FIREにいくら必要?生活費・年金・収入から必要資産を計算
生活費の25倍だけでは見えない、退職翌年の税、最長2年の任意継続、60歳までの国民年金、65歳以降の年金を期間別に分けて計算する。
最終更新日:
先に答え
FIREの基本額は「(年間生活費 − FIRE後の年間収入)÷ 比較用取り崩し率」だ。月20万円、退職後収入0円、取り崩し率4%なら6,000万円になる。
ただし6,000万円は、税・社会保険・公的年金を個別に入れる前の比較基準だ。任意継続は最長2年、国民年金は原則60歳未満まで、住民税と国保は前年所得等で変わる。全部をまとめて25倍せず、期間限定費用と65歳以降の不足を分ける必要がある。
| 月の生活費 | 年間生活費 | 4%で比較した基本額 |
|---|---|---|
| 15万円 | 180万円 | 4,500万円 |
| 20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
| 25万円 | 300万円 | 7,500万円 |
| 30万円 | 360万円 | 9,000万円 |
前提:FIRE後の収入0円、比較用取り崩し率4%。健康保険、国民年金、住民税、年金収入、投資の税・手数料、臨時費は未計上。4%は持続性を保証する率ではない。
自分の条件で期間別に計算するFIRE必要資産シミュレーター
まず4%等の単純式による基本必要額を表示し、別に「年金開始後の資産を手を付けず確保し、開始までの費用を無運用で積む」保守的参考額を試算する。国保・住民税・年金は本人の公式試算額へ変更する。
最初に比較する目安。年金・退職後費用は下の保守的参考額で期間別に確認する。
| 内訳 | 計算した金額 |
|---|---|
| 年金開始までの生活費総額 | ― |
| 年金開始までの健康保険・税入力額 | ― |
| 60歳までの国民年金総額 | ― |
| 年金開始前の費用充当可能額 | ― |
| 年次収支を累積した最大不足 | ― |
| 退職直後の住民税等・臨時費 | ― |
| 年金開始後の年間不足 | ― |
生活費・健康保険等・国民年金・収入の各行は入力内訳。橋渡し資金は年次収支を累積し、その途中で最も大きい赤字額とする。前半の余剰は後半へ回せる一方、後半の余剰で前半に必要だった資金は減らせないため、内訳の単純合計と一致しない場合がある。
内部計算は万円単位の実数で行い、結果表示は1万円単位へ四捨五入する。
保守的参考額の読み方:これは4%ルールによる資産寿命の計算ではない。年金開始後に使う準備資産をFIRE開始時から別に確保し、それには手を付けず、年金開始までの橋渡し資金をさらに上乗せする無運用の簡易シナリオだ。そのため、収支が年金開始前後で変わらない場合も単純式より大きくなる。年金開始前は各年の生活費・健康保険等・60歳未満の国民年金から費用充当可能額を引き、年次収支を累積した最大赤字を橋渡し資金とする。退職直後に別払いする住民税等と臨時費は別枠に加える。運用益と物価上昇、取り崩し時の税・手数料、寿命、制度改定は計算しておらず、金額が多いほど将来を保証するものでもない。
入力値はこのページ内の計算だけに使い、サーバーへ送信しない。
FIRE必要額の計算式と3つの比較率
最初に出すのは、制度を入れる前の比較基準だ。年間生活費からFIRE後も続く手取り収入を引き、その不足額を選んだ率で割る。サイドFIREやバリスタFIREも、呼び名ではなく収入を何円差し引けるかで必要額が決まる。
| 比較条件 | 月20万円・収入0円の基本額 | 読み方 |
|---|---|---|
| 4.0% | 6,000万円 | 年間240万円 ÷ 0.04。米国の4%ルールと比較しやすい条件 |
| 3.5% | 約6,857万円 | 年間240万円 ÷ 0.035。4%より目標額を大きく置く比較条件 |
| 3.0% | 8,000万円 | 年間240万円 ÷ 0.03。3.5%と同じく将来を保証する率ではない |
3%・3.5%・4%に公的な推奨順位はない。資産配分、期間、税、手数料、為替、支出調整の余地が違えば結果も変わる。
| FIREの形 | 計算で変える箇所 | 社会保険の確認 |
|---|---|---|
| フルFIRE | 年金開始前の収入を0円で置く | 任意継続・国保・被扶養者を比較 |
| サイドFIRE | 業務委託等の手取り収入を年額で差し引く | 原則として国民年金・国保を本人負担 |
| バリスタFIRE | 勤務収入を年額で差し引く | 勤務先の加入条件を満たすか確認 |
| コーストFIRE | 退職予定時点までの資産成長を別計算 | 働いている期間と退職後を分ける |
各呼称に公的な定義は確認できない。目標額までの積立期間は 資産倍増シミュレーター で別に確認できる。
退職後費用は時間軸で分ける
「退職後に毎年かかる費用」と一括りにすると計算を誤る。制度が切り替わる時点ごとに、支出と収入を置き直す。
給与天引きできなくなった住民税の残額、任意継続または国保、国民年金、退職に伴う臨時費を確認する。前年給与の影響が残る。
任意継続を選べるのは最長2年だ。国保や家族の被扶養者と実額を比較し、任意継続の年額を25倍しない。
任意継続終了後は国保等へ移る。国保は前年所得・世帯・自治体で再計算し、国民年金は原則60歳未満まで続く。
医療保険に介護納付金分が加わる。国民年金も続くため、40歳未満のモデルをそのまま延長しない。
国民年金の強制加入は原則終了する一方、老齢基礎年金は通常65歳まで始まらない。この5年を橋渡し資金へ残す。
公的年金を収入へ入れ、医療保険、介護保険、税を再計算する。75歳以降は後期高齢者医療へ移るため、再び前提が変わる。
健康保険・国民年金・住民税の確認方法
健康保険は「任意継続・国保・被扶養者」を同じ時点で比べる
協会けんぽの任意継続は、退職日までの被保険者期間が継続2か月以上あり、退職日の翌日から20日以内に申請する。被保険者期間は最長2年だ。保険料は、退職時の標準報酬月額と令和8年度上限32万円の低い方に、居住都道府県の料率を掛けて全額本人が負担する。
| 選択肢 | 金額が変わる主因 | 計算機へ入れる値 |
|---|---|---|
| 任意継続 | 退職時標準報酬月額、都道府県料率、年齢 | 保険者の見積年額。最長2年分だけ |
| 国民健康保険 | 前年所得、世帯人数、年齢、自治体の条例 | 自治体の試算年額。年度ごとに更新 |
| 家族の被扶養者 | 家族の健康保険が定める収入等の要件 | 認定された場合の本人負担額 |
令和8年度・東京・40歳未満の上限例:任意継続は32万円×(健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%)×12か月=年387,072円になる。ただしこれは東京支部の上限例で、最長2年だ。40〜64歳は介護保険料率1.62%も加わる。
出典:協会けんぽ「健康保険任意継続制度」、令和8年度の標準報酬月額上限、令和8年度保険料額表
国保の113万円は「平均」ではない。令和8年度の政令上限は、基礎67万円+後期高齢者支援26万円+介護17万円+子ども・子育て支援3万円=113万円だ。国保加入者に40〜64歳の介護納付金分対象者がいる世帯は113万円、対象者がいない世帯は介護17万円を除く96万円になる。65歳以上本人の介護保険料は別に確認する。実額は上限より低いことも多く、自治体条例では政令額以下の場合もある。
出典:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」、令和8年度改正通知、厚生労働省「高齢者医療制度」、厚生労働省「介護保険制度変更」
国民年金は「今の年額×60歳までの年数」で期間限定計算する
日本国内に住所がある20歳以上60歳未満で、退職後に厚生年金等へ入らず、配偶者の扶養にも入らない場合は国民年金第1号の加入手続が必要になる。令和8年度の保険料は月17,920円、年215,040円だが、毎年度改定される。
| FIRE開始年齢 | 60歳までの年数 | 令和8年度額を変えずに置いた単純合計 |
|---|---|---|
| 35歳 | 25年 | 537万6,000円 |
| 45歳 | 15年 | 322万5,600円 |
| 55歳 | 5年 | 107万5,200円 |
17,920円×12か月×年数の算術例。実際の保険料は毎年度改定され、免除・猶予・任意加入・再就職等で変わる。
出典:日本年金機構「会社を退職した場合」、令和8年度の国民年金保険料
住民税は退職直後と後年を分ける
個人住民税の所得割は前年所得に応じて課税される。東京都では都民税4%と区市町村民税6%が基本で、均等割4,000円と森林環境税1,000円がある。ただし非課税基準があるため、5,000円が全国共通の最低額ではない。
- 退職年・翌年度:在職中の所得にもとづく請求や、給与天引きできなくなった残額を確認する
- 所得が下がった後:前年所得と自治体の非課税基準で再計算する
- 証券売却がある年:売却額全体ではなく譲渡益の扱いと申告方法を確認する
出典:東京都主税局「個人住民税」。個別額は居住自治体へ確認。
4%ルールが検証した条件
4%ルールは「年4%で運用できれば元本が減らない」という公式ではない。Bengenの1994年研究と、Cooley・Hubbard・Walzの1999年研究は、米国の過去データに同じ形式の引き出しを当てた歴史検証だ。
| 項目 | 原典で確認できる条件 |
|---|---|
| 引き出し方 | 初年度に初期資産の一定割合を引き出し、翌年以降はその金額を物価上昇率で調整する。毎年残高の4%を掛け直す方式ではない |
| 市場 | 米国の株式と債券の過去データ。日本円の生活費、為替、将来市場を直接検証していない |
| 期間 | Cooleyらの表は最長30年。40代からの50年超を同じ成功率で示していない |
| 成功の意味 | 期間末の残高が正であること。元本が減らないことではない |
| 別に確認するもの | 日本の税・社会保険、投資の税・手数料、為替、臨時費、長期の制度改定 |
「4%なら95%」は資産配分を省くと誤りになる
| 株式 / 債券 | 30年・物価調整後4%引き出しの成功率 |
|---|---|
| 株式のみ | 98% |
| 株式75% / 債券25% | 全期間で資金が残った |
| 50% / 50% | 95% |
| 25% / 75% | 74% |
| 債券のみ | 19% |
Cooley, Hubbard & Walz (1999) Table 2の1926〜1997年データ(インフレ調整した月次引き出し)。過去の米国データ上の割合であり、将来の成功確率ではない。
原著:Bengen (1994) “Determining Withdrawal Rates Using Historical Data”、Cooley, Hubbard & Walz (1999) “Sustainable Withdrawal Rates From Your Retirement Portfolio”
65歳以降の年金を入れた二段階計算
年金を入れるときは、年間不足から一生分を単純に引かない。FIRE開始から年金開始までは年金収入がないため、その期間を橋渡し資金として先に置く。次は運用益を0%とし、年金開始後の準備資産を開始時から使わずに別枠確保する保守的シナリオで、4%単純式の基本必要額とは別の比較値だ。
45歳・月20万円の単純例:65歳までの生活費は240万円×20年=4,800万円。65歳以降の年金見込額が年120万円なら、生活費だけの年間不足は120万円で、4%比較なら3,000万円になる。合計7,800万円へ、60歳までの国民年金、健康保険、税、臨時費を期間別に足す。この例は運用益・物価・税を入れない計算方法の説明で、120万円を個人の年金見込額として推定するものではない。
年金見込額は、厚生労働省の公的年金シミュレーターや、ねんきん定期便・ねんきんネットで本人の記録を確認する。令和8年度の老齢基礎年金満額は、昭和31年4月2日以後生まれなら年847,300円、同年4月1日以前生まれなら年844,900円だ。いずれも40年全納時の額で、本人の見込額ではない。
iDeCoは橋渡し資産と分ける。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、受給できる年齢は通算加入者等期間でも変わる。60歳前にFIREを始めるなら「FIRE開始時に使える資産」から外し、60歳以降の資金として別枠に置く。
出典:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」、iDeCo公式サイト
暴落・物価・税・臨時費の余白
計算機は入力した支出を足し算する道具で、資産寿命を予測するものではない。退職判断の前に、少なくとも次の項目を結果の外側で確認する。
- 退職直後の下落:同じ平均リターンでも、取り崩し初期の下落は売却口数を増やし、その後の回復へ乗る資産を減らす
- 物価上昇:生活費と保険料は固定されない。比較は現在の円でそろえ、毎年更新する
- 課税口座の税:上場株式等の譲渡益は原則20.315%。売却額全体ではなく利益部分に課税される
- NISAの範囲:NISAの利益は非課税だが、非課税保有限度額は簿価1,800万円で、NISA内の損失は課税口座と損益通算できない
- 臨時費:住宅修繕、医療、介護、家族支援、引越しなどを毎月生活費とは別に入力する
- 再計算できる余地:支出を一時的に下げる、働く量を増やす、年金開始を見直す条件を事前に決める
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」、金融庁「NISA早わかりガイドブック」。税務の個別判断は税務署・税理士へ確認。
計算結果から始める手順
- 直近12か月の支出を集める。家計口座・カード・現金から、普段の生活費と臨時費を分ける
- 公式の本人額をそろえる。任意継続と国保、住民税通知、ねんきん定期便、iDeCoの受給可能時期を確認する
- 3%・3.5%・4%で並べる。ひとつの率を正解にせず、目標額の幅と不足の原因を見る
- 退職直後の悪条件を置く。物価上昇、相場下落、収入減、臨時費が重なっても再計算できるか確認する
- 積立と出口を分ける。目標到達までの運用と、FIRE後の取り崩し・現金管理を別の計画にする
よくある質問
FIREに必要な資産はいくらですか?
基本の比較式は「(年間生活費-FIRE後の年間収入)÷比較用取り崩し率」です。月20万円、退職後収入0円、取り崩し率4%なら基本額は6,000万円です。ただし、健康保険・国民年金・住民税は負担する期間が違い、公的年金も始まるため、実際の計画では期間別に足し引きします。
社会保険料は年間額の25倍を足せばよいですか?
一律に25倍はしません。任意継続は最長2年、国民年金の強制加入は原則60歳未満まで、国保と住民税は前年所得・世帯・自治体で変わります。年金開始までの期間限定費用と、年金開始後も続く年間不足を分けて計算します。
4%ルールは日本でも使えますか?
日本でも使えると断定できる根拠ではありません。原典は米国の過去の株式・債券データを使った歴史検証で、初年度に初期資産の一定割合を引き出し、翌年以降はその金額を物価調整する方式です。日本の税・社会保険、為替、手数料、30年を超える若年FIREは別に検討します。
退職後の健康保険は任意継続と国保のどちらが安いですか?
所得、世帯人数、自治体、退職時の標準報酬月額で変わるため、一律には決まりません。協会けんぽの任意継続は要件を満たして退職翌日から20日以内に申請し、最長2年です。国保は各自治体の条例で算定されます。両方の実額と、家族の被扶養者になれるかを同じ時点で確認します。
国民年金はFIRE後いつまで払いますか?
日本国内に住所がある20歳以上60歳未満で、厚生年金等に加入せず配偶者の扶養にも入らない場合は、原則として国民年金第1号の加入手続が必要です。令和8年度の保険料は月17,920円ですが毎年度改定されます。免除・猶予は所得等の要件があり、将来の年金額にも影響します。
iDeCoをFIRE資金に含めてもよいですか?
60歳前にFIREを始める場合、原則60歳まで引き出せないiDeCoは橋渡し期間に使える資産から分けます。受給できる年齢は通算加入者等期間でも変わります。60歳以降の資金としては計上できますが、開始時期と受取時の税を別に確認します。
年金・健康保険・住民税
- 日本年金機構|国民年金の保険料はいくらですか
- 日本年金機構|老齢年金ガイド 令和8年度版
- 協会けんぽ|健康保険任意継続制度
- 厚生労働省|国民健康保険の保険料・保険税について
- 厚生労働省|介護保険制度の概要
- 厚生労働省|後期高齢者医療制度
- 東京都主税局|個人住民税
4%ルール・投資制度
- Bengen (1994)|Determining Withdrawal Rates Using Historical Data
- Cooley, Hubbard & Walz (1999)|Sustainable Withdrawal Rates From Your Retirement Portfolio
- 国税庁|No.1463 株式等を譲渡したときの課税
- 金融庁|NISA早わかりガイドブック
- iDeCo公式サイト|iDeCoの特徴
制度・料率・年金額の根拠は本ページの最終更新日時点で確認。年度、自治体、加入先、本人の所得・世帯状況により変わる。