カードローン・借金の返済ガイド
任意整理とは?費用・デメリットと返済額・手続きの流れ
任意整理とは、借入先ごとに利息や返済回数などを話し合い、合意した条件で完済を目指す債務整理です。裁判所を通さず、弁護士や認定司法書士などに交渉を依頼して進める方法があります。
将来の利息を減らせれば返済負担を軽くできます。ただし、利息の免除や長期の分割払いには借入先の合意が必要です。元金の返済は基本的に残るため、「いくら減るか」と同じくらい「その条件で払い続けられるか」が大切になります。
この記事では、費用と毎月の返済を分けて整理し、対象にする借金の選び方、生活への影響、相談から和解後までの確認点を説明します。借入先ごとに返済回数が違う例も使って、家計に収まる支払額を考えます。
任意整理で変えられること・変わらないこと
任意整理で目指すのは、借金の残額を確かめ、生活を続けながら返せる条件に見直すことです。借金の金額や毎月の支払額を一方的に変更できる制度ではありません。
| 項目 | 何を見直すか | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 将来の利息 | 和解後の利息を免除・減額できるか交渉する | 利息が残る条件なら、その分を含めた総額と月額を見る |
| 返済回数 | 収入や家計に合わせて分割回数を話し合う | 3〜5年は検討の目安。全社が60回に応じるとは限らない |
| 借金の残額 | 取引履歴を調べ、法律上の残額を確かめる | 元金の返済は原則として残る。古い高金利取引では引き直し計算が必要なことがある |
| 和解までの利息・遅延損害金 | これまでに発生した分の扱いも交渉する | 「将来利息なし」でも、和解する残額に何が含まれるかは別に確認する |
借入先によっては、短い返済期間や利息付きの条件を求めることもあります。希望する条件で合意できない場合には、他の債務整理も含めて方針を考え直します。金融庁に提出された日本司法書士会連合会の意見書(PDF)でも、こうした交渉上の課題が報告されています。
任意整理は債務整理の一つです。特定調停・個人再生・自己破産との違いから確認したい場合は、債務整理4つの方法と選び方が入口になります。過去の払い過ぎが見つかった場合の扱いは、過払い金と残債の関係で説明しています。
月々いくら返す?借入先ごとの条件を足して考える
将来利息なしの均等払いなら、1社の月額の概算は「合意する返済総額÷返済回数」です。複数社を整理する場合は、各社の月額を足します。全社の残高をまとめて60で割るだけでは、実際の負担を小さく見積もるおそれがあります。
例:合計120万円でも、月2万円になるとは限らない
次は説明用の架空例です。A社・B社とも将来利息なし、同じ月から返済を始め、下表の総額に追加の利息や費用が付かないと合意したと仮定します。実際の和解条件や平均的な結果を示すものではありません。
| 借入先 | 返済総額 | 回数 | 月額 |
|---|---|---|---|
| A社 | 72万円 | 36回 | 20,000円 |
| B社 | 48万円 | 60回 | 8,000円 |
| 合計 | 120万円 | 社ごとに異なる | 最初の36回は28,000円 |
120万円を一律60回で割ると月20,000円ですが、この案の当初の返済額は月28,000円です。A社の支払いが終わる37回目以降は、B社の月8,000円が残ります。実際には開始月や初回・最終回の金額も違うことがあるため、和解案ごとの確認が必要です。一部の借入先が交渉中なら、合意済みと未定の条件を分ける確認へ進んでください。
費用の分割払いが重なる月まで、家計に入れてみる
上の2社への返済に、次の支払いが同じ月に重なると仮定します。専門家費用と送金費はこの例だけの設定で、相場や法テラスの支払条件ではありません。
- A社・B社への返済
- 28,000円
- 対象外の借金の返済
- 10,000円
- 専門家費用の分割払い
- 5,000円
- 振込・送金費の合計
- 660円
- この月に必要な支払い
- 43,660円
生活費や年払いの支出への備えを残したうえで、これらに回せるお金が月40,000円なら、この月は3,660円足りません。専門家費用の分割払いが終われば負担は変わりますが、終わるまでの月を乗り切れるかも合意前に確かめたい点です。
これは任意整理の可否を決める診断ではありません。支払いが家計に収まらなければ、返済額・開始時期・費用の支払期間を依頼先と再確認するための材料になります。月全体で足りても、給料日前に返済期日が来るなら、その日の残高も別に見ておきましょう。
家計全体で確認する考え方は、国民生活センター「債務整理(1)」(PDF、29〜30ページ)を参照しています。表の数値は当サイトの仮定に基づく計算で、上の例では割り切れる金額を使っています。端数が出る契約では初回・最終回の調整額を確認します。
任意整理の費用は、借金の返済と分けて確認する
専門家への依頼費用と、和解後に借入先へ返すお金は別です。「1社いくら」という表示を見るときは、含まれる項目と追加費用、支払時期まで確認します。費用を払えば希望どおりに減額できる、という意味でもありません。
- 相談料・着手金:相談時や依頼時にかかる額。無料相談の対象や回数も確認します。
- 報酬金:和解の成立、減額、過払い金の回収などに応じて発生するか。計算の元になる金額も見積書で確かめます。
- 実費・送金にかかる費用:郵便代などの実費、返済を管理してもらう場合の費用、借入先への振込手数料など。
- 追加手続き・途中終了:交渉がまとまらない場合、裁判になった場合、依頼をやめる場合の追加費用や精算方法。
依頼前には、「税込みの総額はいくらか」「毎月いつ払うか」「借入先への返済と重なるか」を一緒に聞いておくと、比較しやすくなります。将来利息の減額見込みだけを見て、費用を払う価値があると決めつけないことも大切です。
法テラスを利用する場合の費用の目安
法テラスには、資力などの要件を満たす方への無料法律相談と、弁護士・司法書士費用等の立替制度があります。次は法テラスの援助を利用する任意整理事件の、依頼時の費用の目安です。一般の法律事務所・司法書士事務所の料金相場ではありません。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1社 | 33,000円 | 10,000円 | 43,000円 |
| 2社 | 49,500円 | 15,000円 | 64,500円 |
| 3社 | 66,000円 | 20,000円 | 86,000円 |
出典:法テラス「任意整理 費用の目安」。実際の費用は事件内容や審査によって決まり、増減する場合があります。原則として報酬金は発生しませんが、過払い金を回収できた場合は報酬金が発生します。
立替は費用の免除とは異なり、原則として法テラスへ返済します。収入・資産などの審査と、その後の支払方法は法テラスの無料法律相談・費用立替の案内で確認できます。手元の費用が足りない場合も、利用できる制度から相談できます。
弁護士と認定司法書士、どちらに依頼する?
認定司法書士が代理して交渉できるのは、簡易裁判所の民事事件に関する範囲など、法律で定められた業務です。債務整理では個別の債権額が140万円を超える場合、その債権の和解交渉を代理できません。借金全体の合計や、減額できそうな金額で判定するものではありません。複数の契約がある場合や金額が分からない場合は、自分で範囲を決めず、相談先に確認します。代理権の範囲を超える交渉が必要な場合は弁護士へ相談します。
代理範囲の根拠:最高裁判所・2016年6月27日判決(PDF)。
任意整理のデメリットと、対象にする借金の確認
任意整理には、裁判所を通さずに返済条件を調整でき、整理する借入先を検討できる柔軟さがあります。一方で、対象から外した借金の返済は続きます。残したい契約だけを見るのではなく、全体の支払いが続くかという視点で相談します。
信用情報とクレジットカード・ローンへの影響
延滞、保証会社による返済、契約の終了など、契約・返済の状況が信用情報に登録され、新しい借入れやカードの審査に影響することがあります。整理対象のカードは利用継続を前提にできず、対象外のカードも利用停止となる可能性があります。公共料金や携帯料金をカードで払っているなら、別の支払方法を確認しておきます。
「任意整理を始めて5年たてば元どおり」とは言えません。CICは任意整理を弁護士等に依頼した事実そのもののコメントを登録する機関ではなく、契約・支払いの事実を登録します。契約情報の保有は契約中および契約終了後5年以内です。JICCは契約時期によって債務整理情報の起算点が異なり、全国銀行個人信用情報センターも記録の種類や契約終了・完済の時点で考え方が変わります。
記録がなくなったことだけで審査通過が決まるわけでもありません。機関ごとの期間と本人開示の手順は、信用情報の記録が消える時期と確認方法で詳しく説明しています。
公式の登録内容:CICの債務整理に関する回答と保有期間、JICCの登録内容と期間、全国銀行個人信用情報センターの登録情報。
銀行口座、保証人、住宅・車のローン
- 借入先銀行の預金口座:任意整理の対象にした銀行では、口座の利用制限や預金と借金の相殺が問題になることがあります。給与・年金の入金先、家賃や公共料金の引落先を、受任通知の前に依頼先へ伝えます。口座を動かす時期や方法は個別に確認します。
- 保証人がいる借金:自分の返済条件を変更しても、保証人の責任が同じように軽くなるとは限りません。請求への影響を含め、保証契約と対象にする範囲を確認します。
- 住宅・車のローン:対象から外して支払いを続ける案を検討できる一方、家計や担保・所有権留保などの契約条件が関わります。「外せば財産を残せる」と一律には決められません。
家族や職場に知られる?
任意整理自体は官報に公告される手続きではありません。ただし、郵便物、保証人への連絡、カードの停止、銀行口座への影響などから知られる可能性はあります。家族が保証人か、郵便物を誰が受け取るかなど、心配な事情は相談時に伝えて、連絡方法も確認します。
対象債権者や生活への影響は、法テラス「任意整理のメリット・デメリット」などの公的資料と契約上の条件を踏まえて整理しています。
任意整理の流れ:相談から和解、返済開始まで
まず借入れと家計を確認し、条件を交渉して、合意を書面に残します。取引履歴の開示や借入先の対応で期間が変わるため、全件が何か月で終わるとは決められません。依頼時に見通しと次の連絡時期を聞いておきましょう。
相談して、任意整理で返せるかを検討する
全ての借入先、残高、収入、生活費、保証人や財産の状況を伝えます。借金の一部だけを整理する案でも、対象外の返済を含めて考えます。任意整理が合わなければ別の方法も検討します。
見積りと方針を確認して依頼する
扱う借入先、業務の範囲、費用総額と支払時期を確認し、委任契約を結びます。相談しただけで契約の返済条件が変わるわけではありません。
受任通知を送り、取引履歴を調べる
依頼を受けた専門家が対象の借入先へ通知し、取引履歴の開示などを求めます。必要に応じて利息制限法に基づく計算を行い、残額を確かめます。支払いの扱いは依頼先の説明を受け、自己判断だけで止めないようにします。
各社と交渉し、支払額の重なりを確かめる
利息、回数、月額、開始時期を交渉します。返済予定額の積立てで家計を確かめる場合もあります。積立ての目的が費用の支払いなのか、将来の返済への備えなのかも聞いておきます。積立てが続かない場合は、そのまま合意へ進まず方針を相談します。
和解書を確認し、決まった条件で返済する
合意した借入先ごとに和解書を確認します。本人が直接振り込むか、返済の管理を依頼先へ委ねるかで、手数料や連絡先も変わります。和解書・支払予定表・振込記録は完済まで保管します。
基本的な手順:法テラス「任意整理の手続」。
受任通知が届くと、督促は止まる?
貸金業者等は、弁護士や権限のある司法書士が依頼を受けた旨の書面通知を受けると、正当な理由のない本人への直接の取立てが法律で制限されます。銀行や個人の債権者にも通常は取立てを控える対応がみられますが、同じ法的禁止が一律に適用されるわけではありません。
受任通知は、借金を免除したり、訴訟や差押えを自動的に止めたりするものではありません。依頼後に裁判所から書類が来た場合も、放置せず依頼先に伝えます。電話や郵便が続く場合には、自分だけで新たな条件を約束せず、相手・日時・内容を記録して依頼先に確認します。
通知と連絡の関係:法テラス「債務整理を依頼すると貸金業者からの連絡が止まるのか」。
和解案が届いたら確認したい7項目
「月々の返済が減った」で確認を終えず、いつからいつまで、総額いくらを払うのかまで見ておきます。次の項目を各社について並べると、説明を聞き直したい部分が分かります。
- 返済総額:元金・和解までの利息・遅延損害金がそれぞれどう扱われたか。
- 和解後の利息:免除か、付くのか。付く場合の利率・計算方法・総額。
- 月額と回数:毎月額、初回・最終回の調整額、一時金や頭金の有無。
- 返済日:開始日・毎月の期日・最終返済日。給料日との前後関係。
- 送金先と費用:自分で払うか、管理を依頼するか。振込・管理費を含めて月にいくら出ていくか。
- 遅れたときの条項:分割払いを続ける権利(期限の利益)を失う条件、残額一括請求、遅延損害金の扱い。
- 家計全体と連絡先:他社・対象外の返済や専門家費用が重なる月も払えるか。厳しくなったら誰に連絡するか。
まだ合意していない案なら、気になる点を依頼先へ伝えて確認します。合意済みの条件は、自分だけで月額を下げたり支払日を変更したりできません。2社の返済額を合算する例のように、費用の支払いが終わる月や借入先ごとの完済月も含めて見通しておきましょう。
一社だけ合意済みなら、未定の支払いを0円にしない
たとえば上の例のA社とは月20,000円で合意していても、B社が交渉中なら、B社も月8,000円・60回で決まったとはいえません。A社の合意だけで、全体の返済額や開始時期が確定するわけではありません。
- 各社の条件に「合意済み・提案中・未定」を添える。返済総額・月額・回数・初回日・最終日を、和解書や依頼先からの説明と照合します。
- 未定の欄は、0円や一律60回で埋めない。当面の支払いの扱いと、家計の試算に使う仮の条件を依頼先へ確認します。見込みの数字を置く場合も、合意済みの条件とは分けておきます。
- 支払いが重なる暦月で合計し直す。各社の開始月と、対象外の返済・専門家費用の支払期間を並べます。費用終了後に収まるかだけでなく、重なる月と初回期日までの資金を確認します。
他社の返答待ちを理由に、合意済みの返済を自己判断で先延ばしにはしません。未合意の借入先を含む当面の支払い、確認する条件、次の連絡時期を依頼先とそろえます。条件がまとまらない場合は、未定分を除いて「払える」と結論せず、全体の方針を相談してください。
考え方の根拠:国民生活センター「債務整理(1)」(PDF、29〜30ページ)、法テラス「任意整理の手続」。個別の支払停止・猶予や和解の可否を判定する手順ではありません。
和解後に払えなくなったら、期日前に相談する
収入の減少や病気などで予定どおり払えないと分かったら、和解書と家計の変化が分かる資料を用意して、依頼先に相談します。連絡することで自動的に支払いが猶予されるわけではありませんが、状況を伝えないまま遅れるより、対応を検討する時間を確保できます。
遅れた場合の扱いは和解条項によります。「2回までは大丈夫」と考えず、何回・いくらの遅れで残額の一括請求につながるかを確認します。再度の交渉で条件を変えられる場合もありますが、借入先の合意が必要です。
生活費を残すと返済を続ける見通しが立たない場合は、個人再生や自己破産なども含めて相談します。どの方法が使えるかは収入、財産、債務の状況によって変わります。
新たな借入れで穴埋めすると、支払いがさらに重なるおそれがあります。貸金業者から個人への借入れは、原則として年収の3分の1を超える貸付けを制限する総量規制の対象です。銀行の貸付けはこの規制の対象外ですが、返済できる額の目安になるわけではありません。金融庁「貸金業法のキホン」も参照し、返済が苦しいときの相談先に相談してください。
相談前に用意するものと、費用が心配なときの相談窓口
相談の時点で、任意整理を選ぶと決めておく必要はありません。資料が全部そろっていなくても、分かる範囲の借入れと家計、今困っていることを伝えられます。訴状や支払督促、差押えに関する書類など、期限のある通知が届いている場合は、そのことを先に伝えます。
- 借入れ:全ての借入先、残高、毎月額、返済日が分かる明細・契約書・会員画面。保証人や担保の有無も。
- 家計:給与明細や年金の通知、家賃・食費・医療費・税金などの支出、年払い・臨時支出への備え。
- 生活への影響:給与などの入金口座、引落口座、カード払いしている料金、住宅・車のローン。
- 届いた書類:督促状や裁判所からの書類。家族・職場への連絡に心配があれば、その事情。
法テラス:制度や相談先の案内、要件に応じた法律相談・費用立替
0570-078374(平日9:00〜21:00/土曜9:00〜17:00。祝日・年末年始を除く)
サポートダイヤルは法制度・相談窓口を案内する窓口で、電話で個別の法律判断をするものではありません。弁護士等による無料法律相談や費用立替には収入・資産などの要件があります。案内は無料ですが、通話料はかかります。法テラスの電話案内。
日本クレジットカウンセリング協会(JCCO):借金と家計の相談
電話相談・カウンセリングは無料で、相談の結果、協会で任意整理が可能な場合は無料で手続きを支援しています。通話料は別途かかります。利用条件や予約方法はJCCOの多重債務ほっとラインで確認できます。
日本貸金業協会:借入れ・返済や生活再建の相談
0570-051-051(平日9:00〜17:00。土日・祝休日・年末年始を除く)
貸金業相談・紛争解決センターで、返済や家計管理の相談に対応しています。相談は無料ですが、通話料はかかります。日本貸金業協会の生活再建支援。
金融庁の多重債務相談窓口一覧:地域の窓口を探す
金融庁が案内する多重債務相談窓口から、財務局や自治体、法律専門家等の相談先を探せます。金融庁が任意整理の代理交渉を行う窓口ではありません。
相談では「任意整理ならいくらになりますか」に加え、「費用と対象外の返済も含め、この家計で続けられますか」と聞いてみましょう。毎月の金額と期日が具体的になるほど、合意前に確かめるべき点も見えてきます。
この記事の確認方法
法テラス、国民生活センター、金融庁、信用情報機関などの公表資料を確認し、制度の説明と当サイトの計算例を分けて掲載しています。共通の確認時点はページ上部の最終更新日時点です。個別の和解条件や手続きの選択は、契約内容を確認できる弁護士・認定司法書士などへ相談してください。