2026年版・公式情報で確認

国内株式の確定申告は必要?口座別の判定とe-Tax手順

証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を利用し、他社との損益通算や損失繰越などを使わない場合は、基本的に確定申告は不要です。源泉徴収なし・一般口座、損失や配当がある場合は、このあと口座区分から判定できます。

最終更新日:

対象は、日本に住む個人の国内上場株式を中心とする一般的な税務です。外国株、非上場株、大口株主等、法人、相続、ストックオプションには別の取扱いがあります。

30秒判定|確定申告は「必要・原則不要・検討」に分かれる

最初に証券会社の「特定口座年間取引報告書」や口座設定で、源泉徴収の有無を確認します。そのうえで、利益・損失・複数社・配当の順に見れば、次の行動を絞れます。

原則不要

特定口座(源泉徴収あり)で納税が完了し、他社との通算や損失繰越などを使わない場合。NISA口座内の対象利益も原則申告不要です。

原則必要

特定口座(源泉徴収なし)または一般口座で課税対象の利益があり、確定申告を省略できる条件に当てはまらない場合です。

申告を検討

複数社の利益と損失を通算したい、損失を3年間繰り越したい、対象配当で配当控除や損益通算を検討する場合です。

口座・状況所得税の確定申告次に確認すること
特定口座(源泉徴収あり)で利益原則不要他社の損失、前年までの繰越損失、申告する配当がないか
特定口座(源泉徴収なし)で利益原則必要会社員の20万円基準など、申告省略の条件
一般口座で利益原則必要取引履歴から取得費・売却額・手数料を自分で集計
課税口座で損失任意だが検討他の上場株式等・対象配当との通算、翌年以後3年間の繰越
NISA口座で利益原則不要国内株配当の受取方法が株式数比例配分方式か
株を保有中で売却していない含み益だけなら不要配当、償還、他の売却などがないか
口座区分や取引が複雑個別確認国税庁、住所地の自治体、税理士へ確認
重要:「20万円以下=非課税」ではありません。また、源泉徴収あり口座を任意で申告すると、国民健康保険料、後期高齢者医療・介護保険、扶養や各種給付の判定に影響することがあります。

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国内株式の税金|売却代金ではなく「利益」に20.315%

2026年中の上場株式等の譲渡益は申告分離課税で、標準的な税率は20.315%です。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。

譲渡価額 −(取得費〔購入代金+購入手数料等〕+ 譲渡費用〔売却手数料等〕)= 課税対象となる譲渡所得等

たとえば取得費(購入代金と購入手数料等の合計)が100万円の株を130万円で売却し、売却手数料等が0円だった場合、課税対象は売却代金130万円ではなく、原則として差額の30万円です。売却手数料等があれば、その対象額も差し引きます。

取得費が分からないときの確認順

  1. 現在・過去の証券会社で取引履歴や顧客勘定元帳を確認する
  2. 取引報告書、月次報告書、移管元資料を探す
  3. 発行会社の資料や名義書換時の記録など、取得時期・価額を裏付ける資料を確認する
  4. 確認できない場合に、国税庁が示す売却代金の5%を取得費とする方法を検討する
5%概算は実際の取得費より低くなり、利益が大きく計算されることがあります。最初から5%で済ませず、証拠資料を探す順番が重要です。

2027〜2047年は名称・内訳が変わるが、標準税率の合計は同じ

所得税付加税住民税合計
2026年15%復興特別所得税 0.315%5%20.315%
2027年1月1日〜2047年12月31日15%防衛特別所得税 0.15%+復興特別所得税 0.165%5%20.315%

2027年から防衛特別所得税が始まり、復興特別所得税の率は1.1%へ下がり、課税期間は2047年末まで延長されます。いずれも基準所得税額に対する率で、現行法上、2027年から2047年の上場株式等の標準的な合計税率は20.315%です。2048年以後は将来の制度を確認してください。

口座別の判断|源泉徴収の有無を最初に確認

口座年間損益の計算納税申告の基本
特定口座
源泉徴収あり
証券会社証券会社が源泉徴収原則不要。複数社通算や繰越控除を使うなら申告
特定口座
源泉徴収なし
証券会社本人利益があれば原則申告。20万円基準などを別途判定
一般口座本人本人本人が損益を計算し、利益があれば原則申告
NISA口座非課税口座として管理国内の対象利益は非課税原則不要。損失は通算・繰越不可

特定口座とNISAを混同しやすい場合は、証券口座開設の手順と口座区分で、申込時に選ぶ項目を確認できます。確定申告の要否は、このページの判定表を基準にしてください。

会社員の「20万円基準」は4条件をまとめて確認

典型的には、次の条件を満たす給与所得者が、申告不要を選んだ上場株式等の配当等や源泉徴収口座内の譲渡所得等を除く、給与・退職所得以外の所得合計20万円以下であるとき、所得税の確定申告を省略できる場合があります。

  • 給与の年間収入が2,000万円以下である
  • 1か所から給与を受け、給与が源泉徴収・年末調整されている
  • 申告不要を選んだ上場配当等・源泉徴収口座内所得を除く、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下である
  • 医療費控除など、ほかに確定申告をする必要・目的がない
20万円は売却代金ではなく所得です。また、所得税の確定申告を省略できても、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の利益は、住民税申告が原則必要です。住所地の自治体で提出要否を確認してください。源泉徴収あり口座で申告不要を選ぶケースとは別の制度です。

給与が2か所以上ある、給与収入が2,000万円を超える、年末調整を受けていない、ほかの副所得がある場合は、この簡易チェックだけで判断できません。

この20万円基準は、所定の条件を満たす給与所得者向けです。給与がない人、個人事業主、年金受給者などは同じ条件をそのまま使わず、それぞれの申告要件で判定してください。

申告を検討する3ケース|還付見込みと不利益を同時に比べる

1. 複数の証券会社で利益と損失が分かれた

同じ源泉徴収口座内では証券会社が対象損益を通算しますが、証券会社をまたぐ通算は自動ではありません。確定申告により通算できる場合があります。

A社:利益100万円

源泉徴収の例:所得税・復興特別所得税153,150円、住民税50,000円

B社:損失60万円

A社とは別口座のため、申告しなければA社側で自動通算されない

通算後の利益は40万円です。標準税率で計算すると所得税・復興特別所得税61,260円、住民税20,000円となり、差額はそれぞれ91,890円と30,000円です。所得税等は税務署の申告、住民税分は申告情報を受けた自治体側で後日調整されるのが基本です。

これは制度理解用の単純例です。実際の還付・納付は、申告する口座、配当、繰越損失、取得費、他所得などで変わります。

2. 損失を翌年以後へ繰り越したい

一定の上場株式等の譲渡損失は、確定申告により、その年の対象配当等と通算できます。控除しきれない損失は損失が生じた年の翌年以後3年間、上場株式等の利益・対象配当等から繰越控除できます。

損失年損失を申告
翌年申告を継続
2年後申告を継続
3年後最後の控除年

取引がなかった年も連続して申告が必要です。対象となる取引・配当や必要書類は、申告する年分の国税庁案内で確認してください。

上場株式等の損失は、給与、事業、暗号資産、FXの利益とは原則通算できません。NISA口座の損失も対象外です。

3. 配当を申告するか選びたい

方式主な特徴株の損失との通算配当控除
申告不要源泉徴収で完結。申告所得へ含めない不可不可
総合課税他の総合課税所得と合算。対象となる国内法人配当では配当控除を受けられる場合がある不可対象なら可
申告分離課税上場株式等の譲渡損失と通算できる場合がある対象範囲で可不可

配当方式は、配当を加えた後の税率帯、配当控除の対象、住民税、国保料、扶養判定などで結果が変わります。「課税所得695万円以下なら総合課税が得」と一律には決められません。また、2024年度の個人住民税から、所得税と住民税で異なる課税方式は選べません。

配当の基礎と受取方式は、株の配当金入門も参照してください。

申告前に比べる項目

申告で改善し得るもの

複数社の損益通算、損失の3年繰越、対象配当との通算、対象国内配当の配当控除、源泉徴収税の精算

申告で影響し得るもの

国民健康保険料、後期高齢者医療・介護保険、扶養・配偶者控除、非課税判定、各種給付や自己負担区分

影響は自治体、世帯、加入制度で異なります。源泉徴収あり口座を任意申告する前に、国税は税務署・税理士、保険料や給付は住所地の自治体へ確認します。

NISAの確定申告|利益は非課税、損失は通算できない

譲渡益

NISA口座内の対象商品の譲渡益は国内で非課税となり、原則として確定申告は不要です。

国内株の配当

非課税にするには、証券会社で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。

譲渡損失

税務上ないものとされ、課税口座との損益通算も翌年以後への繰越控除もできません。

NISAで国内上場株を保有していても、配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式などで受け取る配当は非課税になりません。証券会社の口座設定で受取方法を確認してください。

必要書類とe-Taxのやり方|3つの入力経路

入力前にそろえる資料

  • 特定口座年間取引報告書(特定口座を申告する場合)
  • 取引報告書・取引履歴・手数料資料(一般口座を申告する場合)
  • 前年までの繰越損失が分かる申告書・付表の控え
  • 配当の支払通知書や配当集計データ(配当を申告する場合)
  • 給与所得の源泉徴収票など、ほかの所得・控除に関する資料
  • マイナンバーカード、利用者証明用・署名用暗証番号、還付先口座
特定口座年間取引報告書は、現行制度では申告書への添付が原則不要です。ただし、入力内容の確認と保存のため手元に用意します。

e-Taxでは、入力内容から「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」や、損失繰越に必要な付表が作成されます。紙で提出する場合は、該当する年分の様式も準備します。

入力方法は「自動取得・XML・手入力」

1. マイナポータル連携

対応する証券会社の特定口座情報を一括取得します。電子交付の申込みや初回設定が必要で、対応状況は会社ごとに異なります。

2. XML読込み

証券会社から取得した特定口座年間取引報告書のXMLデータを、確定申告書等作成コーナーへ読み込みます。

3. 手入力

紙・PDFの年間取引報告書や、自分で集計した一般口座の損益を画面に入力します。

確定申告書等作成コーナーの進め方

  1. 申告する口座と配当を決める。源泉徴収口座は口座ごとに申告要否を確認します。
  2. 国税庁「確定申告書等作成コーナー」を開く。所得税の申告書作成を選択します。
  3. 金融・証券税制の入力へ進む。特定口座は連携・XML・手入力から選び、一般口座は計算した金額を入力します。
  4. 繰越損失と配当方式を入力する。前年の付表、申告する配当の範囲、総合課税・申告分離課税を確認します。
  5. 税額と住民税事項を確認する。20万円以下の他所得、医療費控除、ふるさと納税などの申告漏れも見直します。
  6. マイナンバーカードで送信し、控えを保存する。受信通知、申告書PDF、計算明細書・付表を翌年の確認用に残します。
源泉徴収口座の譲渡損失を申告する場合、その口座に受け入れた上場株式等の配当等も併せて申告する必要があります。申告後に「やはり申告不要へ戻す」と変更できない場合もあるため、送信前に確認してください。

2026年分の期限

2026年分の所得税の確定申告・納付期限は、国税庁の公表では2027年3月15日(月)です。申告相談・受付は2027年2月16日(火)からです。申告義務のない人の還付申告は、原則として翌年1月1日から5年間提出できます。

損失の繰越控除など期限と添付書類が重要な特例は、通常の還付申告と同じ扱いとは限りません。遅れた場合や過去年分を直す場合は、国税庁・税務署へ確認してください。

よくある判断ミス

  • 「利益20万円以下なら非課税」 → 条件付きの所得税申告省略で、住民税は別に確認する
  • 「源泉徴収ありなら申告する意味はない」 → 複数社通算・損失繰越・配当申告で意味がある場合がある
  • 「損失は出た年を含めて3年」 → 損失年に申告し、その翌年以後3年間。取引なし年も連続申告する
  • 「NISAの配当は受取方法に関係なく非課税」 → 国内上場株は株式数比例配分方式を確認する
  • 「課税所得695万円以下なら総合課税が有利」 → 配当の種類、住民税、保険料、扶養まで含めて試算する
  • 「申告すれば源泉徴収税が全額戻る」 → 通算後の所得や他所得で変わり、国税と住民税の調整時期も異なる
  • 「年間取引報告書を添付する」 → 現行では原則添付不要だが、入力・確認用に保管する

国内株式の確定申告でよくある質問

Q. 特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告をした方がよい場合はありますか?

A. あります。別の証券会社の損失と通算するとき、上場株式等の損失を翌年以後へ繰り越すとき、対象となる配当を申告するときなどです。ただし、申告した所得が国民健康保険料や扶養判定などへ影響する場合があるため、還付見込みだけで決めないことが大切です。

Q. 株の利益が20万円以下なら税金も住民税申告も不要ですか?

A. いいえ。20万円は非課税枠ではなく、一定の給与所得者が所得税の確定申告を省略できる基準です。売却代金ではなく、申告不要を選んだ上場配当等や源泉徴収口座内の譲渡所得等を除く、給与・退職所得以外の所得合計で判定します。特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の所得についてこの基準で所得税申告を省略した場合も、住民税申告は原則必要です。源泉徴収あり口座で申告不要を選ぶ場合は別制度です。

Q. 株を売らず、含み益があるだけでも確定申告が必要ですか?

A. 通常、保有中の値上がり益だけでは株式の譲渡所得は確定していないため、それだけを理由に確定申告する必要はありません。ただし、配当を受け取った場合や、売却・償還など別の課税事由がある場合は個別に判定します。

Q. 複数の証券会社の利益と損失は自動で相殺されますか?

A. 自動で相殺されるのは、原則として同じ源泉徴収口座内の対象取引です。証券会社をまたぐ損益通算には確定申告が必要です。通算できるのは上場株式等の区分内など一定の範囲で、給与や暗号資産、FXの所得とは原則通算できません。

Q. 損失を繰り越した翌年に取引がなくても申告は必要ですか?

A. 繰越控除を続けるには、取引がない年も含めて連続して確定申告書と必要書類を提出します。損失が生じた年に申告し、控除しきれない損失を翌年以後3年間繰り越す制度です。

Q. NISA口座の損失を特定口座の利益と相殺できますか?

A. できません。NISA口座内の損失は税務上ないものとされ、課税口座の利益との損益通算も翌年以後への繰越控除もできません。また、NISAで保有する国内上場株の配当を非課税にするには、受取方法として株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。

Q. 特定口座年間取引報告書は確定申告書に添付しますか?

A. 現行制度では原則として添付不要です。ただし、e-Taxへの入力や内容確認に使うため、手元に準備して保存します。対応する証券会社では、XMLデータの読込みやマイナポータル連携で転記を減らせます。

Q. 医療費控除のために申告する場合、20万円以下の株の利益も申告しますか?

A. 20万円基準で所得税の申告を省略できた課税口座の所得も、別の理由で確定申告する場合は原則として併せて申告します。一方、源泉徴収口座や上場株式等の配当には別の申告不要制度があるため、口座と所得の種類ごとに確認してください。

公式一次情報・相談先

この記事は一般的な制度説明であり、個別の税務判断を代行するものではありません。国税の申告要否・課税方式は国税庁・所轄税務署または税理士へ、住民税・国保料・給付への影響は住所地の自治体へ確認してください。

まとめ|口座区分を起点に、申告の効果と影響を両方確認

国内株式の確定申告は、利益額だけでは決まりません。特定口座の源泉徴収、複数社の損益、繰越損失、配当方式、20万円基準、住民税を順に確認します。

申告が必要なら年間取引報告書等を準備してe-Taxへ進み、任意申告なら還付見込みと国保・扶養等への影響を比べてから決めるのが安全です。

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