとします。9はシグナルを計算する期間です。
シグナル = MACDの移動平均
ヒストグラム = MACD − シグナル
シグナルにはEMAを使うものとSMA(単純移動平均)を使うものがあります。同じ「12・26・9」でも、計算方式が違えば線の位置や交差する時点がずれることがあります。
| 画面で起きたこと | 直接の意味 | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| MACDがシグナルを上抜け | MACDが自身の平均を上回る。ゴールデンクロスと呼ぶ | 価格が下降中でも起きる。上昇転換が決まったわけではない |
| MACD自体が0より上 | 短期EMAが長期EMAより上 | シグナルとのクロスとは別の比較 |
| ヒストグラムが負から正へ | MACDとシグナルの差が負から正へ変化 | 両線の上抜けと同じ事象。棒の色の意味はツールで確認 |
たとえばMACDが−4、シグナルが−6なら、ヒストグラムは+2です。円建て株価から計算したこの例では、いずれも単位は円です。MACDはシグナルより上ですが、MACD自体はまだ0未満です。画面にプラスの棒が出たことだけで「短期平均が長期平均を上回った」とは読めません。
横ばいの相場では小さな上げ下げでもクロスが繰り返されます。期間を短くすれば細かな動きも拾うようになるため、直近のチャートに合う数値を探すだけで最適な設定と判断しないようにします。別の期間や銘柄で同じ条件を振り返ることも必要です。
4. RSIの70・30は、上げ下げの偏りを確認する目安
RSIは、一定期間の値上がりと値下がりの幅から、値動きの相対的な強さを0〜100で示す指標です。14期間がよく使われますが、ツールによって初期値や計算方式が違います。RSI70は「今後上がる確率70%」でも「買い手が70%」でもありません。
一般に70以上を買われすぎ、30以下を売られすぎの目安とします。ただし、この呼び方は企業価値に対する割高・割安を意味しません。上昇が続けば高いRSIが続き、下落が続けば低いRSIが続くことがあります。
MACDが上向きでRSIが70を超えていても、直ちに食い違いとはいえません。株価の高値・安値も切り上がっているなら、上昇の流れが続き、その期間の上げ幅も大きい状態として読めます。保有株を見直すなら、RSIの数値だけでなく、直近の安値を割ったかなど価格の変化を確かめます。
数式で確かめると「何の割合か」が分かる
単純集計型の説明では、上昇幅の合計をU、下落幅の絶対値合計をDとして計算します。
例:上昇幅の合計70円、下落幅の合計30円
70 ÷ (70 + 30) × 100 = 70
これは式を理解するための架空例です。過去の平均を平滑化する方式もあるため、どのツールでもこの単純合計になるわけではありません。UもDも0ならこの式では分母が0になるので、0や50と決めつけず、利用するツールの仕様を確認します。
30を割った銘柄を探すだけでは、安値を更新し続ける銘柄も拾います。まず株価の下落が止まりつつあるかを見て、次にRSIの変化を補助として読むと、数値と価格の役割が混ざりません。
5. 一目均衡表は、線の名前より「どの時点と比べるか」
一目均衡表は、転換線・基準線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパンの5本で構成されます。先行スパン1と2に挟まれた帯が「雲」です。まず今の株価と今の位置の雲を比べ、そのあと転換線・基準線、遅行スパンを確認すると整理できます。
| 線 | 計算・表示の考え方 |
|---|---|
| 転換線 | 当日を含む9日間の最高値と最安値の中間 |
| 基準線 | 当日を含む26日間の最高値と最安値の中間 |
| 先行スパン1 | 転換線と基準線の中間を先の位置へ表示 |
| 先行スパン2 | 当日を含む52日間の最高値と最安値の中間を先の位置へ表示 |
| 遅行スパン | 当日の終値を過去の位置へ表示 |
先行・遅行の表示位置は、標準的には当日を含めて26日先・26日前と数えます。この数え方では当日を1日目とするため、位置の移動は25本分です。期間や表示の仕様はツールの説明に合わせて確認します。転換線や基準線は、期間中の終値を平均した移動平均線とは計算が違います。
三役好転・三役逆転の確認点
三役好転は、①転換線が基準線より上、②遅行スパンがその表示位置に対応する過去の株価より上、③現在の株価が現在位置の雲より上、の3条件が揃った状態です。三役逆転はこの上下関係が逆になります。3つのクロスが同じ日に起きる必要はありません。
雲の上に出ても、すぐ雲の中へ戻ることがあります。MACDと一目均衡表を両方表示する場合も、どちらで何を確認するのかを決め、同じ値動きを何度も肯定材料として数えないようにします。
6. 三尊・ダブルボトムは「形」と「完成条件」をセットで見る
反転パターンは、値動きがそれまでと変わる可能性を考える材料です。山や谷の数だけで判断せず、途中の安値・高値を結ぶネックラインを確かめます。形が完成することと、その後の相場反転が決まることは別です。
| 形 | 見分ける点 | 完成を考える節目 |
|---|---|---|
| 三尊天井 | 3つの山の中央が最も高い | 山の間の2つの谷を結ぶ線の下抜け |
| 逆三尊 | 3つの谷の中央が最も低い | 谷の間の2つの山を結ぶ線の上抜け |
| ダブルトップ | 同程度の高さの山を2つ作る | 間にある谷の水準の下抜け |
| ダブルボトム | 同程度の深さの谷を2つ作る | 間にある山の水準の上抜け |
この例なら、1,000円付近で2回下げ止まっても、株価が1,080円にある時点では1,100円を越えていません。日足で見ると決めた場合は、場中の一瞬の上抜けと確定した終値での上抜けも区別します。
出来高は、同じ銘柄で取引が増えたかを確かめる補助材料です。増えたというだけで上抜けが続くと決まるわけではありません。数量の比較は出来高の見方と株価との関係で詳しく説明しています。
7. ダイバージェンスは、価格と指標の更新方向のずれ
株価が高値を更新しているのに、RSIやMACDが前の山を越えない。このような価格と指標のずれをダイバージェンスと呼びます。上昇の勢いの変化に気づくきっかけになりますが、その場で下落に転じるとは限りません。
逆に、株価が安値を更新しているのに指標の谷は切り上がるケースもあります。下げの勢いが変わる可能性を見つつ、株価が直近の戻り高値を越えたかなどを確認します。ずれが何度も続くこともあるため、反転の時期はこの現象だけでは決められません。
比べる山や谷は、同じ時間足で、価格の高値・安値に対応する時点へ揃えます。都合のよい遠い山だけを選ぶと、あとからいくらでも線が引けてしまいます。
8. 同じチャートでも、条件が変わると何を読み直すか
ここからは学習用の架空例です。実在銘柄の実績や売買推奨ではありません。株価と指標値は読み分けのために設定しており、上の概念図の株価からMACDやRSIを算出したものではありません。
共通の場面:日足の戻り高値は1,100円。直近の安値は1,000円付近。MACDは−4、シグナルは−6、RSIは48。前日はMACDがシグナルより下で、今日は上に出ています。株価の大きな下落のあと、戻りを試しているところです。
場面A:終値が1,080円だった
MACDの上抜けは確認できます。ただしMACD自体は0未満で、株価も戻り高値1,100円を越えていません。この材料から読めるのは「反発の動きがある」までです。「下落から上昇へ変わった」と判断するには価格側の確認が足りません。
場面B:場中は1,105円、終値は1,080円だった
場中には1,100円を上回っていますが、確定した日足の終値では上に残っていません。終値での上抜けを確認する方針なら、その条件は未達です。場中のMACDやRSIも引けまで変わるため、最終値へ揃えて見直します。
場面C:終値1,105円で上抜けたが、翌営業日に決算がある
今度は価格の条件を満たしています。それでも、決算後の値動きまでは指標から分かりません。持ち越したときの価格差を引き受けるか、発表後の価格を見てから考えるかは別の判断です。ここでは「条件を満たしたから自動的に買う」とせず、決算予定と想定する損失を確認するところまでを一組にします。
確認問題:MACDの上抜けとヒストグラム+2は、独立した2つの買い材料?
同じ差を別の表示で見ています。−4−(−6)=+2で、ヒストグラムが正なのはMACDがシグナルより上だからです。2つの独立した確認として数えません。MACD自体が0未満であることも変わりません。
条件変更:終値1,105円の翌日に終値1,090円へ戻ったら?
1,100円より上にとどまる、という見立てを見直す場面です。前日の上抜けがなかったことになるわけではありませんが、翌日は元の価格帯へ戻っています。MACDやRSIの好転だけを理由に、価格の変化を無視しないことがポイントです。これだけで次の下落幅や売却価格までは決められません。
9. だましを振り返るときは、指標以外の条件も見る
日足の途中経過と、1日分の結果を混ぜない
日足の終値で確認すると決めたなら、取引中のクロスやRSIは暫定値として扱います。出来高も、前日の1日分と今日の途中経過をそのまま比べると、少なく見えることがあります。時間足、確定・未確定、比較する期間を揃えてから振り返ります。
出来高は成立した取引の数量です。売り1,000株と買い1,000株が成立した場合は1,000株と数えます。数量だけから「買い手が多い」「売りが減った」とは判断できません。JPXの売買高の定義も確認できます。
決算・業績修正と、株式分割の調整を確かめる
銘柄のIRで次の決算予定と最新の発表を確認します。予定は変更されることもあるため、JPXの決算発表予定日も入口にしつつ、直前は発行会社の案内を見ます。適時開示情報では業績修正などを確認できます。
チャートに大きな段差がある場合は、材料による値動きだけでなく、株式分割・併合の前後を調整しているかも確認します。すべての画面が同じ修正株価を使うとは限りません。画面を変えて比較するときは、調整方法と指標の設定を揃えます。
損切り予定額と、実際に生じる損失は分けて考える
たとえば1,105円で100株買い、1,080円で売却する想定なら、値幅だけの予定損失は(1,105−1,080)×100=2,500円です。これは費用を含まない計算例で、損失の上限ではありません。急な窓開けなどで予定価格より不利に約定すれば、損失は増えます。
逆指値も、条件に達したときに注文を出す仕組みです。成行なら想定外の価格になる可能性があり、指値なら売れ残ることがあります。注文を決める段階では、成行・指値・逆指値の違いを確認できます。株式投資には元本割れのリスクがあります。
10. 指標を増やす前に、見立てを1枚のメモに残す
次にチャートを開くときは、以下の項目だけでも記録すると振り返りやすくなります。結果だけを見て設定を変える前に、当時どこを根拠にしたかを残すためのメモです。
- 対象と時点:銘柄、日付、日足などの時間足、終値の確定状況。
- 価格の方向と節目:直近の高値・安値、支持帯・抵抗帯。何を越えたら見立てを変えるか。
- 指標と設定:MACDの期間とシグナル方式、RSIの期間・方式。一目を使う場合は比較位置。
- 株価以外の確認:出来高、決算予定・適時開示、分割調整の有無。
- 判断と保留理由:確認できた条件、まだ足りない条件。取引する場合の数量・損失想定と注文方法。
実際に資金を使う前に読み方を試したい場合は、株のデモトレード・シミュレーションが選択肢です。デモの結果と、実際の約定・費用を含む成績は分けて考えます。
ツールは、指標の設定と表示時点を確認しやすいものを
選ぶときは、使う指標への対応、期間と計算方式の確認、出来高の表示、チャートの見やすさを比べます。スマホで確認したい場合は証券会社のスマホアプリ比較、大きな画面を使いたい場合はPC取引ツールの比較へ進めます。
楽天証券のiSPEEDは、MACD・RSI・一目均衡表に対応しています。各種テクニカルチャートを無料で利用できますが、情報の更新時点や利用条件は公式の案内で確認します。iSPEEDの機能・仕様、楽天証券の取引ツール案内が確認先です。
口座やツールの利用条件は楽天証券のサービス解説へ。ツールの機能数や指標の一致は、利益を保証するものではありません。
このページの作り方と、次に学ぶこと
指標の定義と計算方法は資料を照合し、出来高や開示制度はJPX、ツール固有の仕様は提供元の公式案内で確認しました。制度や商品の詳細を確認できるリンクは、必要な箇所に掲載しています。図、数値例、確認メモは読み方を練習するために作成したもので、特定の手法の収益性を示すものではありません。
中級編の要点は、株価の方向と節目を先に置き、指標の意味を分けて読むことです。サインが揃ったかだけでなく、その見立てを変える価格や出来事まで書き留めると、次のチャートを同じ条件で見直せます。
注文前後の動きをさらに読むなら、上級編の板読み・歩み値へ進めます。板の用語から知りたい方には、板情報の基本的な見方を用意しています。
チャート学習 9ページマップ
3ジャンル × 3レベル=計9ページ。今いる場所と次に読むべきページが一目でわかる。
| 初級 | 中級 | 上級 | |
|---|---|---|---|
| 暗号資産 |
初級
ローソク足9種・取引所スプレッド |
中級
BB・MACD・RSI・一目・半減期 |
上級
機関投資家視点・MTF・オンチェーン |
| FX |
初級
ローソク足9種・サポレジ・出来高 |
中級
人気5指標の組み合わせ方 |
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