① 同じ年・同じ源泉徴収口座
2026年の利益100万円と損失60万円なら、口座内の純利益は40万円。証券会社が計算します。この口座内の通算だけなら、そのための確定申告は通常不要です。
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株の損益通算は、同じ年の上場株式等の譲渡益と、対象となる譲渡損失を差し引いて課税対象を計算する仕組みです。同じ源泉徴収口座内は証券会社が計算しますが、別の証券会社をまたぐ通算や、残った損失の翌年以後3年間の繰越には確定申告が必要です。NISA口座の損失は使えません。
2026年分の所得について、日本に住む個人が証券会社を通じて行う上場株式等の取引を対象に説明します。国内上場株が中心です。非上場株、相対取引、法人、相続、ストックオプション、外国税額控除などは扱いが異なるため、年間取引報告書と国税庁の案内で個別に確認してください。
最初に見るのは利益額ではなく、口座区分、証券会社の数、配当の受取設定、通算後に損失が残るかです。各社の特定口座年間取引報告書を手元に置くと判断しやすくなります。
| ケース | 扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 同じ証券会社の同じ特定口座(源泉徴収あり)内で、対象となる譲渡益と譲渡損がある | 口座内計算 | 証券会社が年間の口座内損益を計算します。その口座内だけで完結し、ほかの通算や繰越を使わないなら、通常はそのための申告は不要です。 |
| A証券の利益とB証券の損失を差し引きたい | 確定申告 | 証券会社をまたぐ損益は自動では合算されません。各社の報告書を使って申告します。 |
| 一般口座や特定口座(源泉徴収なし)に利益がある | 申告を判定 | 口座内で税の精算まで終わりません。申告要否はほかの所得や申告理由も含めて判定します。 |
| 売却損と配当・分配金を通算したい | 条件確認 | 源泉徴収口座への受入れ、または確定申告での申告分離課税などの条件があります。 |
| 通算しても損失が残り、翌年以後へ回したい | 連続申告 | 損失年に申告し、その後も取引のない年を含めて必要書類を付けた申告を続けます。 |
| NISA口座で損失が出た | 対象外 | NISA内の損失は税務上ないものとされ、課税口座との通算にも3年繰越にも使えません。 |
対象となる上場株式等だけで、配当やほかの損益はない例です。口座はすべて特定口座(源泉徴収あり)。手数料等は損益へ反映済みとします。
2026年の利益100万円と損失60万円なら、口座内の純利益は40万円。証券会社が計算します。この口座内の通算だけなら、そのための確定申告は通常不要です。
2026年のA証券の利益100万円とB証券の損失60万円を通算するには、確定申告で2社分をつなぎます。通算後の課税対象は40万円。証券会社同士が自動で精算することはありません。
2026年の利益100万円に、2025年からの未使用の対象損失60万円を使う場合は繰越控除です。要件を満たす申告を続けていれば、控除後の課税対象は40万円。同じ証券会社でも自動では引き継がれません。
③では税額を計算する対象が40万円になっても、税法上の合計所得金額は繰越控除前で見ます。扶養・国保などで見る所得の違いも確認してください。
この記事では、同じ年の上場株式等の売却益と売却損を合算する計算と、対象となる配当等との損益通算を扱います。給与など別の所得と自由に差し引ける制度ではありません。
たとえば、対象となる売却益が30万円、確定した売却損が20万円なら、通算後の譲渡益は10万円です。課税口座の上場株式等では、この10万円を基に税額を計算します。
年間取引報告書や自分の計算明細に反映される譲渡損失です。対象区分の中で通算を検討できます。
値下がりしていても、保有しているだけでは譲渡損失になりません。損益通算の数字には入りません。
取得費・手数料の基本は、国税庁のNo.1464「譲渡した株式等の取得費」で確認できます。税金だけを理由に売買すると価格変動や取引コストを負うため、含み損を売却すべきかどうかは税計算とは分けて考えます。
源泉徴収ありの特定口座では、譲渡のたびに年初からの純利益を計算します。後の取引で純利益が減ると、証券会社がその口座内で源泉徴収税を調整します。一方、口座へ受け入れた配当等との通算は、その年の譲渡損益が固まった後の計算です。
したがって、「同じ証券会社なら年末に税金が全部戻る」と一括りにはできません。取引の順序、最終的な純利益、配当等の受入れ、すでに源泉徴収された額で動きます。
商品名が似ていても、税区分が同じとは限りません。まずは年間取引報告書で「上場株式等」の区分を確認します。
| 相手となる利益・所得 | 通算 | 条件・注意点 |
|---|---|---|
| 通常の証券会社経由で生じた上場株式等の譲渡益 | 対象 | 国内上場株、ETF、REIT、公募投資信託のほか、一定の公社債や外国上場株式等が含まれる場合があります。年間取引報告書と国税庁No.1463・1474で区分を確認します。 |
| 対象となる上場株式等の配当・利子・分配金 | 条件付き | 口座内受入れ、または申告分離課税を選ぶ確定申告などの条件があります。すべての配当が一律対象ではありません。 |
| NISA口座の損失 | 不可 | 税務上は損失がないものとされます。課税口座の利益や配当とは通算できません。 |
| 非上場株など一般株式等の譲渡益 | 原則不可 | 上場株式等とは別区分です。特定投資株式など別の特例は個別確認が必要です。 |
| 給与・事業・不動産などの所得 | 不可 | 上場株式等の譲渡損失を給与所得などから差し引くことはできません。 |
| 国内FX、先物、CFDなどの損益 | 株とは不可 | 株とは別区分です。FX側では、一定の先物・オプション・CFD等と同じ区分になる場合があります。 |
| 暗号資産の損益 | 株とは不可 | 最終更新日時点では株の譲渡損益と別区分です。今後改正が公表された場合も、申告する年分に適用される国税庁の案内と暗号資産の税金で確認してください。 |
NISA内の利益が非課税である一方、損失は課税口座へ持ち出せません。詳しくは新NISAの基本をご覧ください。
株の損益台帳へ混ぜず、FXの税金と損失繰越で対象となる取引群を確認します。
次は、2026年分について、A証券とB証券のどちらも特定口座(源泉徴収あり)で、手数料等は年間取引報告書へ反映済みとする単純な概算です。配当等はなく、円未満の端数処理による差もないものとし、ほかの所得、所得控除、外国税額控除などは考慮しません。
| 項目 | 通算前 | 通算後 | 精算差額の概算 |
|---|---|---|---|
| 課税対象 | A証券の100万円 | 40万円 | 60万円分が減る |
| 所得税・復興特別所得税 15.315% | 153,150円 | 61,260円 | 91,890円 |
| 住民税 5% | 50,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
| 合計 | 203,150円 | 81,260円 | 121,890円 |
国税庁は、e-Taxによる還付申告は通常3週間程度、2月・3月の確定申告期はおおむね1か月から1か月半と案内しています。書類不備などがあると長くなることがあります。住民税の反映時期は住所地の自治体へ確認してください。出典:国税庁「税金の還付」Q41
源泉徴収口座は、口座ごとに申告するか、申告不要とするかを選べます。資料を集めた全口座を必ず申告するという意味ではありません。ただし、譲渡損失を申告する口座に受け入れた配当等は、併せて申告する必要があります。
同じA証券の同じ源泉徴収口座内で100万円の利益と60万円の損失が出たなら、証券会社が口座内で40万円の純利益を計算します。B証券をまたぐからこそ、申告で2社分をつなぐ必要があるわけです。
上場株式等の譲渡損失は、対象となる配当・利子・分配金と通算できる場合があります。ただし、「配当なら何でも」「同じ証券会社なら自動」ではありません。
対象の配当等をその源泉徴収口座へ受け入れる選択がされていれば、証券会社が口座内の譲渡損失と計算します。年間取引報告書と配当の受取設定で受入れ状況を確認します。
口座をまたいで通算する場合などは、対象となる上場株式等の配当等について申告分離課税を選びます。総合課税を選んだ配当とは通算できません。
たとえば、対象となる譲渡損失が30万円、申告分離課税を選ぶ対象配当が10万円なら、通算後も20万円の損失が残ります。この残額を翌年以後へ繰り越すには、損失年の申告から手続きが必要です。
その年の譲渡益や対象配当と通算しても損失が残る場合、確定申告により翌年以後3年間、上場株式等の譲渡益や対象配当から控除できます。
2026年の損失を使えるのは2027年、2028年、2029年です。上の例では2027年に売買がなくても、損失を次へつなぐための申告をします。複数年の繰越損失がある場合は、原則として古い年の損失から控除します。
源泉徴収あり口座の所得は、申告不要を選んでいる間は国民健康保険料などの算定に入らない場合があります。損益通算や繰越控除のために申告すると、通算後の所得が算定対象へ入ることがあります。
たとえば、申告する今年の譲渡益80万円から、要件を満たす前年の繰越損失80万円を控除する例を考えます。ほかの所得や損益はないものとします。
| 確認する制度 | この例の株の金額 | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 株の税額計算 | 繰越控除後0円 | 所得税等・住民税の精算は、源泉徴収済み額と申告内容を確認します。 |
| 税法上の扶養などに使う合計所得金額 | 繰越控除前80万円 | ほかの所得も含め、対象年の控除要件を国税庁・税務署で確認します。 |
| 国民健康保険料の所得算定 | 繰越控除後0円 (横浜市の案内による当該株式所得) | 保険料全体が0円という意味ではありません。世帯・ほかの所得・給付への影響は住所地の自治体へ確認します。 |
当年の損失との通算は、合計所得金額でも通算後の金額を使います。上の例のような前年以前の損失の繰越控除は、合計所得金額から引く前で判定する点が違います。勤務先の健康保険の被扶養者は別制度なので、加入保険者に確認してください。
根拠:国税庁「合計所得金額」の説明、横浜市の株式所得と国保の案内。
「申告すれば得」と一律には決められません。税の減額見込みより、保険料等の増加が大きくなるケースもあります。住所地、世帯、加入制度で結果が変わるため、個別の金額は各窓口で確認します。
制度の重要箇所は、上記の最終更新日に次の公式情報で確認しました。
この記事は一般的な制度説明であり、個別の税務判断を代行するものではありません。国税の申告と課税方式は国税庁・所轄税務署または税理士へ、住民税・国保料・給付への影響は住所地の自治体へ、健康保険の被扶養者判定は勤務先または加入保険者へ確認してください。株式や投資信託には価格変動があり、投資額を下回る損失が生じることがあります。
株の損益通算で迷ったら、最初に各証券会社の年間取引報告書を並べます。同じ源泉徴収口座の中は証券会社が計算し、別会社をまたぐ通算と3年繰越は確定申告、NISAの損失は対象外です。
計算後に損失が残ったら、損失年と翌年以後3年を1本の台帳として管理します。申告する場合は、税の精算額だけでなく、国保・扶養等への影響も確認してから手続きへ進みましょう。