口座管理

証券口座の移管・乗り換え完全ガイド【2026年】

証券口座の移管(移管手続き)と乗り換えの具体的手順、手数料、注意点を解説する。NISA口座の金融機関変更から、特定口座の株式移管、投資信託の移管可否まで、元・金融コンサルタントの立場から網羅的にまとめた。移管を検討している投資家が判断に迷わないよう、手続きの全体像を一つずつ丁寧に整理していく。

最終更新:

ヒナコ

ヒナコ

今の証券会社から別の証券会社に乗り換えたいんだけど、保有株式ってそのまま移せるの?

トシ

トシ

「移管」という手続きを使えば、保有株式を売却せずに別の証券会社へ移すことが可能だ。特定口座の取得価額もそのまま引き継がれるから、税金面でも不利にはならない。

ヒナコ

ヒナコ

NISA口座も移管できるの?手続きが面倒じゃないか心配で…

トシ

トシ

NISA口座の金融機関変更は年に1回可能だが、すでにその年にNISA枠で買付をしていると翌年からの変更になる。手続き自体は書類提出だけで完了するから、それほど難しくはない。

証券口座移管の全体フロー

証券口座の移管(口座振替)とは、ある証券会社で保有している株式やETFなどの有価証券を、売却することなく別の証券会社の口座へ移す手続きのことだ。移管の最大のメリットは、保有資産を一旦売却して買い直す必要がないため、売却時に発生する譲渡益税を回避できる点にある。また、特定口座間の移管であれば取得価額(簿価)がそのまま引き継がれるため、将来の譲渡損益計算にも影響を与えないのだ。

移管の手続きは、原則として「移管元の証券会社」に対して申請を行うことから始まる。移管元で所定の「口座振替依頼書」を取り寄せ、必要事項を記入のうえ返送する。移管元と移管先の証券会社間で書類のやり取りと名義照合が行われ、問題がなければ移管先の口座に有価証券が反映されるという流れだ。全体として1〜2週間程度を見込んでおくとよい。

証券口座移管の4ステップ STEP1 移管元に申請 STEP2 移管依頼書を記入・返送 口座振替依頼書に署名 STEP3 移管先で受付・名義照合 証券会社間で書類やり取り STEP4 移管完了 移管先口座に反映 所要期間の目安 国内株式: 約1〜2週間 投資信託: 約2〜3週間 ※移管中は対象銘柄の売買不可
【図解のポイント】
移管は移管元への申請から始まり、書類の記入・返送、証券会社間の照合を経て完了する。国内株式であれば1〜2週間、投資信託の場合は2〜3週間程度かかるのが一般的だ。移管手続き中は対象銘柄の売買ができないため、余裕をもったスケジュールで進めることが大切だ。

移管にかかる手数料比較

証券口座の移管手数料は、「移管元」が徴収するのが一般的だ。移管先の証券会社では受入手数料が無料であるケースがほとんどだが、移管元では1銘柄あたり数千円の出庫手数料がかかる場合がある。この手数料は証券会社によって大きく異なり、無料としている会社もあれば、1銘柄あたり数千円を請求する会社もあるのが現状だ。

移管を検討する際には、保有銘柄数と手数料を掛け合わせた総コストを事前に試算しておくべきだ。たとえば10銘柄を保有しており、1銘柄あたり3,300円の出庫手数料がかかる場合、移管にかかる合計コストは33,000円となる。一方で、移管先の証券会社で取引手数料や管理費が安くなるのであれば、中長期的にはそのコストを回収できる可能性もあるのだ。

主要ネット証券の移管手数料(1銘柄あたり・税込) 証券会社 出庫手数料 入庫手数料 SBI証券 無料 無料 楽天証券 無料 無料 マネックス証券 無料 無料 松井証券 無料 無料 野村證券 3,300円/銘柄 無料 ※2026年3月時点の情報。最新の手数料は各社公式サイトでご確認ください。 ※対面証券・店舗型証券は出庫手数料が発生する場合が多い。
【図解のポイント】
主要ネット証券の多くは出庫・入庫ともに手数料無料だ。一方、対面型の証券会社(総合証券)から移管する場合は1銘柄あたり数千円の出庫手数料が発生するケースがあるため、事前に確認することが重要だ。

NISA口座の金融機関変更手順

NISA口座は全金融機関を通じて1人1口座のルールがあるため、移管先でNISAを利用したい場合は「金融機関変更」の手続きが必要になる。この手続きは年に1回のみ可能であり、変更を希望する年の前年の10月1日から当年の9月30日までに手続きを完了する必要があるのだ。

重要な注意点として、その年に1円でもNISA枠で買付を行っていた場合、当年中の変更はできず、翌年分からの変更となる。たとえば2026年1月にNISA枠で投資信託を購入した場合、2026年分のNISA口座は変更できず、2027年分からの変更手続きとなるのだ。金融機関の変更を検討している場合は、年の初めにNISA枠で買付を行わないよう計画を立てることが大切だ。

なお、変更前の金融機関で保有していたNISA口座内の資産はそのまま非課税で保有を続けることができる。ただし、変更前の口座では新たな買付はできなくなる点に留意が必要だ。

NISA口座 金融機関変更のタイムライン 9月末まで 変更元に届出 「勘定廃止通知書」 を請求・取得 10月1日以降 変更先に提出 通知書+申込書を 変更先へ提出 翌年1月〜 新NISA口座で取引開始 変更先で NISA買付が可能に 注意: その年にNISA枠で1円でも買付済みの場合 → 当年中の変更は不可。翌年分からの変更になる ※変更前の口座で保有中の資産は非課税のまま保有継続可能
【図解のポイント】
NISA口座の金融機関変更は「9月末までに勘定廃止通知書を取得→10月1日以降に変更先へ提出→翌年から利用開始」という流れだ。年初にNISA枠で買付をしてしまうと当年の変更ができなくなるため、変更を考えている場合はNISA買付のタイミングに注意が必要だ。

専門家のワンポイント

NISA口座の変更手続きは毎年9月末までに「勘定廃止通知書」を取得し、10月1日以降に変更先へ提出する。スケジュールを逆算して8月頃には変更元へ連絡を入れておくと、書類の取り寄せに余裕が持てるのだ。

移管できる商品・できない商品一覧

証券口座の移管はすべての金融商品に対応しているわけではない。国内上場株式やETF・REITといった取引所で売買される有価証券は比較的スムーズに移管できるが、投資信託や外国株式には制約がある。移管を検討する際は、自身の保有資産が移管対象に含まれるかどうかを事前に確認しておくことが大切だ。

投資信託については、移管先の証券会社で同一のファンドの取扱いがある場合に限り移管が可能だ。証券会社限定の専用ファンド(プライベートファンド)や、確定拠出年金(DC)専用ファンドは移管対象外となる。外国株式についても、移管先が同一の外国市場の取扱いを行っていなければ移管できないケースが存在する。移管不可の商品については、移管前に売却するか、移管元の口座で保有を継続するかの判断が必要になるのだ。

移管可能な商品と移管不可の商品 移管可能な商品 国内上場株式 ETF・REIT 国債・社債 投資信託(同一取扱時) 外国株式(同一市場取扱時) 移管できない商品 × 証券会社専用ファンド × DC専用ファンド × FX・先物ポジション × 信用取引の建玉 × ポイント・キャンペーン特典 △ = 条件付きで移管可能。移管先での取扱状況を事前に確認すること。 ※最新の移管対応状況は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
【図解のポイント】
国内上場株式やETFは基本的に移管可能だが、証券会社専用ファンドやFXポジション、信用建玉などは移管できない。投資信託と外国株式は移管先での取扱いの有無が条件となるため、事前確認が必須だ。

投資リスク警告

証券口座の移管手続き中は対象銘柄の売買が一時的にできなくなります。移管期間中に相場が大きく変動した場合でも売買対応ができないリスクがあることをご理解ください。投資判断はご自身の責任で行い、不明点は各証券会社および金融庁の相談窓口にご確認ください。

証券口座の移管は「知れば怖くない」手続きだ

証券口座の移管は、手順を正しく理解すれば決して難しい手続きではない。移管元への申請から完了まで1〜2週間を見込み、手数料と移管対象商品を事前に確認しておけば、保有資産を売却することなくスムーズに証券会社を乗り換えることが可能だ。NISA口座の金融機関変更も、スケジュールさえ押さえておけば書類提出のみで完結する。より良い投資環境を求めるのであれば、まずは移管先の候補となる証券会社の手数料体系やサービス内容を比較検討するところから始めてみるとよい。行動した人だけが、より有利な条件で資産運用を続けられるのだ。

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証券口座の移管に関するよくある疑問

Q. 証券口座の移管にはどのくらいの日数がかかりますか?

一般的に1〜2週間程度です。移管元と移管先の証券会社間で書類のやり取りが発生するため、即日完了はできません。移管手続き中は対象銘柄の売買ができなくなるため、相場が大きく動く可能性がある時期は避けることを推奨します。

Q. 投資信託も他の証券会社に移管できますか?

移管先の証券会社で同一の投資信託の取扱いがある場合に限り移管可能です。ただし、証券会社限定の投資信託(専用ファンド)や一部のDC専用ファンドは移管できません。移管前に移管先の取扱銘柄を確認してください。

Q. 特定口座から一般口座への移管はできますか?

特定口座から一般口座への移管(払い出し)は可能ですが、逆(一般口座から特定口座)はできません。一般口座では確定申告が必要になるため、特段の理由がない限り特定口座のまま移管することを強く推奨します。

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