📈 インデックス投資の教科書

インデックス投資の始め方【図解】ファンドの選び方と積立設定

インデックス投資の始め方を図解で解説。積立額の決め方、口座と枠の準備、ファンドの選び方、積立設定で聞かれる7項目までを順にまとめました。

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※投資信託には価格変動リスクや為替変動リスクがあり、投資した資金を下回ることがあります。信託報酬などの費用は保有している間かかり続けます。本記事は特定の商品や金融機関の勧誘を目的としたものではありません。

この記事の結論

インデックス投資とは、市場全体の平均点を表す「指数」に連動する商品を、決めた金額で買い続けるやり方です。銘柄を自分で選んで売買する投資とは、やることがまるで違います。そして、始めるまでに自分で決めることは、突きつめると次の3つだけです。

  • 毎月いくら積み立てるか:値下がりした月でも続けられる金額かどうかが基準になります
  • どの指数に連動する商品を買うか:世界全体に広く分散させるのか、米国に集中させるのか
  • どの口座のどの枠で買うか:ネット証券の口座を用意し、NISAのつみたて投資枠を使うのが基本の形です

この3つが決まれば、あとは画面の入力作業です。ところが、実際に手が止まりやすいのは、その入力画面のほうです。積立の設定画面では、金額のほかに引落方法・積立指定日・NISA枠・分配金コース・ボーナス設定まで聞かれます。名前を見ただけでは判断できない項目が並ぶため、意味が分からないまま初期設定で通してしまいがちです。

そこでこの記事は、決めることを3つに絞ったうえで、設定画面で聞かれる7項目までを5つのステップで通しにしました。始めたあとの点検、値下がりしたときの考え方、そして取り崩しまでを、同じ流れの続きとして扱います。

ステップやることつまずきやすい点
STEP1毎月いくら積み立てるかを決める続けられる金額を考える前に、枠の上限に合わせてしまう
STEP2口座を開き、どの枠で買うかを決める課税口座の種類とNISA枠が別の設問になっていて、申込画面で止まる
STEP3どの指数に連動する商品を買うかを決める指数を決める前に、商品名やランキングから探し始めてしまう
STEP4同じ指数の商品を、5つの軸で1本に絞る信託報酬だけを見て、総経費率と純資産総額を見ていない
STEP5積立を設定する(画面で7項目を入力・選択)分配金コースとNISA枠を、意味が分からないまま初期設定で通す

全体像だけつかみたい方は、この早見表までで流れが追えます。ここから先は、各ステップで何を見て何を決めるのかを、図と表で1つずつ確認していきます。

ヒナコ

ヒナコ

口座は開けたんです。でも、積立設定の画面で手が止まってしまって……。金額を入れて終わりだと思っていたのに、聞かれることが多すぎて、そのまま閉じてしまいました。

トシ

トシ

そこで止まる人はとても多い。インデックス投資でいちばん時間がかかるのは、実は商品を選ぶところではない。設定画面で聞かれる7つの項目を、意味が分からないまま初期設定で通してしまうところだ。あとで「思っていた買われ方をしていない」と気づく原因は、たいていそこにある。

ヒナコ

ヒナコ

7つもあるんですね。分配金コースとか、ボーナス設定とか……名前を見ても何のことだか分からなくて、全部そのままにしてしまいました。

トシ

トシ

一つずつ意味が分かれば、本当に迷う項目は2つか3つに減る。この記事は、先に決めることを3つに絞って、そのうえで設定画面までを5つのステップで並べてある。順番に見ていく。

インデックス投資とは何をすることか

手順に入る前に、これから何を買うことになるのかを整理します。ここが曖昧なままだと、ステップ3以降の判断がすべて感覚頼りになります。

指数とは、市場全体や特定のグループの株価をひとまとめにして数値化したものです。日本ではTOPIXや日経平均株価、米国ではS&P500といった名前をよく見かけます。個別の企業の株価を追いかけるのではなく、その市場が全体としてどう動いたかを表す平均点だと考えると分かりやすくなります。

インデックス投資とは、その指数と同じ値動きをめざす商品を買うことです。特徴は次の3点に集約されます。

インデックス投資は「指数と同じ中身」を1本で持つ 指数 市場全体の平均点 たくさんの企業の集まり 例:S&P500・TOPIX・全世界株式 指数に連動する商品 (ファンド) 指数と同じ構成・ 同じ比率で買う 運用会社が指数に合わせて売買 買う人がすること 1本買う 中身は自動的に分散 銘柄を1社ずつ選ぶ作業がない どの企業が伸びるかを当てにいく投資ではなく、 市場全体をまとめて持つ投資です
【図解のポイント】
インデックス投資では、投資先を1社ずつ選ぶ作業がありません。そのかわり、どの指数に連動する商品を選ぶかが、成果の方向を決めることになります。

器は2種類あります。指数に連動する商品には、投資信託型(インデックスファンド)ETF(上場投資信託)があります。金額を指定して毎月自動で積み立てる形で始めるなら、扱いやすいのは投資信託型です。ETFは市場で売買する商品のため、金額ぴったりの自動買付には向かない場面があります。両者の違いは ETFとは?投資信託との違い で詳しく扱っています。

なぜ指数に連動する商品を選ぶのか(コストと分散)

買うものの正体が見えたところで、次の疑問に進みます。「そもそも、なぜプロが選んだ商品ではなく、指数に連動する商品なのか」。ここに納得がないまま積立を始めると、値下がりした局面で判断が揺れます。理由は大きく2つです。

理由1:保有している間、コストが差になり続ける

投資信託には、保有している間ずっとかかり続ける信託報酬という費用があります。これは運用の成果に関係なく、資産から日々差し引かれます。

商品タイプによって、この水準は大きく違います。金融庁の集計によると、NISAのつみたて投資枠の対象となっている指定インデックス投信の信託報酬の平均は、投資先が国内で年0.27%、内外・海外で年0.34%(いずれも税抜)です。法令上の上限も定められており、投資先が国内なら年0.5%、内外・海外なら年0.75%(税抜)を超える商品は対象になりません(金融庁「つみたて投資枠対象商品」2026年6月17日時点)。

一方、運用会社が銘柄を選んで指数を上回ることをめざすアクティブファンドは、費用の構造が異なります。国内のアクティブファンドの一例として、ひふみプラスを見てみます。信託報酬は純資産総額500億円までの部分で年1.0780%(税込)、500億円を超える部分で0.9680%、1000億円を超える部分で0.8580%です。加えて、申込手数料が3.30%(税込)を上限として販売会社ごとに定められています(ひふみプラス 月次運用レポート2026年3月度)。

低コストの側の実数も挙げておきます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は年0.08140%以内(税込)eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は年0.05775%以内(税込)です(いずれも2026年1月24日使用開始の交付目論見書。純資産総額に応じて段階的に下がる方式)。どちらも購入時手数料はかからず、信託財産留保額もありません。

ここで比べているのは商品タイプによる費用の違いであって、販売している金融機関の良し悪しではありません。同じファンドが複数の窓口で取り扱われることもありますし、申込手数料は販売会社ごとに定められます。「どこで買うか」ではなく「どの費用構造の商品を、どの条件で買うか」という見方をしてください。また、ここで挙げた商品名は費用の構造を具体的に示すための例であり、特定のファンドを推奨・非推奨するものではありません。

理由2:指数を上回り続けることが簡単ではない、という実績がある

コストが高くても、それを上回る成果が出るなら話は別です。この点について、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが継続的に公表している調査があります。

表A|米国の大型株アクティブファンドのうち、S&P500を下回った割合

比較期間S&P500を下回ったファンドの割合
1年78.78%
3年66.84%
5年88.96%
10年85.59%
15年89.93%
20年92.89%

出典:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA U.S. Scorecard Year-End 2025」/カテゴリ All Large-Cap Funds/比較基準:リスク調整を行わないリターン(同レポート Report 1a)(2026年7月21日確認)
https://www.spglobal.com/spdji/en/documents/spiva/spiva-us-year-end-2025.pdf

さらに見落としやすいのが生存率です。同じ調査によると、このカテゴリのファンドが15年後まで存続していた割合は50.55%でした。15年のあいだに、およそ半数のファンドが繰上償還や併合でなくなっている、ということになります。「指数に負けた」以前に「調べる対象として残っていない」ファンドが相当数ある、という構造です。

日本の投資家に関係の深いデータもあります。SPIVA Japan Year-End 2025によると、日本籍のグローバル株式ファンド・国際株式ファンドは、10年・15年のいずれでも、対象となったファンドのすべてが指数を下回りました。日本の大型株ファンドは2025年の単年では49%と例外的に低い水準でしたが、10年・15年では80%を超えています(2026年7月21日確認)。

https://www.spglobal.com/spdji/en/spiva/article/spiva-japan/

これは「アクティブファンドを買ってはいけない」という話ではありません。読み取れるのは、指数を上回り続ける商品を事前に選び当てるのは容易ではないという点、そして指数に連動する商品を選べば、少なくとも費用の差というハンディを小さくできるという点です。なお上記はいずれも過去の実績であり、将来の運用成果を示すものではありません。数値は毎年更新されるため、確認時点の版を添えています。

ステップ1 毎月いくら積み立てるかを決める

ここからが実作業です。最初に決めるのは金額です。商品選びより先にこれを決める理由は、金額が決まっていないと、口座の枠の使い方も引落方法も決まらないからです。

何をするか:生活に使う予定のあるお金と切り分けたうえで、値下がりした局面でも続けられる金額を決めます。

なぜそうするか:インデックス投資で成果が出るまでには時間がかかります。途中で現金が必要になって売却すると、値下がりしている局面でも売らざるを得ません。積立を続けられるかどうかは、意志の強さではなく最初に決めた金額でほぼ決まります。

金額を決めるときに順番に確認したいのは、次の3点です。

少額からでも始められます。たとえば楽天証券の場合、楽天カードクレジット決済・楽天ペイ残高(電子マネー。旧称:楽天キャッシュ)決済とも、毎月100円から設定できます(楽天証券公式/2026年7月21日確認)。「まとまった金額が用意できてから」と待つ必要はありません。

毎月同じ金額で買い続けると、価格が高い月には少なく、安い月には多く買うことになり、取得単価がならされます。この仕組みの詳細と数値での検証は ドルコスト平均法とは にまとめています。また、長く持つほど利益が利益を生む効果が効いてくる点は 複利の効き方 で解説しています。

将来いくらになるかの試算は、前提の置き方で結果が大きく変わります。金額の目安を見たい場合は NISAシミュレーション で自分の条件を入れて確認してください。

投資信託の価格は日々変動し、購入した金額を下回ることがあります。積立の途中で評価額がマイナスになる期間は起こりえます。ここで決める金額は、その状態が数年続いても生活に支障が出ない範囲にとどめてください。

まとまった資金がある場合の考え方

すでに手元にまとまった資金がある場合、「一度に入れる」か「時間を分けて入れる」かで迷うところです。結論から言うと、どちらが有利かは事前には分かりません。買ったあとに相場が上がる局面なら早く入れたほうが結果はよくなりますし、下がる局面なら分けて入れたほうが平均の取得単価は下がります。相場の方向は事前に分からないため、この2つに一般解はありません。

判断の材料になるのは、次の2点です。

なお、クレジットカード決済で積み立てる場合は月10万円という上限があります(後述のステップ5で扱います)。まとまった資金を短期間で入れたい場合、この方法だけでは対応できない点も判断材料になります。

ステップ2 口座を用意し、どの枠で買うかを決める

金額が決まったら、次は買うための器を用意します。ここで決めるのは「どこで口座を開くか」と「どの枠で買うか」の2つです。

何をするか:ネット証券で総合口座を開き、同じ申込のなかでNISA口座も一緒に申し込みます。そのうえで、インデックス積立をどの枠で買うかを決めます。

なぜそうするか:NISA口座は1人につき1口座しか持てず、金融機関の変更は年単位でしか行えません。総合口座を開いたあとに別途申し込むこともできますが、同時に申し込むほうが手続きは1回で済みます。

表B|口座と枠──何を決めるのか

決めること選択肢インデックス積立での考え方
どこで口座を開くかネット証券/対面の金融機関引落方法の選択肢と、扱っている商品の本数で決まります。各社の違いは ネット証券の投資信託ランキング で比較しています
課税口座の種類特定口座(源泉徴収あり)/特定口座(源泉徴収なし)/一般口座損益の計算と納税の手間が変わります。仕組みは 特定口座とは を参照してください
NISA口座を同時に申し込むか同時に申し込む/後から申し込む1人1口座、金融機関の変更は年単位です。先に決めておくほうが手戻りが少なくなります
どの枠で買うかつみたて投資枠/成長投資枠/課税口座毎月の自動積立を続けるなら、まずはつみたて投資枠を使うのが基本の形です
枠を超える分をどうするか成長投資枠を使う/課税口座で買うつみたて投資枠は年120万円(=月10万円ペース)です。これを超える金額を積み立てる場合の受け皿を先に決めておきます

つみたて投資枠が基本になる理由は、対象商品が絞り込まれている点にあります。この枠で買える商品は金融庁が定めた基準を満たすものに限られ、2026年6月17日時点で357本です。指定インデックス投信の場合、信託報酬は投資先が国内なら年0.5%以下、内外・海外なら年0.75%以下(いずれも税抜)という法令上の上限が課されています。

制度の細かい数値は 新NISAの仕組みと始め方 の管轄です。インデックス積立を続けるうえで押さえておきたいのは、次の3点に絞られます(金融庁/2026年7月時点)。

出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products//金融庁「NISAを知る」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/(いずれも2026年7月21日確認)

なお、iDeCoという別の器もあります。枠の使い方が異なるため、どちらを先に使うかは加入区分や資金の使い道によって変わります。

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ステップ3 どの指数に連動する商品を選ぶか

器が用意できたところで、ようやく「何を買うか」の話に入ります。ただし、いきなり商品名を探すと迷います。先に決めるのは商品名ではなく指数です。

何をするか:どの範囲の市場に投資するのかを、指数のレベルで決めます。商品を絞り込むのは、そのあとのステップ4です。

なぜそうするか:同じ指数に連動する商品は複数の運用会社から出ています。指数が決まっていないと、比べる対象がそろわず、条件の違う商品を並べて悩むことになります。

指数選びは、次の3つの問いに答えると輪郭が決まります。

  1. 投資先を世界全体に広げるか、1つの国に集中させるか
    全世界株式の指数に連動する商品は、世界各地の株式市場をまとめて持つ形になります。米国の指数(S&P500など)に連動する商品は、米国という1つの国に集中させる形です。分散の広さと、その国の成長にどこまで賭けるかのバランスをどう取るか、という問いになります。
  2. 中身の重なりをどう扱うか
    「全世界」と名前が付いていても、中身は均等ではありません。多くの指数は時価総額加重、つまり規模の大きい企業ほど比率が高くなる方式で作られています。実際、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の組入上位通貨は米ドルが65.2%、ユーロ7.7%、円4.9%です(2025年10月31日時点・交付目論見書)。全世界株式と米国株式を両方買っても、思ったほど分散が広がらない場合があるのは、この構造によります。
  3. 何本持つか
    1本で完結させるか、複数を組み合わせて自分で配分を決めるか。複数持つと、配分の点検という作業が加わります。点検の考え方は リバランス方法 で扱っています。

迷ったときは、問い1だけを先に決めます。投資先を世界全体に広げるのか、1つの国に集中させるのか。ここが決まると、問い2の重なりも問い3の本数も、選択肢がぐっと減ります。3つを同時に考えようとすると手が止まります。

為替の影響も、この段階で理解しておきたい点です。円建てで外国株の指数に連動する商品を買うと、基準価額は現地の株価だけでなく為替レートの影響も受けます。たとえばeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が連動をめざすのは「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」です。交付目論見書には「原則として、為替ヘッジは行いません。為替ヘッジを行わないため、為替相場の変動による影響を受けます」と明記されています。米国の株価が上がっても円高が進めば円建ての評価額は伸びにくくなり、逆の局面ではその反対が起こります。どちらか一方に有利な仕組みではなく、両方向に振れるという理解が要ります。

全世界株式と米国株式のどちらを選ぶかについては、項目ごとの比較と重複の扱いを S&P500とオルカンはどっちを選ぶべきか にまとめています。それぞれの指数がどんな企業で構成されているかは S&P500とはオルカン(全世界株式)とは を参照してください。

どの指数を選んでも、株式に投資する商品という点は変わりません。市場全体が下落する局面では、分散していても評価額は下がります。指数の選択は「下がりにくくする」ための判断ではなく、「どの市場の成長を受け取るか」を決める判断です。

ステップ4 ファンドを選ぶ5つの軸

指数が決まると、候補は一気に絞られます。それでも、同じ指数に連動する商品が複数の運用会社から出ているのが普通です。ここからは、その中の1本をどう選ぶかを扱います。

何をするか:候補のファンドについて、交付目論見書を開き、5つの軸を順に確認します。

なぜそうするか:ネット証券の商品ページに出ている情報は要約です。連動する指数の正確な名称、費用の内訳、繰上償還の条件は、目論見書に書かれています。長く持つ商品なので、ここは1回だけ手間をかける価値があります。

表C|ファンドを選ぶ5つの軸

何を見るかどう考えるか
①連動する指数交付目論見書「ファンドの目的・特色」。正式名称と、配当込みか・円換算ベースか名前が似ていても連動指数が違うことがあります。ステップ3で決めた指数と一致しているかを確認します
②信託報酬「お客様にご負担いただく費用」欄。年率(税込)と、純資産に応じて下がる方式かどうか保有している間かかり続けます。同じ指数なら、この差はそのまま成果の差の一部になります
③総経費率(実質コスト)「(参考情報)ファンドの総経費率」欄。対象期間も一緒に見る信託報酬だけでは見えない費用の一部が表れます。信託報酬より高い数字になるのが通常です
④純資産総額と繰上償還純資産総額の推移と、「お申込みメモ」の繰上償還の条項規模が小さいまま推移すると、運用が途中で終わる可能性があります。長く持つ前提なら見ておきたい項目です
⑤為替ヘッジと分配方針「為替ヘッジは行いません」等の記載と、分配金の実績ヘッジの有無で値動きの性質が変わります。分配方針は、次のステップ5の分配金コースの判断につながります

③の総経費率は、この記事でいちばん伝えたい軸です。信託報酬は「これだけかかります」と事前に示される料率です。ところが実際には、このほかに売買委託手数料・海外の保管費用・監査費用などが差し引かれています。これらを含めた実績は交付運用報告書で開示されますが、近年は交付目論見書にも「総経費率」として掲載されています。具体例を挙げます(いずれも2024年4月26日〜2025年4月25日の実績/2026年1月24日使用開始の交付目論見書)。

表面の信託報酬と、実際にかかった費用 eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) 運用管理費用 0.08874% 総経費率 0.10% (詳細 0.09591%) eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) 運用管理費用 0.05761% 総経費率 0.08% (詳細 0.07736%) 運用管理費用 その他費用(信託報酬に含まれない実費) 「その他費用」の中身 売買委託手数料/海外での保管費用/監査費用/信託事務の諸費用 など 総経費率は、原則として購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税を除いて算出されています 対象期間:2024年4月26日〜2025年4月25日(交付目論見書)
【図解のポイント】
信託報酬は事前に示される料率、総経費率は実際にかかった費用の実績です。同じ指数に連動する商品を比べるときは、信託報酬だけでなく総経費率まで見ておくと判断の精度が上がります。

総経費率は、原則として購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税を除いて算出されています。「総経費率=かかる費用のすべて」ではありません。信託報酬だけでは見えない費用の一部が見える指標として使ってください。また、総経費率は対象期間の実績であり、次の期間も同じ水準になるとは限りません。

④の繰上償還についても触れておきます。運用が途中で終了すると、その時点の基準価額で強制的に精算されます。値下がりしている局面で終了すれば、そのタイミングで損益が確定してしまいます。繰上償還の条件はファンドごとに交付目論見書の「お申込みメモ」に書かれており、書き方はファンドによって違います。受益権の口数を基準にするもの純資産総額を基準にするものがあります。たとえば eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)・同 全世界株式(オール・カントリー)は、いずれも「受益権の口数が10億口を下回ることとなった場合」等が繰上償還の事由として挙げられています(2026年1月24日使用開始の交付目論見書/2026年7月21日確認)。純資産総額の規模は、その意味でも見ておきたい項目です。参考として、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の純資産総額は9兆2551億円、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は8兆2758億円です(いずれも2025年10月31日時点)。

⑤の分配方針は、次のステップ5の「分配金コース」に直結します。たとえばeMAXIS Slimシリーズのこの2本は、設定来の分配実績が0円です。分配金を出さずに再投資に回す方針の商品では、そもそも分配金コースの選択が結果に影響しにくくなります。

ヒナコ

ヒナコ

同じS&P500に連動する商品が、いくつも並んでいるんです。名前もほとんど同じで……。信託報酬がいちばん安いものを選べばいいんでしょうか。

トシ

トシ

信託報酬は最初に見る数字だ。ただ、それだけだと見落とす費用がある。実際にかかった費用の一部は、交付目論見書の「総経費率」という欄に載っている。表面の年0.08140%以内に対して、実績は0.09591%だった——そういう差がそこで見える。

ヒナコ

ヒナコ

事前に示されている数字と、実際にかかった数字は違うんですね。それ、商品ページには出ていませんでした。

トシ

トシ

商品ページに出ているのは要約だ。目論見書まで開く手間は、長く持つ商品なら1回かける価値がある。そのうえで、純資産総額と繰上償還の条項まで見ておく値打ちがある。規模が小さいまま推移したファンドは、途中で運用が終わることがある。

ステップ5 積立を設定する──画面で聞かれる7つのこと

ここがこの記事の核心です。ステップ1〜4で決めたことを、実際の画面に入力していきます。ところが、この画面で聞かれるのは金額だけではありません。証券会社によって項目名や並び順は違いますが、聞かれることはほぼ共通して7つです。

何をするか:積立の設定画面で、①ファンド ②積立金額 ③引落方法 ④積立指定日 ⑤NISA枠 ⑥分配金コース ⑦ボーナス設定 の7項目を入力・選択します。

なぜそうするか:この7つは、あとから変更できるものと、変更に手続きが要るものが混ざっています。意味が分からないまま初期設定で通すと、「NISA枠のつもりが課税口座で買われていた」「分配金が想定と違う扱いになっていた」といったズレが後から表面化します。

※本記事では用語を「引落方法」に統一します。証券会社の画面では「決済方法」「引落コース」などと表記される場合があります。

積立設定 1 ファンド ステップ4で絞った1本 迷ったら:目論見書の連動指数が ステップ3の決定と一致しているか 2 積立金額 毎月◯円(あとから変更可) 迷ったら:下がっても続けられる 金額にしておく 3 引落方法 証券口座・銀行・カード・電子マネー 迷ったら:上限額と積立指定日が この選択でまとめて決まる 4 積立指定日 毎月◯日 迷ったら:引落方法によって 選べる日が変わる 5 NISA枠 つみたて投資枠・成長投資枠・課税口座 迷ったら:飛ばすと課税口座で 買われることがある 6 分配金コース 再投資・受取 迷ったら:再投資先がNISA枠か 課税口座かまで確認 7 ボーナス設定 あり・なし 迷ったら:使わないなら「なし」 引落方法により設定できない 証券会社によって項目名は違っても、聞かれることはほぼ同じ 7つのうち、あとから直しにくいのは⑤NISA枠の指定
【図解のポイント】
証券会社ごとに画面の見た目は違いますが、聞かれる内容はほぼ共通です。色を濃くした③引落方法と⑤NISA枠が、あとの手戻りに直結しやすい2つです。

表D|積立設定で聞かれる7項目

項目何を選ぶか迷ったときの考え方証券会社による違い
①ファンドステップ4で絞った1本商品ページの表示ではなく、目論見書の連動指数が一致しているかを確認します取扱本数が異なります
②積立金額毎月いくら積み立てるかステップ1で決めた金額を入れます。あとから変更・停止ができます楽天証券は楽天カード決済・楽天ペイ残高決済とも毎月100円から
③引落方法証券口座/銀行口座/クレジットカード/電子マネー など上限額・積立指定日・ポイント付与の条件が、この選択でまとめて決まります。7項目でいちばん影響が大きい設問です選べる方法も、方法ごとの上限額も各社で異なります
④積立指定日毎月何日に買い付けるか引落方法によって、選べる日が決まっている場合と自由に選べる場合があります楽天証券の楽天カード決済は毎月1日・8日・12日で選択できません。楽天ペイ残高決済は1日〜28日から選べます
⑤NISA枠つみたて投資枠/成長投資枠/課税口座ここを飛ばすと、意図しない区分で買われることがあります。設定後に取引履歴で区分を確認しておきたい項目です選択欄の名称と位置が各社で異なります
⑥分配金コース再投資/受取再投資を選ぶ場合、再投資先がNISA枠か課税口座かまで確認します(後述)SBI証券は積立買付の申込時が「再投資」。受取への変更は購入後に手続きします
⑦ボーナス設定あり/なし年に数回だけ増額したい場合に使います。使わないなら「なし」のままで進みます楽天証券の楽天カード決済・楽天ペイ残高決済では設定できません

③引落方法──7項目でいちばん影響が大きい設問

引落方法を選ぶと、上限額・積立指定日・ポイント付与の条件が連動して決まります。ここを最初に決めておくと、以降の設問で迷いません。

楽天証券の場合(楽天証券公式/2026年7月21日確認)

出典:楽天証券「楽天カードクレジット決済で投信積立」https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/creditcard.html/同「楽天ペイ残高(電子マネー)で投信積立」https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/rcash.html

SBI証券・三井住友カードの場合(三井住友カード公式/2026年7月21日確認)

出典:三井住友カード「三井住友カードつみたて投資のポイント付与率および条件」https://www.smbc-card.com/mem/for_sbi/plan/pop/index.jsp

構造の違いを整理すると、楽天証券はカードランクとファンドの代行手数料で決まる方式SBI証券・三井住友カードはカードの種類と年間のカード利用金額で決まる方式です。どちらが有利かは、自分のカードの種類と使い方によって変わります。各社の還元率を並べて比べたい場合は クレカ積立の還元率比較 を参照してください。

クレジットカード決済の月10万円について
クレジットカード決済による投信積立が月10万円まで設定できるようになったのは、2024年3月8日に公布・即日施行された金融商品取引業等に関する内閣府令の改正によるものです。正確には「上限が10万円に拡大した」のではなく、10万円の数え方が「信用供与の残高ベース」から「その月の買付代金の総額ベース」に変わり、実務上あった月5万円の制限が解消された、という改正です。NISAのつみたて投資枠の年120万円(=月10万円ペース)に対応する形になりました。
出典:金融庁(2024年3月8日公表)https://www.fsa.go.jp/news/r5/shouken/20240308/20240308.html

⑤NISA枠──設定後に取引履歴で確認しておきたい項目

7つのうち、あとから直しにくいのがこの設問です。買い付けが済んだあとで「つみたて投資枠のつもりが課税口座だった」と気づいても、その買付をNISA口座へ移すことはできません。設定を保存したら、最初の買付が行われたあとに取引履歴で区分を確認しておくと安心です。

⑥分配金コース──「再投資」を選ぶときにもう1段確認する

分配金コースは「再投資」と「受取」の2択に見えますが、NISA口座で再投資を選ぶ場合はもう1段の選択があります。SBI証券では、NISA預りのファンドの分配金を「再投資」にする場合、再投資先を「NISA預り」にするか「特定/一般預り」にするかを選べます。そして初期設定は「NISA口座優先で再投資」です(SBI証券公式/2026年7月21日確認)。NISA預りで再投資すると、その再投資分は、あらためて買付が行われる扱いになります。年間の投資枠を使い切りそうな場合は、この設定の意味が変わってきます。

出典:SBI証券「NISA預り 投信分配金の再投資方法」SBI証券 公式ページ

なお、そもそも分配金を出さない方針のファンドであれば、この設問の影響は小さくなります。ステップ4の⑤で分配実績を確認しておくと、ここでの判断が楽になります(eMAXIS Slim 米国株式・全世界株式は、いずれも設定来の分配実績が0円です)。

⑦ボーナス設定と、目論見書の確認画面

ボーナス設定は、年に数回だけ増額して買い付ける仕組みです。使わない場合は「なし」のまま進めて構いません。前述のとおり、楽天証券の楽天カード決済・楽天ペイ残高決済では設定できません。

設定を確定する前に、交付目論見書の確認画面が表示されます。ここで見ておきたいのは、ステップ4で確認した項目と同じです。連動する指数の正式名称、信託報酬、総経費率、繰上償還の条項、為替ヘッジの有無。同意ボタンを押す前の、最後の確認機会になります。

投資信託には価格変動リスク・為替変動リスクがあり、投資した資金を下回ることがあります。信託報酬などの費用は保有している間かかり続けます。手数料・取扱商品・積立の上限額やポイント付与の条件は変更されることがあります。口座開設や積立の設定を行う前に、各社の公式サイトで最新の条件とリスクに関する説明をご確認のうえ、ご自身の判断で選んでください。

口座開設の窓口(掲載順は優劣を示すものではありません)

※どのネット証券が自分に合うかを比べたい場合は ネット証券の投資信託ランキング をご覧ください。クレカ積立の還元率で比べたい場合は クレカ積立の還元率比較 にまとめています。

設定してから、実際に買われるまで

設定を保存すると、多くの人が最初に戸惑うのが「保存したのに、口座の画面が何も変わらない」という状態です。これは異常ではありません。投資信託の積立は、設定した瞬間に買われるわけではないからです。

何をするか:積立指定日から評価額に反映されるまでに、いくつかの段階があることを把握しておきます。

なぜそうするか:この時間差を知らないと、「設定を間違えたのではないか」と不安になり、設定をやり直したり二重に申し込んだりする原因になります。

設定してから、保有残高に反映されるまで 1 積立指定日 設定した日に、買付の申込が行われる 2 買付の申込 この時点では、いくらで買えるかはまだ決まっていない 3 約定 基準価額が決まり、購入する口数が確定する 4 受渡 代金の決済が行われる 5 保有残高に反映 口数が確定し、評価額の画面に表示される かかる日数はファンドごとに決まっており、交付目論見書の「お申込みメモ」に記載されています 設定したタイミングによっては、最初の買付が翌月からになる場合があります
【図解のポイント】
積立の設定を保存しても、その日のうちに残高が動くわけではありません。買付の申込から保有残高に反映されるまでには段階があり、この時間差が「設定できていないのでは」という不安の正体です。

流れを言葉で追うと、次のようになります。

  1. 積立指定日:設定した日に、買付の申込が行われます。
  2. 買付の申込:この時点では、いくらで買えるかは決まっていません。投資信託は注文時点で価格が分からない仕組みになっているためです。締切時刻はファンドごとに交付目論見書へ記載されており、たとえば eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)・同 全世界株式(オール・カントリー)は「原則として午後3時30分まで」です。ただし目論見書にも「販売会社によっては異なる場合があります」と明記されているため、実際の締切は口座を持っている証券会社の案内で確認してください。
  3. 約定:基準価額が決まり、購入する口数が確定します。申込日から何営業日目に約定するかはファンドごとに決まっていて、交付目論見書の「お申込みメモ」に書かれています。上記2本は、いずれも「購入申込受付日の翌営業日の基準価額」で約定します。投資対象が海外にあるファンドは、その市場の休業日には購入・換金の申込ができない点もあわせて確認しておきたいところです。
  4. 受渡:代金の決済が行われます。買付代金をいつ支払うかは交付目論見書では「販売会社が指定する期日までに」とされており、証券会社と引落方法によって決まります。積立の設定画面や取引履歴で、次回の引落日と受渡日を確認できます。
  5. 保有残高に反映:口数が確定して初めて、評価額の画面に表示されます。

出典:三菱UFJアセットマネジメント 交付目論見書(2026年1月24日使用開始)/eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(2026年7月21日確認)

最初の1回だけ、買付が翌月以降になる場合があります。積立の設定には引落方法ごとに申込の締切日があり、締切日を過ぎた設定は次の回に回ります。たとえば楽天証券では、楽天カードクレジット決済と楽天ペイ残高(電子マネー)決済の場合、毎月12日が翌月分の申込締切日とされています(楽天証券公式/2026年7月21日確認)。締切日の扱いは証券会社と引落方法によって異なるため、設定を保存したあとに表示される初回購入日を確認してください。

なお、楽天証券の楽天カードクレジット決済のように、積立指定日が毎月1日・8日・12日のいずれかに固定され、利用者が選べない方式もあります。この場合、設定したタイミングによっては次の買付までに日が空くことになります。

買付されないときに確認する4点

指定日を過ぎても買付が行われていない場合、原因はほぼ次の4つのどれかです。上から順に確認していくと切り分けができます。

  1. 引落方法に応じた資金が用意できているか
    証券口座からの引落なら口座の残高、銀行口座からの引落なら引落日の残高、クレジットカード決済ならカードの利用可能枠と締め日の関係を確認します。残高不足や限度額超過があると、その月の買付は行われません。
  2. NISAの年間投資枠が残っているか
    つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円が上限です(金融庁/2026年7月時点)。枠を使い切ると、その枠での買付はそこで止まります。超過分をどう扱うかは証券会社の設定によって異なるため、ステップ2で決めた受け皿の設定を確認します。
  3. 積立設定が有効になっているか、申込の締切に間に合っているか
    設定の保存が完了していない、あるいは初回買付の締切日を過ぎているケースです。設定一覧の画面で、対象のファンドが「積立中」の状態になっているかを確認します。
  4. 積立指定日が営業日かどうか
    指定日が休日にあたる場合、買付は前後の営業日にずれます。指定日の当日に画面を見ても反映されていないのは、この理由によることが少なくありません。

この4点を確認しても状況が変わらない場合は、証券会社の問い合わせ窓口に設定の状態を確認してもらうのが早い手順になります。

積み立て始めたあとにすること・しないこと

積立の設定が終わり、買付が資産に反映されるところまで確認できたら、ここからは「決める」局面から「続ける」局面に変わります。そして、続ける局面でやることは驚くほど少ないです。むしろ「やらなくても運用が進むこと」を先に決めておくほうが、結果として長く続きます。ここでは、口座を見る頻度、年に1回の点検で見る項目、積立額を変えたくなったときの考え方の3つを順に確認します。

口座はどのくらいの頻度で見ればよいか

積立は設定した日に自動で実行されるため、毎日ログインしなくても買付は進みます。評価額を頻繁に見ても、その月に買われる金額や口数が変わるわけではありません。

一方で、見る回数が増えるほど、値動きに反応して設定を変えたくなる場面は増えます。値下がりした月に積立を止め、値上がりしてから再開する。こうした調整を繰り返すと、自分が何をしたのかを後から追えなくなります。目安としては、始めてから2〜3か月は「予定どおり買付が実行されているか」を確認します。それ以降は、数か月に一度でも積立の状況は把握できます。

見る頻度を決めておくことは、我慢の問題ではなく設計の問題です。「見ない期間」をあらかじめ決めておくと、判断する回数そのものが減ります。

年に1回、点検で見る項目

「ほったらかし」と言われる方法でも、年に1回は開けておきたい項目があります。時間にすれば10分程度の作業です。

  1. 買付が実行されているか:買付履歴・約定履歴で、設定した金額が毎月買われているかを確認します。
  2. 引落方法が使える状態か:クレジットカードの有効期限が切れていないか、引落口座の残高が足りているか。ここが止まると買付も止まります。
  3. 今年のNISAの枠をどれだけ使ったか:つみたて投資枠は年120万円です。積立額を増やしたい場合は、この枠との関係を先に見ておきます(制度の詳細は 新NISAの仕組みと始め方)。
  4. 積立額が今の家計に合っているか:収入や固定費が変わっていれば、金額のほうを合わせ直します。
  5. 持っているファンドの本数と、配分のずれ:複数の商品を持っている場合、値動きの差で当初の割合からずれていきます。ずれをどう戻すか(リバランス)の具体的な手順は リバランス方法 の管轄です。ここでは「ずれているかどうかを見る」ところまでで十分です。
  6. 保有ファンドの費用と運用状況:交付目論見書や運用報告書が更新されていれば、信託報酬・総経費率・純資産総額の欄を見ておきます。
年に1回の点検は「売買の判断をする日」ではありません。動いていない設定を見つけて直す日だと考えると、点検が値動きへの反応に変わりにくくなります。

積立額を変えたくなったとき

積立額は途中で変更できます。増やすことも減らすこともでき、一度決めた金額を守り続ける必要はありません。

ただし、変更の申込がいつの買付から反映されるかは、証券会社と引落方法によって異なります。多くの場合、引落方法ごとに申込の締切日が決まっていて、締切日までに変更すれば次回の買付から反映され、締切日を過ぎるとその次の回からになります。たとえば楽天証券では、楽天カードクレジット決済と楽天ペイ残高(電子マネー)決済の締切日は毎月12日とされています(楽天証券公式/2026年7月21日確認)。「来月から下げたつもりが、今月分はもう買われていた」ということが起こり得るため、変更したあとは次回の買付日を確認しておきたいところです。

なお、金額だけを変える場合と、ファンド・口座区分・引落方法・分配金コースを変える場合とでは扱いが異なり、後者は既存の設定をいったん解除して新しい設定を作り直す処理になる証券会社があります。

出典:楽天証券「積立設定の変更 操作ガイド」https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/sousa/sousa_tsumitate_henko.html

そして、減額は失敗ではありません。金額を下げてでも続いている状態は、止めてしまった状態とは違います。家計が苦しくなったときに真っ先に検討したいのは、売ることではなく金額を下げることです(選択肢の全体像は「続けられなくなったときの選択肢」の表Fにまとめます)。

やらなくても運用が進むこと

いずれも「してはいけない」という話ではなく、やらなくても積立は進むという話です。手間を増やした分だけ結果が良くなる構造にはなっていない、という点は押さえておきたいところです。

値下がりしたときに何が起きるか

やることが少ない局面が続いても、いつかは相場が下を向きます。続けるうえで、いちばん揺さぶられるのがこの場面です。ここは精神論で乗り切る場所ではなく、先に「何が起きるか」を知っておく場所です。

起きることは、同時に3つあります

  1. すでに持っている分の評価額が下がります。買った価格より基準価額が下がれば、その差は含み損として表示されます。
  2. 積立は同じ金額で続きます。定額で買い続けている間は、価格が下がった月ほど、同じ金額で買える口数が増えます(取得単価がならされる仕組みは ドルコスト平均法とは)。
  3. その口数が将来どうなるかは、その時点では分かりません。増えた口数が有利に働くかどうかは、そのあとの値動き次第です。

この3つは同時に起きます。「安く買える機会」だけを見ても、「資産が減っていく」だけを見ても、片側しか見ていないことになります。

実際にどのくらいの幅で動いてきたか

では、これまでどのくらいの幅で動いてきたのか。交付目論見書に記載されている実績を見ておきます。

表E-1|年間騰落率(2020年11月末〜2025年10月末)

ファンド最小最大平均
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)−6.1%+55.5%+24.6%
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)−5.6%+56.5%+21.3%

表E-2|年間収益率の推移(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))

年間収益率
2018年(7月3日の設定から年末まで)−7.7%
2019年+30.5%
2020年+10.3%
2021年+44.5%
2022年−6.1%
2023年+34.6%
2024年+40.8%

出典:三菱UFJアセットマネジメント 交付目論見書(2026年1月24日使用開始版)/eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(2026年7月21日確認)

この表の読み方

下落がどこまで続くか、いつ・どの水準まで戻るかを事前に知る方法はありません。本記事では「何年で回復する」といった見通しは示しません。数年以内に使う予定のあるお金を積立に回していると、値下がりしている局面で売らざるを得なくなることがあります。

下がったときに取れる行動は4つ

どれを選ぶかは、相場のほうではなく自分の側の条件で決まります。手続きと影響の違いは、次章「続けられなくなったときの選択肢」の表Fで整理します。

ヒナコ

ヒナコ

はじめて評価額がマイナスになりました。アプリを開くのが少し怖くて……。このまま続けていいのか、いったん止めたほうがいいのか、自分では判断がつかないです。

トシ

トシ

怖いと感じるのは自然な反応だ。ただ、判断の材料は気分ではなく2つしかない。ひとつは、そのお金を何年後に使う予定なのか。もうひとつは、今の積立額のままで今月の生活が回るか。この2つが始めたときと変わっていないなら、値下がりしたこと自体は設定を変える理由にならない。

ヒナコ

ヒナコ

逆に、その2つが変わっていたときは、どうすればいいですか。

トシ

トシ

そのときは金額を下げるか、いったん買付を止める。売るかどうかはその次の話だ。減額・一時停止・設定解除・売却の順に段階があると知っていれば、下がった月にいきなり全部売るという判断にはなりにくい。順番は次の章に表で並べてある。

続けられなくなったときの選択肢

前の章で見たのは、相場のほうが動いたときの話でした。ここで扱うのは、自分の側の前提が変わったときの話です。収入が変わる、支出が増える、まとまった出費が来る。積立を始めたあとに家計の前提が変わることは珍しくありません。

「続けられなくなった=失敗」ではありません。売却の手前に、3つの段階があります。ここを知らないまま「もう無理だ」と全部売ってしまうのが、いちばんもったいない終わり方です。

表F|続けられなくなったときの4つの選択肢

選択肢手続き再開できるかその後どうなるか
① 減額積立設定の金額を変更する積立は続く。金額は何度でも変えられる買付が続くので口数は増え続ける。保有分の価格変動は受け続ける
② 一時的に買付を止める積立設定を解除する、または当月分をスキップする。「一時停止」という独立したメニューがある会社と、設定の解除で対応する会社があります再開できる。ただし同じ設定がそのまま残るとは限らず、設定を作り直す必要がある場合があります新しい買付は止まる。保有分はそのまま。止まっている間、NISAの枠は使われない
③ 設定解除積立設定そのものを削除する再開するには設定をやり直す保有分は残る。金額・指定日・引落方法の設定は消える
④ 一部売却/全部売却保有ファンドの売却を注文する買い直しはできるが、非課税の枠の扱いが変わる現金化される。NISA口座での売却分は翌年以降に簿価の分だけ枠が復活(当年中には復活しない)

※各社で呼び方も、操作の場所も、そもそもどの選択肢が用意されているかも異なります(「積立の停止」「解除」「休止」など)。ご自身が使っている証券会社の画面でご確認ください。

①〜③は、保有している分を売っていません。買うのを止めているだけで、資産は市場に置かれたままです。売却は最後の選択肢として残しておけます。

売る前に知っておきたいNISAの扱い

NISA口座で保有している商品を売却した場合、非課税保有限度額は翌年以降に、簿価(取得金額)の分だけ復活します。当年中には戻らず、復活するのは売却時の時価ではなく買ったときの金額です。また、NISA口座で生じた損失は、特定口座や一般口座の譲渡益・配当等と損益通算できず、繰越控除もできません。課税口座での売却とは扱いが違う点は、売る前に知っておきたいところです。制度そのものの仕組みは 新NISAの仕組みと始め方 で扱っています。

出典:金融庁「NISAを知る」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/(2026年7月21日確認)

「積立を止める」と「売る」は別の操作です。積立設定を解除しても保有しているファンドは自動的に売却されません。逆に、全部売っても積立設定が残っていれば、翌月にまた買付が実行されることがあります。どちらか片方だけを操作したつもりで、もう片方が動き続けていたというのは起こりやすい行き違いです。

いつ、どうやって取り崩すか

積み立てる話はここまでです。ここからは出口、つまり使う段階の話をします。始め方の記事で出口まで扱うのは、順番が逆に見えるかもしれません。ただ、「いつ何に使うお金なのか」が決まっていないと、毎月いくら積み立てるかも、値下がりしたときにどうするかも決まりません。出口は最後に考えることではなく、最初の設計に含まれるものです。

いつ売るかは、相場ではなく予定から決める

「いくらまで増えたら売る」という決め方は、いつまでも売れなくなる決め方でもあります。金額を目標にすると、その金額に届いた瞬間に「もう少し待てばもっと増えるかもしれない」という判断が残るためです。

出口の設計で先に決めておきたいのは、いつ・何に使うお金なのかです。使う時期が近づくほど、その時点の価格が結果を左右しやすくなります。使う予定が数年以内に迫ってきた資金と、まだ何十年も先の資金では、置いておく場所の考え方が変わります。

本記事では、取り崩す割合の目安(毎年どのくらい取り崩すか)は示しません。 適切な割合は資産額・毎月の支出・他の収入・使う期間によって変わり、一律の数字を置くことができないためです。ここでは「どういう方法があるか」の整理までにとどめます。

取り崩し方は大きく3通り

このうち、設定の中身が分かりにくいのが定期売却サービスです。指定の方法が3通りあります。

表G|定期売却サービスの3つの指定方法

指定方法どう決まるか向く場面
① 金額指定(定額)毎回受け取る金額を自分で決める。楽天証券の場合、1000円以上1円単位で、概算売却可能金額・現在の評価額の50%以下という条件があります受取額を家計に組み込みたい場合。ただし基準価額が下がった回は、同じ金額を受け取るために売る口数が増えます
② 定率指定あらかじめ決めた率に相当する口数を毎回売却する。楽天証券の場合、率は0.1%以上50%以下・0.1%単位で指定し、算定の基準はその売却日の保有口数(時価残高ではありません)受取額の変動を受け入れて、資産の減り方をならしたい場合。基準価額が下がった回は受取額も減ります
③ 期間指定最終受取年月を指定し、保有口数を売却回数で等分する。楽天証券の場合、最大受取期間は50年未満です使い終える時期が決まっている場合。受け取り終える年月から逆算されます

出典:楽天証券「定期売却サービス」(2019年12月開始)https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/guide/teikibaikyaku.html/SBI証券「投資信託定期売却サービス」(いずれも2026年7月21日確認)
※提供内容・設定できる条件・対象ファンドは各社で異なり、変更されることがあります。申込の前に各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

3つのどれを選ぶか迷ったときは、「使い終える時期が決まっているか」から見ます。決まっているなら③期間指定が対応します。決まっていない場合は、受取額を一定にしたいのか(①)、資産の減り方をならしたいのか(②)という違いになります。

売却してから、手元に届くまで

売却を注文したその日に現金を受け取れるわけではありません。約定と受渡を経て出金できるようになるまで、日数がかかります。何営業日かかるかはファンドごとに交付目論見書の「お申込みメモ」に書かれています。たとえば eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は「換金申込受付日から起算して5営業日目から」、同 全世界株式(オール・カントリー)は「6営業日目から」販売会社が支払うとされています(2026年1月24日使用開始の交付目論見書/2026年7月21日確認)。同じシリーズでも投資対象によって日数が違う、という点は覚えておきたいところです。加えて、証券口座に入った代金を銀行口座へ移す手続きにも時間がかかります。

使う予定日の直前に注文すると間に合わないことがあります。支払いの期日が決まっている資金は、日数を確認したうえで前倒しで注文しておきたいところです。

取り崩している間も、価格の変動は続きます。値下がりしている局面で定額の取り崩しを続けると、同じ金額を受け取るために売る口数が増えます。取り崩しの計画は、他の収入や手元の現金の残高と合わせて考えたいところです。値動きのある商品を、生活費の支払い期日に合わせて売る設計にすると、価格を選べなくなる点にも注意が必要です。

インデックス投資の限界とリスク

ここまで、判断が必要になる場面ごとに短い注意を挟んできました。この章では、それらを含めて全体をまとめて確認します。始める前に一度、読み終えてから一度、この章だけ見返すという使い方ができるように並べています。

値下がりして、投資した資金を下回ることがあります

預金とは違い、価格は日々変動します。表E-2のとおり、直近の記録のなかにも1年を通じてマイナスで終わった年があります。使う予定のあるお金や、生活を支えるための資金をここに置くと、必要なときに値下がりしている可能性があります。

短い期間では、成果が読めません

数か月から1年程度の結果は、始めた時期によって大きく変わります。同じ商品を同じ金額で積み立てても、開始月が違うだけで見える数字は変わります。短期の成果を求める用途には向きません

市場平均を上回る成果を狙う仕組みではありません

インデックスファンドは、指数に連動する成果をめざす商品です。指数が下がれば、その商品も同じように下がります。「下落を避けるために持ち高を減らす」といった判断は、商品の側には入っていません。市場平均を上回りたい、下落局面で守りたい、という要望に応える設計にはなっていない、という点は理解しておきたいところです。

為替の影響を受けます(外国株の指数に連動する商品の場合)

円建てで外国株のインデックスファンドを買うと、基準価額は現地の株価と為替レートの両方の影響を受けます。ステップ3で確認したとおり、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は交付目論見書で為替ヘッジを行わない旨を明記しており、全世界株式(オール・カントリー)も組入通貨の大半が外貨です。現地の株価が上がっても円高が進めば円建ての評価額は伸びにくくなります。逆に円安が進めば、現地の値動き以上に評価額が動くこともあります。影響は両方向にあり、どちらに動くかを事前に知る方法はありません。

運用が途中で終わることがあります

受益権の口数や純資産総額が一定の水準を下回るなどの事由があると、運用が予定より早く終了する(繰上償還)ことがあります。何を基準にするかも、その水準も、ファンドごとに交付目論見書の「お申込みメモ」に記載されています。償還されると、その時点の基準価額で精算されるため、自分が売る時期を選べなくなります

保有している間、費用はかかり続けます

信託報酬は、持っている間ずっと信託財産から差し引かれます。値上がりした年もマイナスの年も差し引かれる、という点は変わりません(水準の見方と総経費率については、ステップ4の表Cを参照してください)。

NISA口座の損失は、損益通算も繰越控除もできません

NISA口座で生じた損失は、特定口座や一般口座の譲渡益・配当等と損益通算できず、繰越控除もできません(金融庁/2026年7月21日確認)。非課税の口座は、利益が出たときに有利に働く一方で、損失が出たときに使える手当てが課税口座より少ないという性格を持っています。

過去の実績は、将来の成果を示すものではありません

本文で挙げた年間騰落率や年間収益率は、いずれも過去の一定期間の記録です。将来の投資成果を保証するものではありません。制度・サービス・手数料の条件も変更されることがあります。

インデックス投資が向く人・向かない人

ここまでが実務です。最後に、この方法が自分の状況に合っているかを確認します。合わないと分かることも、判断としては十分な収穫です。

条件が合いやすい人

ほかの方法も検討したい人

向く・向かないは、どちらか一方に振り分ける話ではありません。資金の一部だけ条件が合うという状態は普通にあります。使う予定のある資金と、当分使わない資金を分けたうえで、後者の範囲で考えるという整理の仕方があります。

よくある質問

記事全体を通して、読み終えたあとに残りやすい疑問を7つに絞って答えます。

Q1. 毎日相場を見なくても大丈夫ですか?

積立は設定した日に自動で実行されます。ログインしない月があっても買付は進みますし、評価額を頻繁に開いたところで、その月に買われる金額や口数が変わるわけではありません。ただし「買付が止まっていないか」の確認だけは必要です。始めてからの2〜3か月は履歴を見ておき、それ以降は数か月に一度、買付が続いているかを見る程度で足ります。そのうえで、引落方法や枠の使用状況までまとめて見る点検日を年に1回決めておく方法があります。

▶ 見る頻度と点検項目は本文「積み立て始めたあとにすること・しないこと」を参照してください。

Q2. 含み損になったら、積立を止めたほうがいいですか?

値下がりしたという事実だけでは、止める理由にも続ける理由にもなりません。判断の材料になるのは、そのお金を使う予定の時期と、今の積立額で家計が回るかの2点です。この2つが始めたときと変わっていないなら、設定を変えずに続けるという選択肢があります。変わっているなら、いきなり売るのではなく、減額や一時停止から検討する方法があります。

▶ 値下がり時に起きることは本文「値下がりしたときに何が起きるか」、選択肢は表Fを参照してください。

Q3. 積立額は途中で変えられますか?

変えられます。増やすことも減らすこともでき、最初に決めた金額を守り続ける必要はありません。ただし、変更の申込がいつの買付から反映されるかは証券会社と引落方法によって異なります。楽天証券では引落方法ごとに申込の締切日が決まっており、締切日までに変更すれば次回の買付から反映されるとされています。変更したあとに次回の買付日を見ておくと、行き違いを防げます。なお、減額は失敗ではなく、続けるための調整です。

▶ 手続きと影響の違いは本文の表F(続けられなくなったときの4つの選択肢)を参照してください。

Q4. 売却したら、NISAの枠はどうなりますか?

NISA口座で保有している商品を売却すると、非課税保有限度額は翌年以降に復活します。復活するのは売却時の時価ではなく、買ったときの金額(簿価)の分です。当年中には戻らないため、売った枠をその年のうちに使い直すことはできません。また、NISA口座で生じた損失は、特定口座や一般口座の譲渡益・配当等と損益通算できず、繰越控除もできません(金融庁/2026年7月21日確認)。

▶ 本文「続けられなくなったときの選択肢」、制度の詳細は 新NISAの仕組みと始め方 を参照してください。

Q5. 取り崩すときは、全部売るのですか。少しずつですか?

どちらの方法もあり、必要なときに必要な分だけ自分で売る方法と、定期売却サービスで自動的に売る方法、一度にまとめて売る方法があります。定期売却サービスには金額指定(定額)・定率指定・期間指定の3通りの指定方法があり、受取額が一定になるか、資産の減り方をならすか、使い終える時期を決めるかで性格が変わります。なお本記事では、毎年何パーセントを取り崩すかという割合の目安は示していません。資産額・支出・他の収入によって変わり、一律の数字を置けないためです。

▶ 3つの指定方法は本文の表Gを参照してください。

Q6. 円高になると、評価額はどうなりますか?

円建てで外国株の指数に連動する商品を買う場合、基準価額は現地の株価と為替レートの両方の影響を受けます。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が連動をめざすのは「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」で、交付目論見書には「原則として、為替ヘッジは行いません。為替ヘッジを行わないため、為替相場の変動による影響を受けます」と記載されています。そのため、米国株が上がっても円高が進めば、円建ての評価額は伸びにくくなります。逆に円安が進めば、現地の値動き以上に評価額が動くこともあります。どちらに動くかを事前に知る方法はありません。

▶ 本文「インデックス投資の限界とリスク」の為替の項を参照してください。

Q7. 証券会社が破綻したら、預けている資産はどうなりますか?

証券会社は、顧客から預かった有価証券や金銭を自社の財産と分けて管理することが法律で義務づけられています(分別管理)。分別管理が適切に行われていれば、証券会社が破綻しても顧客の資産は返還されます。そのうえで日本証券業協会は、投資者保護基金について「会員である金融商品取引業者の経営が破綻した際、顧客からお預かりした有価証券・金銭について、分別管理が適切に行われていなかったために返還が困難な場合に、一人1000万円を上限に、金銭による補償を行う」機関だと説明しています(根拠法は金融商品取引法第4章の2)。また、投資信託そのものの財産も別の仕組みで守られており、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)・同 全世界株式(オール・カントリー)の交付目論見書には「ファンドの財産は、信託法に基づき受託会社において分別管理されています」と記載されています。ただし、これらはいずれも会社の破綻に備える仕組みであって、ファンドそのものの値下がりを補うものではありません。

▶ 出典:日本証券業協会「投資者保護基金」用語集(2026年7月21日確認)

まとめ

決めることを3つに絞るところから始めて、口座と枠の準備、指数と商品の選び方、設定画面の7項目、買われるまでの時間差、始めたあとの点検、値下がりしたときの考え方、続けられなくなったときの選択肢、そして取り崩しまでを見てきました。手順としては、ここで一周です。

冒頭で挙げた3つは「始める前に決めること」でした。ここで挙げるのは、始めたあとに手を動かすことの3つです。

  1. 買付が予定どおり実行されているかを、最初の2〜3か月だけ確認する
  2. 年に1回の点検日をカレンダーに入れておく(見る項目は本文の6つ)
  3. 続けられなくなったときの選択肢(減額・一時停止・設定解除・売却)が、自分の口座のどこから操作できるかを一度だけ見ておく

そのうえで、手元に残しておきたいのは個々の数字よりも記録の読み方のほうです。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の交付目論見書には、年ごとの収益率が並んでいます。設定された2018年から順に、−7.7%、+30.5%、+10.3%、+44.5%、−6.1%、+34.6%、+40.8%。7つの記録のうち2つがマイナスで、プラスの年も+10.3%から+44.5%まで開きがあります。

この並びを眺めていると、ひとつのことに気づきます。どの年がプラスでどの年がマイナスになるかは、その年が終わってからでないと書き込めない、ということです。並んでいる数字は、あとから振り返って初めて読めるものであって、順番を先に並べ替えることはできません。だから、始めたあとに決めておきたいのは相場の見通しではなく、自分の側の条件のほうです。

一方で、この記事で決着させていない論点も残ります。どの指数に連動する商品を選ぶかは、比較の材料が別ページにあります(S&P500とオルカンはどっちを選ぶべきか)。毎月いくらにするかは、記事の中の数字ではなく自分の家計で決まります(金額の目安を試算したい場合は NISAシミュレーション)。いつ、どのくらいのペースで取り崩すかは、将来の支出と他の収入が見えてから決めることで、本記事では割合の目安を置いていません。

これらは、今日中に決めなければならないものではありません。早く結論を出しても、決めた根拠が変われば決め直すことになります。

積み立てを始めた人は、数年後には自分の口座の履歴という自分だけの記録を持つことになります。目論見書に並んだ表と同じで、その履歴も、あとから振り返って初めて読めるものです。まずは、記録が積み上がる状態を作るところからです。

信頼できる情報源

本記事は、以下の一次情報をもとに作成しています(いずれも2026年7月21日確認)。

NISA制度について

投資の基本と試算ツール(金融庁)

ファンドの実績・費用・為替の取扱いについて

インデックスとアクティブ運用の比較データ

積立の設定・取り崩し・投資者保護について

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