新NISAとは?仕組みを図解|2つの投資枠・売却・始め方
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NISAは、株式や投資信託の売却益・配当などにかかる日本の税金を、一定の条件で非課税にする制度です。2024年に始まった現行制度は、一般に「新NISA」と呼ばれています。商品そのものの名前ではないので、口座で買う商品は自分で選びます。
NISAを使っても、買った商品の値段は上下します。利益への税金が軽くなる仕組みであり、元本や将来の利益を保証する制度ではありません。
まず押さえたい3つのルール
- 1年に買えるのは合計360万円まで。つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円です。全額を使う義務はありません。
- 非課税で保有できる総枠は取得額で1,800万円。そのうち成長投資枠で持てるのは1,200万円まで。つみたて投資枠だけで1,800万円を使うこともできます。
- 売った商品の取得額分は、翌年以降に再利用できます。戻るのは売却額ではなく購入額です。年間の120万円・240万円という上限は増えません。
非課税で保有できる期間は無期限。2026年に利用できるのは、日本に住む、その年の1月1日時点で18歳以上の方です。18歳未満への拡充は2027年以降の制度として分けて説明します。
NISAで非課税になるのは、投資で得た利益
通常、上場株式等の売却益には20.315%の税金がかかります。NISAの対象商品をNISA口座で買った場合、その売却益は非課税です。買った金額そのものが所得控除になる制度ではありません。
| 売ったときの結果 | 通常の課税口座 | NISA口座 |
|---|---|---|
| 120万円で売却 利益20万円 | 税金40,630円 税引後の利益159,370円 | 売却益への日本の税金0円 利益20万円が残る |
| 80万円で売却 損失20万円 | この売却の利益への税金なし。条件を満たす損益通算等の対象になり得る。 | 損失20万円はそのまま。ほかの口座の利益と相殺できない。 |
税率は所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%の合計。利益20万円×20.315%=40,630円。売買手数料、ほかの損益、外国の税金などを考慮しない説明用の試算です。保有中の値上がりだけで、この売却益の税金が発生するわけではありません。
配当・分配金にも非課税の仕組みがありますが、国内上場株式などは受取方法に条件があります。配当の受取設定を確認してください。
制度・税務の確認:国税庁「NISA制度」・上場株式等の譲渡所得等の税率
つみたて投資枠と成長投資枠は、商品と買い方が違う
2つの枠は併用でき、どちらか片方だけでも使えます。名前の違いは、安全性のランクではありません。成長投資枠でも対象の投資信託を積み立てられます。
| 比べる点 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の買付上限 | 120万円 | 240万円 |
| 主な対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF | 上場株式、一定の投資信託・ETF・REITなど |
| 買い方 | 定期・継続的な積立 | 一括購入も積立も可能 |
| 非課税保有期間 | どちらも無期限 | |
| 使う金融機関 | 同じ年は同じ金融機関。2つの枠を別々の金融機関に分けられない。 | |
成長投資枠でも、整理・監理銘柄や、信託期間20年未満・毎月分配型・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは対象外です。制度上の対象と、その金融機関での取扱いは別なので、購入画面で対象枠を確認しましょう。
1年に買える額
合計 360万円まで
非課税で保有できる総枠
1,800万円いまの時価ではなく、買ったときの金額で管理
たとえば、つみたて投資枠だけで1,800万円、またはつみたて1,200万円+成長600万円という使い方もできます。成長投資枠だけを使うなら上限は1,200万円です。
積立額を決めるときは、月1万円なら年12万円、月3万円なら年36万円、月5万円なら年60万円が目安です。年間上限を埋めるより、家計から続けられる額かを先に確認しましょう。
枠・対象商品の確認:金融庁「NISAを知る」・つみたて投資枠の対象商品
100万円で買った商品を売ると、枠はいくら戻る?
120万円に値上がりして売っても、80万円に値下がりして売っても、翌年以降に再利用できるのは取得額の100万円分です。非課税保有限度額の空きを再び使えるという意味で、口座へ100万円が戻ってくるわけではありません。
総枠を100万円分使う
売却代金と損益はそれぞれ異なる
年間枠の範囲内で新たに買付できる
成長投資枠で買った商品の売却なら、全体の1,800万円と成長投資枠の1,200万円、両方の保有限度に、翌年以降に再利用できる取得額分の空きができます。つみたて投資枠で買った商品を売っても、成長投資枠の1,200万円という上限は増えません。
その年に買い直せるかは、残っている枠で変わる
つみたて投資枠を年120万円、使い切った
一部を売っても、その年のつみたて投資枠は増えません。同じ枠での追加買付は翌年からです。成長投資枠を使う場合は、そちらの年間枠・保有限度と商品の適格性を別に確認します。
つみたて投資枠を年60万円だけ使った
その年のつみたて投資枠での買付合計が60万円なら、年間枠には60万円の残りがあります。総枠にも余裕があれば、対象商品を積立で、その範囲内で同じ年に買えます。売ったことで枠が戻ったのではなく、もともと未使用だった分を使います。
将来、総枠1,800万円を使い切った年
年間枠が余っていても、そのまま追加では買えません。取得額100万円分を売ったなら、その100万円分を再利用できるのは翌年以降です。翌年も各枠の年間上限を守ります。
使わなかった年間枠は翌年に上乗せされません。また、値上がりして時価が1,800万円を超えても、その値上がり分だけで枠超過にはなりません。
年内の買付・枠の再利用:日本証券業協会「NISAに関するQ&A」
NISAの始め方は、資金・口座・商品・設定の順に
近いうちに使うお金を分ける
生活費や急な出費に備える預金と、値下がりしても当面使わずに済むお金を分けます。毎月の積立額は、投資上限からではなく家計の余裕から決めましょう。生活防衛資金の考え方も参考になります。
使う金融機関を1つ選ぶ
NISAでその年に買付できる金融機関は1つです。銀行と証券会社では取扱商品が異なり、上場株式を買いたいか、投資信託を選びたいかでも候補が変わります。商品・費用・操作や相談の方法をNISA口座の証券会社比較で確認できます。
NISA口座を申し込み、利用可能になったことを確認する
本人確認書類とマイナンバー確認書類などを用意し、金融機関の案内に沿って申し込みます。口座開設の確認方法・必要日数は各社で異なります。証券口座の開設手順で、必要書類と初期設定を確認してください。
商品と買付枠・金額を確認する
積立なら対象商品を選び、NISAのつみたて投資枠か成長投資枠か、金額、引落方法、開始月を確認します。口座を作っただけでは投資は始まりません。指数に連動する投資信託を検討する方は、インデックス投資の商品選びと積立設定へ進めます。
最初の買付後に口座区分を確かめる
残高・取引履歴で「NISA」の口座区分、商品名、金額、次回の積立日を確認します。誤って課税口座で買った商品を、そのままNISAへ移すことはできません。不明な設定は次の買付前に金融機関へ照会しましょう。
すでに別の金融機関でNISAを使っている方は、新規申込を重ねる前にNISAの金融機関変更を確認してください。その年に買付済みの場合など、変更できる年に制約があります。保有商品を変更先のNISAへ移すことはできません。
配当と損失で、見落としやすい注意点
国内上場株式などの配当は、受取方法を確認
NISA口座で持つ国内上場株式・ETF・REITの配当金や分配金を非課税で受け取るには、証券口座で受け取る株式数比例配分方式を選びます。銀行口座への振込や配当金領収証で受け取る方式では、NISAで保有していても課税されます。
一般的な株式投資信託の分配金では、この配当受取方式の変更手続きは必要ありません。外国株の配当は、NISAでも外国での源泉徴収が残る場合があります。日本の税金が非課税になることと分けて確認しましょう。
損失は、ほかの口座の利益と相殺できない
NISA口座で売却して生じた損失は、税務上ないものとみなされ、特定口座・一般口座の利益との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができません。先ほどの100万円→80万円の例なら、20万円の損失を別の利益から差し引くことはできません。
非課税でも、商品やサービスの費用はかかる
投資信託を保有する間の信託報酬などは、NISAでも負担します。税金がかからないことを、運用コストがすべて無料という意味に受け取らないようにしましょう。分配金を再投資すると、新たな買付として枠を使う場合もあります。
値下がりしたら、使う時期と家計を点検する
長期・積立・分散投資でも損失が出ることはあります。「何年以上続ければ損をしない」という年数は決まっていません。値下がりしたときは、資金を使う時期が近づいていないか、商品にリスクを集中させていないか、積立額が生活費を圧迫していないかを確認します。
家計が厳しくなったら、積立額の減額や一時停止も選択肢です。売却するかどうかと、今後の積立額を変えるかは分けて考えられます。制度上、売却は可能ですが、将来の値戻りを前提に生活費まで投資へ回さないようにしましょう。
損益・配当の扱い:国税庁のNISA制度の注記・日本証券業協会のQ&A
旧NISAの商品は、新NISAと別に管理する
2023年までの一般NISA・つみたてNISAで買った商品は、新NISAの1,800万円とは別枠です。旧制度の非課税期間はそのまま適用され、新NISAの無期限枠へ自動で移るわけではありません。
| 購入した制度 | 非課税期間 | 新NISAとの関係 |
|---|---|---|
| 旧一般NISA | 購入年から最長5年 | 新NISAの1,800万円とは別枠。新NISAへのロールオーバーはできない。 |
| 旧つみたてNISA | 購入年から最長20年 | |
| 2024年以降のNISA | 無期限 | 取得額で総枠を管理。売却分は翌年以降に再利用可能。 |
2023年に旧一般NISAで買った商品の非課税期間は2027年末まで、同年に旧つみたてNISAで買った商品は2042年末までです。売却するか、非課税期間終了後に課税口座へ移るかを考えるときは、まず購入年と口座区分を確認しましょう。
旧制度の確認:金融庁「2023年までのNISA」
2026年に適用された変更と、2027年からの拡充
2026年4月1日から適用
つみたて投資枠の対象となる指数が追加され、指定指数に連動しない商品の投資対象要件も見直されました。また、定期売却サービスに必要な手数料を徴収できるようにする措置が適用されています。対象商品の範囲が広がっても、すべての債券型投資信託が対象になるわけではありません。
2027年から:18歳未満へのつみたて投資枠の拡充
令和8年度税制改正では、18歳未満を対象とするつみたて投資枠が設けられ、年間60万円・非課税保有限度額600万円で、2027年から適用されます。2026年に子ども名義で現行の成人向けNISAを利用できるという意味ではありません。
払出しや成人後の扱いを含む子ども向けの選択肢は、未成年口座・こどもNISAの解説へ分けています。制度の適用と、各金融機関の受付・サービス開始は別に確認してください。
制度を理解したら、無理なく投資できる金額から
NISAで確認するのは、利益への税金、年間枠、取得額で管理する総枠、そして自分が買う商品のリスクです。売却代金と再利用できる枠を分けて考えると、使い道が変わったときにも判断しやすくなります。
毎月の積立額と期間を比べたい方はNISAの積立シミュレーターへ。仮の利回りによる計算結果は予測ではありません。利用先を決めたい方はNISA口座の比較、iDeCoとの制度差を知りたい方はiDeCoとNISAの違いへ進めます。