株式の約定とは?注文が成立する仕組みと約定しない原因・確認方法
この記事が扱う東証の内国株では、約定(やくじょう)とは、買い注文と売り注文が東証のルールに従って合致し、売買が成立した状態です。注文を受け付けられただけでは約定ではありません。同じ価格が付いても、先に並ぶ注文や相手数量によって未約定・一部約定になることがあります。
注文後に最初に確認すること:証券会社の「注文照会」「注文・約定照会」などを開き、執行市場、注文状態、約定数量、残数量、有効期限を確認します。現在値だけを見て成立したと判断したり、状態を確認せず同じ注文を出し直したりしないことが重要です。
この記事の対象:主に東京証券取引所へ発注された内国株の普通取引です。PTS・SOR、単元未満株、外国株、市場外取引では、時間・価格決定・残数量の扱いが異なる場合があります。実際の執行市場と注文条件は利用する証券会社で確認してください。
約定とは「注文が通った」ではなく「売買が成立した」こと
注文、約定、受渡は別の段階です。証券会社が注文を受け付けても、反対側の注文と成立条件が合わなければ約定しません。約定後は、国内株の普通取引なら原則として2営業日後に株式と代金を受け渡します。
| 段階 | 何が起きた状態か | 確認する項目 |
|---|---|---|
| 注文 | 銘柄、売買、数量、価格、期間などの条件を証券会社へ伝えた | 受付状態、執行市場、注文条件、有効期限 |
| 約定 | 条件が合う売り注文と買い注文が対当し、売買が成立した | 約定価格、約定数量、約定時刻、残数量 |
| 受渡 | 約定した株式と代金を決済した | 受渡日、口座残高、出金可能日など |
指値・成行・逆指値など注文方法の違いは別ページで詳しく整理しています。このページでは、注文を出した後にどのような順序で成立し、何を確認するかに絞ります。
株式注文から約定・受渡までの流れ
予約注文や条件付注文では、証券会社が受け付けた時点と市場へ発注する時点が異なることがあります。「受付済」という表示だけで、すでに市場の板へ並んでいるとは限りません。
銘柄、売買、数量、価格、期間、執行条件を指定します。
証券会社が確認し、条件を満たす注文を指定市場へ送ります。
市場の価格・時間優先などのルールで反対注文と照合します。
相手数量に応じ、成立しない、一部だけ、全数量のいずれかになります。
普通取引は原則T+2で株式と代金を決済します。
約定通知だけでなく数量を見ます。「約定あり」でも、注文した全数量が成立したとは限りません。注文数量300株、約定数量100株なら、残り200株の状態を続けて確認します。
約定の優先順位:価格優先、その次に通常は時間優先
東証の競争売買では、まず価格条件が有利な注文が優先されます。同じ価格の注文どうしでは、通常は市場が早く受け付けた注文が先です。
| 原則 | 売り注文 | 買い注文 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 価格優先 | より安い指値が優先 | より高い指値が優先 | 成行は指値より優先するが、成立そのものや全量約定を保証しない |
| 時間優先 | 同じ価格なら通常は早い注文が優先 | 同じ価格なら通常は早い注文が優先 | 寄付きなど、時間優先を使わない同時呼値の場面がある |
現在値が自分の指値と同じでも、約定済みとは限らない
1,000円で600株の売買が成立しても、先に並んだ買い注文の一部が成立しただけなら、自分の注文は未約定です。画面の現在値は直近の売買価格であり、自分より前に残る数量や、自分の約定結果までは示しません。
板に並ぶ価格と数量の見方は株式の板情報の読み方、売買の多さを確認する考え方は出来高の見方で詳しく解説しています。
時間優先には例外があります。前場・後場の始値を決める前や、売買停止後の最初の価格を決める前までの注文は同時呼値として扱われます。大引け、ストップ配分、特別約定にも固有の優先ルールがあるため、「同値なら必ず先着」とは言い切れません。
ザラバ方式と板寄せ方式:いつ、どうやって価格が決まるか
ザラバ(ザラ場)方式は、寄付き後から引け前までのうち、板寄せや特別気配・連続約定気配の場面を除き、条件が合った注文から継続的に成立させる方法です。板寄せ方式は、寄付きや引けなどで注文をまとめ、売買が成立する単一の価格を決めます。板寄せでも全注文が成立するとは限りません。
| 時間・場面 | 方式・状態 | 約定の有無 |
|---|---|---|
| 8:00〜9:00 | 東証の前場注文受付 | 受付のみ。9:00の寄付きで板寄せ |
| 9:00の寄付き後〜11:30前引け前 | 寄付き後は主にザラバ、11:30に前引け | 条件が合えば約定 |
| 12:05〜12:30 | 東証の後場注文受付 | 受付のみ。12:30の寄付きで板寄せ |
| 12:30の寄付き後〜15:25 | 後場のザラバ | 条件が合えば約定 |
| 15:25〜15:30 | プレ・クロージング | 注文受付のみで約定しない |
| 15:30 | 大引けの板寄せ | 成立条件を満たす数量が単一価格で約定 |
証券会社が予約注文を受け付ける時間と、東証が注文を受け付ける時間は同じとは限りません。休業日、システム停止、商品・市場別の時間もあるため、実際の発注画面を確認してください。
板寄せは寄付き・引け以外にも使われる
東証は、立会開始・終了だけでなく、売買中断後の再開、特別気配・連続約定気配の表示時にも板寄せを使います。価格が急変しそうなときに特別気配が表示されると、すぐには売買を成立させず、反対注文を呼び込む時間を設けます。
株式が約定しないときの原因と確認順
「指値に届かなかった」だけが未約定の原因ではありません。現在値を見る前に、注文がどの市場へ出て、どの状態にあるかを確認します。
| 確認点 | 考えられる状態 | 次に見るもの |
|---|---|---|
| 受付・執行市場 | 予約中、条件未到達、受付エラー、見ている市場と注文先が違う | 注文番号、受付結果、東証・PTS等の市場表示 |
| 価格条件 | 買い指値より売り気配が高い、売り指値より買い気配が低い | 注文価格と反対側の最優先気配 |
| 同値の待ち順 | 同じ価格に先行注文があり、相手数量が自分まで届いていない | 注文時刻、板の数量、自分の約定数量 |
| 相手数量 | 反対注文が注文数量より少なく、一部だけ成立した | 注文数量、約定数量、残数量 |
| 市場の状態 | 特別気配、売買停止、制限値幅で需給が偏っている | 気配区分、取引所・証券会社のお知らせ |
| 時刻・有効期限 | プレ・クロージング中、注文期限切れ、IOCの残数量失効など | 注文状態、執行条件、有効期限 |
成行注文も「希望価格」や「全数量の成立」を保証しません。通常の価格優先では成行は指値より優先しますが、反対注文が足りない場合や、特別気配、ストップ配分、特別約定などでは未約定・一部約定になることがあります。流動性が低い局面では複数の価格で成立し、想定より不利な約定価格になることもあります。
一部約定とは?残りの注文は条件によって扱いが変わる
一部約定は、注文数量の一部分だけが成立した状態です。東証の用語では「内出来」とも呼ばれます。
100株だけ約定し、残り200株は未約定になります。残りが板に残るか、すぐ失効するか、当日終了時や指定期限に失効するかは、IOCなどの執行条件、有効期限、証券会社の注文仕様で異なります。
一つの注文が複数の相手注文と成立し、約定価格・時刻が複数行に分かれて表示されることもあります。注文画面では「約定あり」だけで終わらせず、次を確認します。
- 注文数量と約定数量は一致しているか
- 未約定の残数量はいくつか
- 各約定の価格と時刻はどうなっているか
- 残数量は有効、取消中、取消済、失効のどれか
- 手数料・受渡金額はどのように計上されたか
約定代金に応じた手数料や定額制の扱いは証券会社で異なります。費用を確認する場合はネット証券の手数料比較と、利用会社の最新料金表を参照してください。
約定したか確認する5つの手順
メニュー名や状態名は証券会社によって異なりますが、見るべき情報は共通しています。再注文の前に、次の順で確認します。
同じ銘柄の複数注文を取り違えないよう、注文番号、売買、数量、受付時刻を照合します。
東証・PTSなどの市場、指値・成行、執行条件、有効期限を確認します。見ている株価の市場と注文先が同じかも見ます。
受付・予約、注文中、一部約定、全部約定、取消中、取消済、失効など、現在の状態を確認します。
成立の有無だけでなく、何株がどの価格・時刻で成立し、何株残っているかを照合します。
画面表示と想定が合わないときは、同じ注文を重ねる前に注文番号と画面状態を控え、利用会社の公式ヘルプまたは窓口で確認します。
| 一般的な状態 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| 受付・予約 | 証券会社は受け付けたが、市場発注前の場合がある | 受付結果、発注予定、市場、条件 |
| 注文中・執行中 | 市場発注前・発注済み・一部約定後など、処理中または未約定数量が残る状態の場合がある | 注文価格、待ち順、残数量、期限 |
| 一部約定 | 注文数量の一部だけ成立した | 約定数量・価格・時刻、残数量の状態 |
| 全部約定 | 注文した全数量が成立した | 約定明細、受渡日、受渡金額 |
| 取消中 | 取消要求の処理中で、完了していない | 最終状態。処理中に元注文が約定する可能性 |
| 取消済・失効 | 残注文は有効ではない | 一部約定の有無、失効理由、再注文の要否 |
注文取消しと「約定取消し」は別の仕組み
通常の注文取消しは、まだ成立していない数量に対する処理です。約定済みの数量は、利用者が注文画面から都合により取り消すことはできません。一部約定なら、取消しの対象になり得るのは残る未約定数量です。
「取消ボタンを押した」だけでは完了ではありません。証券会社の画面で「取消中」などと表示されている間は、取消しが完了していない場合があります。元注文が約定する可能性があるため、利用会社が定める最終状態と約定数量を確認してください。
東証にも「約定取消しルール」がありますが、これは大規模な誤注文によって決済が極めて困難となり、市場が著しく混乱すると見込まれる場合の例外制度です。一般の投資家が入力を間違えたときに任意で使える取消制度ではありません。
約定日と受渡日の違い:国内株の普通取引は原則T+2
約定日は売買が成立した日、受渡日は株式と代金を決済する日です。東証における株式等の普通取引は、原則として約定日の2営業日後(T+2)に受け渡します。
| 約定日(T) | 1営業日後(T+1) | 受渡日(T+2) |
|---|---|---|
| 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 |
| 木曜日 | 金曜日 | 翌週月曜日 |
T+2と画面反映は分けて考えます。売却代金を次の買付へ使える時点、出金できる日、保有残高や買付余力への表示時刻は証券会社や取引条件で異なります。受渡日だけから推測せず、利用会社の画面と公式説明を確認してください。
配当や株主優待を目的にする場合は、受渡しに加えて権利付最終日、必要株数、継続保有など発行会社固有の条件を確認します。基本の流れは高配当株の始め方と株主優待のもらい方で整理しています。
約定の次に確認する専門ガイド
まとめ
約定は、注文を出した状態ではなく、買い注文と売り注文が市場のルールに従って合致し、売買が成立した状態です。優先順位は価格、通常は次に時間ですが、寄付き・大引け・ストップ配分などには例外があります。
約定しないときは現在値だけを見ず、注文番号、執行市場、注文状態、約定数量、残数量、有効期限を順に確認します。一部約定や取消処理中の状態を見落とさず、同じ注文を重ねる前に最終結果を確かめてください。
公式一次情報
売買制度、取引時間、注文状態、受渡しは本ページの最終更新日時点で原資料を確認しました。制度や証券会社の画面は変更されるため、発注前に各公式ページの最新情報を確認してください。
- 日本取引所グループ:売買成立の方法(価格・時間優先、板寄せ、ザラバ、クロージング・オークション)
- 日本取引所グループ:売買立会時(立会時間)
- 日本取引所グループ用語集:内出来
- 日本取引所グループ:約定取消しルール
- 日本取引所グループ:清算・決済機関(T+2)
- SBI証券:注文した値段が付いているのに約定しない理由
- 松井証券:注文照会
- 大和証券:国内株式の注文・約定内容の確認
制作方針:本記事は東証の内国株・普通取引を基準に、制度説明を「注文後に何を確認するか」という順序へ整理しました。証券会社の画面は確認項目の例として使い、会社固有の状態名、期限、買付余力、出金時刻を一般ルールとして断定していません。