証券用語解説

オルカン(全世界株式)とは?構成国・銘柄数・投資する方法・S&P500との違い

ヒナコ

ヒナコ

「オルカン」ってよく聞くのですが、正式名称は何ですか?投資信託の名前ですか?

トシ

トシ

「オルカン」は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の略称だ。ただし今では「全世界株式に連動するインデックスファンド」全般を指す通称として定着している

ヒナコ

ヒナコ

全世界って、本当に世界中の株式に投資できるんですか?

トシ

トシ

約50カ国・約3,000銘柄に1本で分散投資できる。先進国だけでなく新興国の企業も含まれる。S&P500が「米国に賭ける」投資なら、オルカンは「世界経済全体に賭ける」投資だ。どの国が成長するかわからないなら、全部に投資する。この考え方がオルカンの設計思想だ

オルカンとは

オルカンは「全世界株式インデックスファンド」の通称だ。正式には三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として広まった。現在では特定の商品名に限らず、全世界株式に連動するインデックスファンド全般を指す言葉として定着している。

連動する指数は「MSCI ACWI(All Country World Index)」。MSCIはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルの略で、世界中の機関投資家がベンチマークとして使う代表的な指数だ。

MSCI ACWIは先進国23カ国と新興国24カ国の約3,000銘柄で構成され、世界の株式市場の時価総額の約85%をカバーしている。オルカンを1本買うだけで、米国・日本・欧州・中国・インドなど世界中の株式市場に分散投資したのと同じ効果が得られる。

「全世界株式」「オール・カントリー」「ACWI」はすべてほぼ同じ意味で使われている。投資の文脈で「オルカン」と言えば、この全世界株式インデックスファンドを指すと考えて問題ない。

オルカン(全世界株式)の基本イメージ オルカン(全世界株式) MSCI ACWI連動 🇺🇸 米国 🇯🇵 日本 🇬🇧 英国 🇫🇷 フランス 🇨🇳 中国 🇮🇳 インド 🌎 その他 先進国 23カ国 新興国 24カ国 約50カ国 / 約3,000銘柄 / 世界の時価総額の約85%をカバー 1本で世界中の株式市場に分散投資できる ※構成国数・銘柄数は概算であり、変動する

MSCI ACWIの構成── 何カ国・何銘柄に分散しているか

国別構成比率

MSCI ACWIの国別構成を見ると、米国が約60%と圧倒的な比率を占めている。これは米国の株式市場の時価総額が世界全体の約60%を占めているためだ(理由は§3で解説する)。

続いて日本が約5%、英国・フランス・カナダがそれぞれ約3%。その他の先進国が合わせて約15%を占める。新興国全体では約11%で、中国・インド・台湾・韓国などが含まれる。

セクター別構成比率

セクター別ではテクノロジーが約24%と最大だ。金融が約16%、ヘルスケアが約11%、一般消費財と資本財がそれぞれ約10%と続く。S&P500と比べるとテクノロジーの比率はやや低く、金融や資本財の比率が高い。これは米国以外の国では金融や製造業の比重が大きいためだ。

時価総額加重平均型

MSCI ACWIはS&P500と同じく時価総額加重平均型で算出される。時価総額が大きい企業ほど指数への影響が大きい仕組みだ。この結果、米国のテクノロジー大手(アップル、マイクロソフト、エヌビディアなど)が上位を占める構造になっている。

MSCI ACWI 国別構成(概算) 先進国(約89%) 🇺🇸 米国 約60% 🇯🇵 日本 約5% 🇬🇧 英国 約3% 🇫🇷 フランス 約3% 🇨🇦 カナダ 約3% その他先進国 約15% 新興国(約11%) 中国/インド/台湾等 約11% ※構成比率は時価総額に応じて常に変動する。上記は概算値

「全世界」なのに米国が6割を占める理由

時価総額加重平均の結果

MSCI ACWIは時価総額加重平均型のため、時価総額が大きい国の比率が自動的に高くなる。米国の株式市場は世界全体の時価総額の約60%を占めており、その比率がそのまま指数に反映されている。

「米国が6割」は意図的に米国を重視しているのではない。世界の株式市場の現実をそのまま反映した結果だ。米国にはアップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディアなど時価総額が極めて大きい企業が集中しており、この集中度が比率に表れている。

S&P500との実質的な違い

オルカンの約60%は米国株だ。つまりオルカンの値動きの大部分はS&P500と連動する。残りの約40%で日本・欧州・新興国に分散している点がS&P500との違いだ。

「オルカンとS&P500はまったくの別物」ではなく、「オルカン ≒ S&P500 + 残りの世界」という関係に近い。両者の詳しい比較はS&P500とオルカンはどっちを選ぶべきかで解説している。

将来的に米国比率が変わる可能性

時価総額加重のため、もし将来インドや中国の株式市場が成長すれば、自動的にそれらの比率が上がり、米国の比率は下がる。投資家が自分で比率を調整しなくても、指数が世界経済の変化を自動で反映する。この「自動調整機能」がオルカンの最大の利点だ。

オルカンの中身 = 米国6割 + 世界4割 米国 約60% 欧州 12% 新興国 11% 日本5%/他12% S&P500 米国 100% オルカン 米国60% + 世界40% 比率は時価総額の変動に応じて自動調整される ※上記比率は概算値であり、最新の構成比率は変動する

オルカンに投資する方法

投資信託(インデックスファンド)

最も一般的な方法が投資信託の購入だ。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が圧倒的な人気を誇り、純資産総額は国内の投資信託でトップクラスに位置している。

100円から購入可能で、毎月の積立設定もできる。信託報酬は年率0.06%前後と極めて低い。100万円を1年間保有した場合のコストは約600円だ。NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠の両方)で購入できるため、運用益を非課税にできる。

ETF(上場投資信託)

全世界株式に連動するETFもある。米国ETFの「VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)」が代表格だ。国内ETFでもMSCI ACWI連動型が上場している。

ETFは投資信託と異なり、リアルタイムの市場価格で売買できる。取引時間中であればいつでも注文を出せるため、タイミングを選びたい投資家に向いている。ただし米国ETFの場合はドルへの両替が必要で、為替手数料が発生する。ETFの仕組みや投資信託との違いはETFとは?で詳しく解説している。

迷ったら

初心者が全世界株式に投資するなら投資信託が最も手軽だ。NISA口座で「eMAXIS Slim 全世界株式」を毎月積立設定するのが最もシンプルな方法だ。設定さえ済ませれば、あとは自動で買い付けが行われる。

オルカンに投資する2つの方法 投資信託(インデックスファンド) 📦 代表:eMAXIS Slim 全世界株式 💰 100円から購入可能 🔄 自動積立設定OK 🔰 NISA口座対応(両枠) 💎 信託報酬:年率0.06%前後 100万円で年間約600円のコスト ETF(上場投資信託) 📦 代表:VT(バンガード) 📈 リアルタイムで売買可能 💵 1口単位で購入 🔰 NISA口座対応 🌎 米国ETFは為替手数料あり 国内ETFでもACWI連動型あり 初心者 → 投資信託が手軽
ヒナコ

ヒナコ

オルカン1本で世界中に分散できるなら、他に何も買わなくていいんですか?

トシ

トシ

株式に限れば、オルカン1本で十分な分散ができている。ただし債券や不動産(REIT)など、株式以外の資産クラスには分散されていない

ヒナコ

ヒナコ

つまり「全世界の株式」に分散しているだけで、「すべての資産」に分散しているわけではないんですね?

トシ

トシ

その通りだ。オルカンは「全世界の株式」に分散しているが、株式そのものが下がる局面ではオルカンも下がる。リーマンショックのように世界中の株式市場が同時に暴落する場面では、地域分散の効果は限定的になる。「全世界=安全」ではない。あくまで「どの国が成長するかわからないリスク」を分散しているだけだ

オルカンのリスクと注意点

リスク

世界同時株安のリスクが最大の懸念だ。リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)では全世界の株式市場が同時に下落した。地域を分散していても、株式市場全体の暴落には耐えられない。

実質的な米国集中にも留意が必要だ。米国比率が約60%のため、米国市場が大幅に下落するとオルカンも大きな影響を受ける。「全世界に分散しているから米国の暴落は関係ない」とはならない。

為替リスクは複合的だ。円建てで投資する場合、ドルだけでなくユーロ・ポンド・人民元など複数の通貨に対する為替変動の影響を受ける。また新興国リスクとして、政情不安・通貨危機・規制変更など先進国にはない要因が存在する。

注意点

「オルカン=完璧な分散」ではない。株式以外の資産クラス(債券・不動産・金)には分散されていないため、株式市場全体が下がる局面ではオルカンも下がる。長期的には右肩上がりが期待されるが、短期的には20~50%の下落が起こりうる。

「全世界に投資しているから安全」という誤解を持ったまま始めると、暴落時にパニック売りしてしまうリスクがある。オルカンが分散しているのは「どの国が成長するかわからないリスク」であって、「株式市場が暴落するリスク」そのものは引き受けている。この違いを理解してから投資を始めることが大切だ。

オルカンのリスクと注意点 リスク ❶ 世界同時株安 全世界の市場が同時に下落する局面 ❷ 実質的な米国集中 米国比率約60%。米国暴落の影響大 ❸ 為替リスク 複数通貨の為替変動の影響を受ける ❹ 新興国リスク 政情不安・通貨危機・規制変更 注意点 ⚠ 株式以外に未分散 債券・不動産・金には投資していない ⚠ 短期で20〜50%下落あり 長期では回復傾向も短期の振れ幅大 ⚠ 「安全」という誤解 全世界=安全ではない 国の分散と市場リスクは別 全世界=安全ではない。株式市場全体のリスクを取っている

【プロの視点】オルカンは「わからない」を認める投資

投資の世界には「これからはインドだ」「中国はもう終わりだ」「やはり米国が最強だ」と、特定の国や地域の未来を予測する声が常にある。

オルカンを買うという選択は、これらの予測に対して「自分にはわからない」と正直に認める行為だ。どの国が成長するかわからない。だから全部に投資する。この姿勢は消極的に見えるが、実は極めて合理的だ。

プロのファンドマネージャーですら、長期的にどの国のリターンが最も高いかを当て続けることは困難だ。であれば、個人投資家が国別の予測に時間を費やすより、全世界にまとめて投資して本業に集中するほうが生産的だ。

S&P500が「米国の成長を信じる」投資なら、オルカンは「世界経済のどこかが成長することを信じる」投資だ。後者のほうが前提条件が緩い分、外れるリスクが低い。それがオルカンを選ぶ最大の理由になる。

次に読むべきページ

オルカンの基本を理解したら、次はS&P500との比較やインデックス投資の始め方に進もう。

まとめ

オルカンは全世界の株式市場(約50カ国・約3,000銘柄)に1本で分散投資できるインデックスファンドの通称。連動する指数MSCI ACWIは世界の時価総額の約85%をカバーしている。

時価総額加重平均型のため米国の比率が約60%を占める。これは米国を意図的に重視しているのではなく、世界の株式市場の規模をそのまま反映した結果だ。将来の経済勢力の変化に応じて構成比率が自動的に調整される。

リスクは「世界同時株安」「実質的な米国集中」「為替リスク」「新興国リスク」。全世界に分散していても株式市場全体の暴落には耐えられない。「全世界=安全」ではなく「どの国が成長するかわからないリスクの分散」であることを理解して投資する。

よくある質問

オルカンの正式名称は?

最も有名な商品は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だ。ただし「オルカン」は特定の商品名というより、全世界株式インデックスファンド全般を指す通称として定着している。他社からも同様の商品が提供されている。

オルカンとS&P500の両方を買うべき?

オルカンの約60%は米国株で構成されているため、両方買うと米国株の比率がさらに高まる。分散の観点では「どちらか1本」で十分だ。米国に重点を置きたいならS&P500、世界全体に分散したいならオルカン。両者の比較はS&P500とオルカンの比較ページで解説している。

オルカンに日本株は含まれる?

含まれる。日本は先進国枠として約5%の比率で組み込まれている。日本株への投資をオルカンとは別に行う場合、日本株部分が重複投資になる点は意識しておくといい。日本株を除外した「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」という商品も存在する。

新興国が入っていることでリスクが高くなる?

新興国の比率は約11%と限定的であり、全体への影響は限定される。ただし新興国には政情不安・通貨危機・規制変更など先進国にはないリスクがある。オルカンは時価総額加重で自動調整されるため、新興国の経済が縮小すれば比率も自動的に下がる仕組みだ。

オルカンの信託報酬はどのくらい?

主要なオルカン商品の信託報酬は年率0.06%前後と極めて低い。100万円を1年間保有した場合のコストは約600円だ。アクティブファンド(年率1~2%が一般的)と比べてコスト面で圧倒的に有利だ。長期投資では信託報酬の差が運用成績に大きく影響する。

出典・参考情報

リスクに関する重要事項:株式投資は元本保証ではなく、株価の変動により投資元本を下回る損失が生じる可能性がある。投資判断は自己責任で行うこと。過去の運用成績は将来のリターンを保証するものではない。

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