必要資産と、辞めた後の家計

FIREにはいくら必要?生活費別の目安と5000万円の試算

月20万円を資産だけで賄う単純比較なら、目安は6,000万〜8,000万円です。働く収入、年金までの年数、退職後の税・社会保険を加えて、自分の家計を確かめます。

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月20万円なら、単純計算の目安は6,000万〜8,000万円

FIREの必要資産は、年間の支出から、働く収入などを引いた「資産で補う額」で変わります。月20万円を資産だけで賄うなら、年240万円÷4%で6,000万円、3%で8,000万円。税・社会保険料を含めていなければ、その分も家計に足します。

これは同じ年間不足が続くと置いた比較額です。退職してよい金額の判定ではありません。年金が始まるまでの年数、相場下落、臨時の出費も確認します。

自分の生活費・資産で計算する

FIREにはいくら必要?生活費別に目安を出す

FIREは、資産などから生活費を賄える状態をつくり、早期退職や働き方の変更を目指す考え方です。仕事を完全に辞めるか、一部の収入を残すかで、資産に頼る金額は変わります。

比較する資産額 = 年間に資産で補う額 ÷ 取り崩し率

よく使われる「年間生活費の25倍」は、4%で割る計算です。3%なら約33.3倍、3.5%なら約28.6倍になります。この率は預金金利や運用利回りではなく、初年度にいくら取り崩すかの比較条件です。

収入0円・年金を入れない単純比較(資産額は1万円単位に四捨五入)
月の支出4%で比較3.5%で比較3%で比較
15万円4,500万円5,143万円6,000万円
20万円6,000万円6,857万円8,000万円
25万円7,500万円8,571万円1億円
30万円9,000万円1億286万円1億2,000万円

横に動かして3つの率を比較できます。月の支出に税・社会保険料を含めていない場合は別途加算。売却時の税・費用、予備費は含みません。いずれの率も将来の資産の持続を保証しません。

サイドFIREなら、残す収入から逆算する

月20万円の支出に対し、月5万円の手取り収入が続くなら、資産で補うのは月15万円。4%での比較額は6,000万円から4,500万円になります。月10万円の手取りなら3,000万円です。

ただし、月5万円の収入が「60歳まで」なら、その先は同じ計算を使えません。働く期間が終わった後の家計も別に作ります。フルFIRE・サイドFIRE・バリスタFIREといった呼び名より、何歳まで、手取りでいくら入るかを書き出す方が計画は具体的になります。

3000万円・5000万円・1億円なら、月いくら取り崩せる?

すでにある資産から考えるときは、計算を逆にします。下表は初年度の年間取り崩し額を12で割ったものです。配当だけでなく、資産の売却も含む金額で、売却時の税・費用を差し引く前の数字です。

取り崩しに回す資産 × 率 ÷ 12か月(月額、小数第2位まで)
資産4%3.5%3%
3,000万円10万円8.75万円7.5万円
5,000万円16.67万円14.58万円12.5万円
1億円33.33万円29.17万円25万円

5000万円・月20万円の例:4%で取り崩す年200万円に対し、生活費は年240万円。差は年40万円、月約3.33万円です。3%なら差は年90万円、月7.5万円になります。働く収入で補うか、支出を変えるか、資産を増やすかを比べます。別払いの税・社会保険料があれば、差はさらに広がります。

一人暮らしと夫婦で共通の正解額はありません。二人分の年金が入る家計でも、家賃・住宅修繕・教育費は違います。人数別の平均額より、同じ世帯の支出と手取り収入をそろえて計算します。

FIRE必要資産・手取り収入の計算機

まず4項目で、現在の家計条件が続く場合を比較します。税・保険料の本人額が未確認なら、0円の結果を退職判断に使わず、確認先へ進んでください。

1. 年金が始まる前の家計
万円/月
世帯の食費・住居費・通信費など。年払いの生活費は月割りに。
万円/年
生活費に含めた額と、手取り収入から控除済みの額は除きます。0円は未計上です。
万円/月
働く収入など。年金は下の詳細欄へ。同じ資産の配当は入れません。
万円
予備費・近い将来の大口支出・引き出せないiDeCo・自宅は除きます。

入力した家計で、資産から補う年額―

この年間不足が続くと仮定した資産の比較額

4%で比較―
3.5%で比較―
3%で比較―
入力した資産で考えると、手取り収入はあといくら?
率資産の取り崩し
初年度の月換算
さらに必要な
手取り収入/月
4%――
3.5%――
3%――

追加収入は、入力済みの手取り収入に上乗せする額です。労働時間や額面給与は計算しません。資産の取り崩し額は売却時の税・費用控除前です。年金や将来の収支変化、運用益・物価上昇は上の比較額へ反映していません。

2. 年金開始後の家計も比べる(任意)

生活費は上と同額のまま、年金後の収入と別払い費用を変えます。年金の調べ方を先に確認してください。

歳
満年齢の年単位。月途中の退職は反映しません。
歳
受給資格・開始時期を本人の記録で確認。
万円/年
仮の例です。退職予定を反映した見込額から税・保険料を確認してください。
万円/月
FIRE直後と同じ収入が続くとは限りません。
万円/年
年金・給与から既に引かれた額と、生活費に含めた額は除きます。

―

年金開始前の年間不足:―
年金開始後の年間不足:―

前後の年間不足を比べる欄です。年金後の不足に倍率を掛けて、年金前の生活費に足すことはしません。手元の資産が何歳まで持つかは計算していません。

計算式・丸め方・含まないもの

年間不足=max(生活費×12+別払い税社保−手取り収入×12, 0)。資産比較額=年間不足÷率。追加手取り月額=max(年間不足−資産×率, 0)÷12。年金後は手取り年金と年金後の労働収入を引き、別払い費用を入れ替えます。資産比較額は1万円単位、年額・月額は小数第2位まで四捨五入。正の微小額は0円と表示しません。

物価・運用益・資産寿命・税制の将来変更、売却時の税・手数料は計算外。生活費や収入が続く期間、60歳で終わる国民年金などは、該当時点の家計を入力し直して確認します。利回りや達成確率の予測ではありません。

計算機の入力値はブラウザ内だけで処理し、サーバーへ送信・保存しません。

4%ルールは「年4%で増える」意味ではない

4%ルールでよく取り上げられる研究は、米国の過去の株式・債券データから、退職後の取り崩しを調べたものです。基本の方法は、初年度に開始時資産の4%を引き出し、翌年以降はその金額を物価に合わせて調整するというものです。

6,000万円なら初年度240万円。物価が翌年2%上がる仮定なら次は244.8万円です。毎年の残高に4%を掛ける方法とは違います。

混同しやすい2つの取り崩し方
方法支出への影響確認したいこと
初期額を物価調整使える金額の購買力を保つ考え方相場が下がっても引出額が減りにくく、資産減少が進む場合がある
残高の一定割合残高が減ると、引き出せる金額も減る生活費もそれに合わせて下げられるか

Cooleyらの1999年研究は、15・20・25・30年の期間などを検証しています。40歳で仕事を辞めて90歳まで暮らす50年間や、日本の税・社会保険・為替を含む家計の成功を示したものではありません。3%や3.5%も、ここでは比較用の数字です。

原典:Bengen(1994), Determining Withdrawal Rates Using Historical Data/Cooley, Hubbard & Walz(1999), Sustainable Withdrawal Rates From Your Retirement Portfolio

退職後の税・社会保険は、本人の金額を確かめる

給与明細で天引きされていたお金は、退職後の生活費から抜けやすい項目です。食費や家賃だけを入力すると、その分だけ必要額を小さく見積もってしまいます。

健康保険:任意継続・国保・家族の被扶養者を比べる

協会けんぽの任意継続は、退職日まで継続2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に申請するなどの要件があります。加入は最長2年。保険料は在職中の本人負担だけで比べず、加入先へ退職後の年額を確認します。

国民健康保険は前年の所得、世帯、自治体などで変わります。家族の健康保険の被扶養者になれるかも、加入先へ確認します。「仕事を辞めたから国保がすぐ安くなる」とは限りません。

確認先:協会けんぽの任意継続制度/厚生労働省の国保の保険料・保険税の案内。国保の本人額は住んでいる市区町村で試算します。

国民年金:原則60歳までの期間で考える

国内に住む20歳以上60歳未満で、退職後に厚生年金へ入らず、第3号被保険者にも該当しない場合は、原則として国民年金第1号への切替が必要です。健康保険の扶養と年金の区分は同じとは限りません。

2026年度(令和8年度)の保険料は月17,920円。12か月なら215,040円です。毎年度改定されるので、現在の額が退職後ずっと続くとは置きません。免除・猶予を考える場合は、要件と将来の年金への影響も確認します。

確認先:日本年金機構の国民年金保険料/退職後の国民年金の手続き

住民税:退職年と翌年の支払いを残しておく

住民税は前年の所得を基に課されます。退職時に残る税額と、その年の給与などに対する翌年度分を確認します。一括徴収される分を、退職後の支出へもう一度足さないようにします。

手元に通知書をそろえ、不明な分は市区町村に照会します。退職直後だけ必要な支払いは予備費として分け、同じ年額を一律に25倍しない方が、支払う時期を把握しやすくなります。

制度の確認:東京都主税局の個人住民税Q&A。本人の税額と納め方は住所地の市区町村で確認します。

家計を作り直すタイミング

退職直後

前年給与の影響が残る税・国保、任意継続、国民年金を確認。年払い・臨時払いも現金で用意します。

任意継続終了時

最長2年の後は国保など次の保険を確認。前年所得や世帯の変化に合わせて本人額を調べ直します。

60歳前後

国民年金の強制加入は原則60歳未満まで。老齢基礎年金の原則65歳開始まで、収入のない期間が残る場合があります。

年金が始まるとき

手取り年金を収入へ。働く収入、医療・介護保険料、税も入れ替えます。医療・介護の負担はその後も変わるため、毎年の通知で見直します。

年金を入れるなら、開始前と開始後を分ける

年金がまだ入らない期間の生活費を、将来の年金で払うことはできません。反対に、年金が始まった後も収入0円と置くと、家計の不足を大きく見積もる場合があります。

月20万円の生活費・労働収入0円の例:年金開始前は年240万円の不足。手取り年金が年120万円なら、開始後の不足は年120万円です。別払いの税・社会保険料は、この例には含めていません。

45歳から65歳までは20年、55歳からなら10年。同じ5,000万円でも、この期間の違いがあります。無運用・物価一定で年240万円を使う単純計算なら、それぞれ4,800万円と2,400万円。ただし、これは年金前の支出合計であり、FIREの総必要資産や資産寿命ではありません。

ねんきんネットは、早期退職する条件に直して試算する

ねんきんネットの「かんたん試算」は、現在の加入条件が60歳まで続くと仮定します。早く会社を辞める計画なら、「詳細な条件で試算」で今後の働き方・加入期間・受給開始年齢を変更します。その見込額から税・保険料を確認し、家計には手取りを使います。

確認先:日本年金機構「ねんきんネット」による年金見込額試算/老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期

NISA・iDeCo・現金は、使える時期が違う

NISAは運用益が非課税になる制度で、売却できますが、売却代金を使えるまでの日数は商品や証券会社で確認が必要です。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、加入期間などによって受給開始可能年齢も変わります。60歳より前に使う生活費に、iDeCoの残高をそのまま足さないようにします。

手元で使える資産、年金まで残す資産、近いうちに使う現金を分けます。制度の詳細はiDeCoとNISAの使い分け、非課税枠はNISAの仕組みで確認できます。

制度の一次情報:金融庁のNISA案内/iDeCo公式サイト

相場下落・物価上昇で、計画が変わる場面

平均利回りだけでは、退職後の家計は決まりません。取り崩しを始めてすぐに相場が下がると、安い価格で多くの資産を売ることになり、回復する元手が減るためです。

資産100から各年末に10を引き出す、2年間の単純例
利回りの順番1年目末2年目末
−20% → +25%100×0.8−10=7070×1.25−10=77.5
+25% → −20%100×1.25−10=115115×0.8−10=82

引き出さなければ、どちらも2年後は100です。引き出しがあると順番で差が出ることを示す算術例で、将来の利回りの予測ではありません。税・手数料は除外しています。

  • 下落したとき:旅行など調整できる支出をどこまで下げるか、働く収入を増やせるか、売らずに使える現金が何か月分あるかを決めます。生活防衛資金の分け方も確認します。
  • 物価が上がったとき:仮に年2%が20年続けば、今の月20万円と同じ買い物に約29.72万円が必要です。これは20×1.02の20乗という例で、物価予測ではありません。
  • 大きな出費があるとき:住宅修繕・医療・車の買替え・家族への支援は、普段の月額と分けます。取り崩しに回せる資産を数える前に、必要な現金を除きます。
  • 課税口座を売るとき:売却額の全額が利益とは限りません。税は取得費などを差し引いた譲渡益を基に考えます。口座と申告の確認は株式投資の税金・確定申告へ進んでください。

課税の一次情報:国税庁「株式等を譲渡したときの課税」

FIREに向けて確認する順番

  1. 直近1年の支出を集める。毎月の生活費、年払い、臨時費に分け、家賃やローンの終了時期も書きます。
  2. 退職直後の本人額を調べる。健康保険・住民税・国民年金をそろえ、手取りに反映済みの費用を二重に足さないようにします。
  3. 働く収入を変えて比べる。ゼロ、月5万円、月10万円など実際に続けられる条件で計算機を使います。収入が止まる年齢も決めます。
  4. 年金と資産の使える時期を確かめる。退職予定で年金を再試算し、年金開始前後の年間不足を比べます。
  5. 資産を増やす段階と、取り崩す段階を分ける。目標へ向けた積立は積立シミュレーション、購入や口座の条件はネット証券の比較で確認します。

「この金額なら辞めても大丈夫?」への答えは、残高だけでは出せません。生活費、本人の税・保険料、年金までの期間、減らせる支出を一枚に並べると、足りない条件が見えてきます。収入を残す計画なら、収入ゼロのケースも一度比べておきましょう。

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