ポートフォリオのリバランス方法|売買額と買い増し額を計算
最終更新日:
結論:リバランスは、値動きでずれた資産配分を、あらかじめ決めた目標比率へ戻す作業です。先に目標が今も妥当か確かめ、同じ目的の資産を口座横断で集計し、売買額と買い増しだけで戻す額を比較します。目的は利益の最大化ではなく、意図した配分へ調整することです。
計算の前に確認転職、退職、家族構成、資金を使う時期が変わった場合は、以前の目標へ機械的に戻す前に、目標配分そのものを見直します。目標へ戻すのがリバランス、目標を変えるのがリアロケーションです。
リバランスとは、決めた資産配分へ戻すこと
株式、債券、投資信託などは値動きが異なるため、買った時の比率は時間とともに変わります。リバランスは、現在額を売買または新規入金で調整し、目標比率へ戻す作業です。
売買して戻す
比率が高い資産を売り、低い資産を買います。少ない資金で目標へ近づけやすい一方、課税口座の譲渡益、売買費用、NISAの年間投資枠を確認する必要があります。
買い増しだけで戻す
比率が低い資産へ新しい資金を追加します。売却を抑えられますが、目標へ正確に戻すには想像より大きな入金が必要な場合があります。
例えば資産Aが70万円、資産Bが30万円で、目標が60%・40%なら、売買ではAを10万円売りBを10万円買います。売らずに戻すなら、Bへ約16万6,667円の追加が必要です。次の計算機で自分の数字を確認できます。
投資判断の注意:リバランスは収益を増やしたり、損失を防いだりする保証ではありません。投資商品には価格変動、信用、金利、為替等による元本割れのおそれがあります。債券・債券ファンドも無条件に安全な資産ではありません。
リバランス計算ツール:売買額と売らずに戻す額
2資産の現在額と、資産Aの目標比率を入力してください。資産Bの目標比率は全体から資産A分を引いて自動計算します。入力値はブラウザー内だけで計算し、送信しません。
2資産の調整額を計算
初期値は、資産A 70万円・資産B 30万円・目標60%の例です。
| 資産 | 現在額 | 目標額 | 調整の目安 |
|---|---|---|---|
| 資産A | 700,000円 | 600,000円 | 100,000円を売却 |
| 資産B | 300,000円 | 400,000円 | 100,000円を買付 |
売却せずに目標へ戻す場合:資産Bへ約166,667円を追加
計算結果は、税、手数料、信託財産留保額、注文単位、値動き、約定価格を含まない概算です。実際の発注前に金融機関の画面と交付目論見書を確認し、約定後の評価額で再計算してください。
リバランスの計算式と70万円・30万円の具体例
売買する場合
目標額 = 現在総額 × 目標比率 調整額 = 目標額 − 現在額調整額がプラスなら買付、マイナスなら売却です。A 70万円・B 30万円を60%・40%へ戻す場合、総額100万円なのでAの目標額は60万円、Bは40万円。Aを10万円売り、Bを10万円買います。
売却しない場合
調整後総額 = 過大な資産の現在額 ÷ その目標比率 必要追加額 = 調整後総額 − 現在総額A 70万円が目標60%より過大なら、70万円÷0.6=約116万6,667円。現在総額100万円との差、約16万6,667円をBへ追加すると60%・40%になります。
部分調整でもよい例でBへ10万円だけ追加すると、Aは約63.6%、Bは約36.4%です。目標へ完全一致しなくても乖離は縮まります。必要資金、注文単位、税・費用を踏まえ、無理に一致させる必要はありません。
「5%ずれ」と「5ポイントずれ」は違う
目標Aが60%、現在Aが65%なら、差は5パーセントポイントです。一方、目標60%に対する相対的な増加率は5÷60で約8.3%です。売買条件を「5%」とだけ記録すると判定が変わるため、本文や運用メモでは「目標から5ポイント」のように定義します。
リバランスの頻度は、点検と売買を分けて決める
頻繁に画面を見ることと、頻繁に売買することは別です。J-FLEC掲載の教育資料では、一定期間ごとの方法と、最初の状態から一定以上ずれた時の方法が示され、個人には年1回の家計棚卸し時の点検が例として挙げられています。ただし、年1回や特定の乖離幅がすべての人に有利という意味ではありません。
| 方式 | 確認・実行の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| カレンダー方式 | 毎年の誕生月や決算月など、決めた時期に確認する | 確認日でも乖離が小さければ売買しない選択がある |
| 乖離方式 | 目標から決めたポイント数だけ離れた時に実行する | 監視頻度と「ポイント」の定義を先に決める |
| 併用方式 | 定期点検を行い、閾値を超えた時だけ売買する | 相場急変時に例外ルールを追加するか事前に決める |
運用結果は資産、期間、税、費用、許容する乖離で変わります。リバランスが常にプラスに働くとは限らないため、「最も有利な頻度」を探すより、同じ定義で記録し、無計画な売買を減らす方が実行しやすくなります。
リバランスのやり方を6ステップで確認
- 目標配分が今も妥当か確認する資金を使う時期、生活防衛資金、収入、家族構成、価格変動への耐性が変わっていれば、先に目標を見直します。
- 同じ目的の資産をまとめるNISA、課税口座、複数の金融機関に分かれていても、同じ運用目的の資産は時価で合算します。預金を目標配分に含めるかも固定します。
- 現在比率と乖離ポイントを出す各資産の現在額÷総額で現在比率を出し、目標比率との差をパーセントポイントで確認します。
- 売買と買い増しを比較する計算ツールで、売買額と、売却せずに戻す最低追加額を比べます。積立予定資金だけで時間をかけて近づける方法もあります。
- 口座・商品条件を確認する課税口座の取得費と利益、NISAの年間投資枠、売買手数料、信託財産留保額、最低注文額、約定日を確認します。
- 注文後の実額と次回ルールを記録する約定後の評価額で比率を確認し、目標、点検日、売買閾値、対象口座をメモします。
課税口座とNISAで確認するポイント
課税口座:税率は売却額ではなく譲渡益にかかる
個人の上場株式等では、売却額から取得費や売却手数料等を差し引いた譲渡益が課税対象です。2026年分の税率は原則20.315%ですが、源泉徴収の時期と申告方法は、特定口座の源泉徴収あり・なし、一般口座、他の損益などで変わります。制度全体は特定口座の仕組みも確認してください。
簡易例:10万円で売却、取得費8万円、手数料0円、他の損益なしと仮定します。
譲渡益 = 100,000円 − 80,000円 = 20,000円 税額の目安 = 20,000円 × 20.315% = 4,063円売却額10万円へ20.315%を掛けた2万315円ではありません。実際の税額は取得費、手数料、損益通算、確定申告、端数処理などで変わります。個別の税務判断は税務署または税理士へ確認してください。
NISA:総枠の再利用と年間投資枠を分ける
金融庁によると、現行NISAの商品を売却した場合、売却商品の簿価分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。売却時価ではありません。一方、その年に使用した年間投資枠は売却しても年内に戻らず、再利用できる総枠が翌年の年間投資枠へ上乗せされるわけでもありません。詳しい制度は新NISAの仕組みへ分けています。
| 確認項目 | 扱い |
|---|---|
| 売却益20万円 | 制度上の通常の売却なら非課税 |
| 翌年以降に再利用できる総枠 | 時価120万円ではなく簿価100万円分 |
| 売却した年の年間投資枠 | 使用済み分は復活しない |
| NISA内の損失 | 課税口座との損益通算や繰越控除はできない |
売らないこと自体を目的にしない買い増しだけで目標へ戻す額が大きく、意図したリスクから離れた状態が続く場合は、NISAの総枠・年間枠だけでなく、必要なリスク調整、保有目的、資金時期を並べて判断します。
リバランスで起きやすい5つの間違い
バランスファンドやロボアドに任せる場合
固定配分型のバランスファンドには、運用会社が商品内の所定比率を維持管理するものがあります。ただし、相場環境に応じて配分を変える商品もあり、調整頻度や許容する乖離は商品ごとに異なります。交付目論見書と運用方針を確認してください。
また、商品内の比率が管理されていても、その商品以外の預金、個別株、企業年金などを含む家計全体の配分は別です。自動化の手間と費用を比較したい場合は、ロボアドと自分で運用する場合の違いへ進んでください。会社別ランキングは本ページでは扱いません。
リバランスに関するよくある質問
Q. リバランスは年1回でよいですか?
A. 年1回は家計の棚卸しと合わせやすい目安の一つですが、すべての人に共通する正解ではありません。決めた時期に確認するカレンダー方式、目標から決めたポイント数だけ離れた時に動く乖離方式、両方を組み合わせる方式があります。点検日と売買条件を先に決め、税・費用・手間も含めて判断してください。
Q. NISAの商品は売らずにリバランスした方がよいですか?
A. 一律にはいえません。新規入金や積立配分の変更で目標へ近づけられるなら売却を抑える方法があります。一方、必要なリスク調整ができない場合は売却も選択肢です。現行NISAでは売却商品の簿価分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できますが、その年の年間投資枠は戻らず、翌年の年間投資枠へ上乗せもされません。
Q. 課税口座で10万円売ると約2万円の税金がかかりますか?
A. 売却額10万円全体へ20.315%を掛けるわけではありません。課税対象は原則として売却額から取得費や売却手数料等を差し引いた譲渡益です。源泉徴収あり特定口座では一定の計算で源泉徴収されますが、口座区分、他の損益、申告の有無で扱いは変わります。
Q. バランスファンドなら自分でリバランスしなくてよいですか?
A. 商品内の所定配分を維持する固定配分型などは、運用会社が商品内の比率を管理します。ただし、配分を変えるタイプもあり、調整方法は商品ごとに異なります。また、そのファンド以外の預金・株式・年金資産まで含む家計全体の配分や、資金目的の変化は別に確認が必要です。
Q. 目標比率から5%ずれたら売買すべきですか?
A. 「5%」だけでは意味が曖昧です。目標60%から現在65%になった差は5パーセントポイントで、目標60%に対する相対的な増加率は約8.3%です。閾値は普遍的な正解ではないため、どちらの定義を使うか、どの資産を対象にするかを決めて記録してください。
Q. 計算結果どおりに注文すれば比率は完全に一致しますか?
A. 一致しない場合があります。この計算機は税、手数料、信託財産留保額、注文単位、値動き、約定価格を含まない概算です。特に投資信託は申込時点で適用基準価額が分からない場合があるため、約定後の評価額で比率を再確認してください。
公式情報・計算方法
- J-FLEC掲載「ポートフォリオのリバランスのタイミングを教えてください」 — 定期・変化方式、新規入金、効果の限界。旧日本証券業協会制作で2024年6月以降未更新の注記あり。
- 金融庁「NISA よくある質問」 — 売却商品の簿価分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できること。
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」 — 年間投資枠、総枠、損益通算、元本割れリスク。
- 国税庁 No.1464「譲渡した株式等の取得費」 — 譲渡益の計算。
- 国税庁 No.1476「特定口座制度」 — 源泉徴収あり特定口座の扱いと税率。
- 資産運用業協会「投資信託のコスト」 — 費用の種類と商品差。
- 計算式は総額と目標比率を用いた算術。2026年8月13日に境界値を含めて独立検算。
確認日:2026年8月13日。制度・税・商品条件は変更される場合があります。実行時は金融庁、国税庁、金融機関、交付目論見書の最新情報を確認してください。
最終確認:本ページと計算機は一般的な情報提供であり、特定商品の売買や資産配分を勧めるものではありません。投資には元本割れのおそれがあり、税・手数料・相場変動によって計算結果と実額は異なります。余裕資金の範囲で判断してください。