貯金と投資の使い分け

投資信託と銀行預金はどっち?
違いと、貯金を残す金額の考え方

近いうちに使うお金と、急な出費への備えは預金へ。長く使わず、値下がりしても生活や予定に困らないお金から投資信託を検討します。先に決めたいのは「何割を投資するか」より、手元に残しておく金額です。

最終更新日:
編集:金融ナンバーワンサイト

日々の支払い・急な出費

普通預金を中心に必要なときに使えることを優先。引出し限度額や手数料も確認します。

時期と金額が決まった支出

普通預金・定期預金教育費や車の購入費など。定期預金なら満期を支払日より前に合わせます。

当面使う予定のないお金

投資信託も選択肢運用で増える可能性がある一方、元本割れもあります。全額を回す必要はありません。

このページでは、日本の個人が利用する一般的な円の普通預金・定期預金と、一般的な非上場の公募投資信託を比べます。外貨預金・仕組預金・保険・個別の株式や債券は比較対象に含めません。

投資信託と銀行預金の違いを比較

預金は銀行にお金を預け、契約に応じた利息を受け取るもの。投資信託は、多くの投資家から集めたお金を、運用会社が株式や債券などで運用する商品です。預金の金利と、投資信託の過去の利回りは、同じ確実さで受け取れる数字ではありません。

円預金と公募投資信託の基本比較
比べる点銀行預金投資信託
元本一般的な円預金は契約上、元本が保証される。銀行破綻時の保護範囲は別途確認元本保証なし。運用の結果、購入額を下回ることがある
増え方適用金利・預入期間などで利息が決まる。変動金利は見直しがある基準価額の上昇や分配金。ただし分配しない商品もあり、分配金が元本の払戻しになる場合もある
現金化普通預金は出し入れしやすい。定期預金は満期・中途解約条件に注意売却申込みと代金受取りに時間差がある。受渡日・申込不可日などは商品ごとに異なる
費用ATM・振込などの利用手数料に注意信託報酬などの保有中の費用。購入時手数料・換金時の費用等は商品や販売会社で異なる
税金利息は原則20.315%課税。マル優など例外あり公募株式投資信託の売却益・普通分配金は原則20.315%課税。対象商品をNISA口座で保有する場合は非課税
主な役割生活費や、必要な時期・金額を守りたい資金の確保値動きを受け入れられる資金で、長期の資産形成を目指す

投資信託の分配金は預金利息とは性質が異なります。元本払戻金(特別分配金)は自分の元本の一部が戻るもので、利益ではなく非課税です。手取りや損益は、分配金だけでなく基準価額・費用も含めて確認します。

税金・費用の確認先:国税庁「利息を受け取ったとき」、資産運用業協会「投資信託の税金」「投資信託のコスト」。制度・条件は本ページの最終更新日時点で確認しています。

貯金と投資の割合は、残すお金を決めてから

「貯金が300万円なら、半分を投資してよいのか」。金額だけでは決められません。2年後に車を買う人と、まとまった支出の予定がない人では、同じ残高でも使えるお金が違います。

今ある預貯金
− 日々の支払い・収入減や急な出費への備え
− 使う時期と金額が決まっている支出
= 投資を検討する前の残額

  1. まず、普段の支払いと急な出費への備えを残す家賃、食費、公共料金、返済など、欠かせない支出を基準にします。収入の安定性、扶養家族、休業時の給付、近い転職予定によって必要額は変わります。月数を一律に決めず、生活防衛資金の必要額と置き場所で自分の条件を整理できます。
  2. 予定のある支出を別に取り分ける教育費、引越し、車検、住宅の頭金など、「何年何月にいくら必要か」を書き出します。生活費の備えに含めた支出を、もう一度差し引かないようにします。
  3. 残った額について、損失を受け入れられるか考える差し引いて残った額は、全額投資の推奨額ではありません。値下がり時の負担が大きいと感じるなら、投資する額を減らし、預金に残す選択もできます。

貯金がまだ少ないときは、日々の支払いと急な出費への備えを先に整えます。少額投資ができる商品でも、急に必要となるお金まで回す理由にはなりません。年齢や平均的な保有割合は、自分の家計の代わりにはならないからです。

同じ貯金300万円でも、投資を検討できる額は変わる

日々の支払いと急な出費への備えを合わせて150万円残す、と決めた架空の2つの家計で比べます。150万円は説明用の仮定で、すべての人に必要な金額ではありません。現在の預貯金以外の資産や将来の収入は、この例の計算に含めていません。

A:2年後に100万円を使う予定

今ある預貯金
300万円
支払い・急な出費への備え
−150万円
2年後の予定支出
−100万円
差し引いた残額
50万円

300万円のうち250万円を残し、50万円について投資を検討します。

仮に50万円を投資して30%下落すると、評価額35万円・評価損15万円です。

B:まとまった支出の予定なし

今ある預貯金
300万円
支払い・急な出費への備え
−150万円
別に確保する予定支出
0円
差し引いた残額
150万円

150万円を残し、残る150万円について投資を検討します。

仮に150万円を投資して30%下落すると、評価額105万円・評価損45万円です。

棒の左から、支払い・備え、予定支出、差引残額の順。30%の下落は負担を考えるための仮定で、予測や最大損失ではありません。実際にはこれを超えて下落することもあります。購入費用等は含まない単純計算です。

同じ30%でも、減る金額は15万円と45万円で違います。必要な支払いを続けられるかに加え、その金額の変動を抱えながら保有を続けられるかを考えます。Bの家計でも45万円の下落が重いと感じるなら、150万円より少ない額から検討できます。

もしAの予定支出が200万円なら、必要なお金は合計350万円となり、今の貯金では50万円不足します。この場合は投資額を決める前に、支出の時期・金額や貯め方を見直す段階です。引き算の答えが0円以下なら、今ある預貯金から投資へ回す余地はないと、この方法では整理します。

「売れる」と「支払日に使える」は別。現金化まで確認する

使う時期が決まっているお金は、必要な額と現金になる日をセットで考えます。たとえば授業料の引落しが迫っているとき、投資信託を売る操作ができても、その日の支払いに間に合うとは限りません。

すぐに使う分は、普通預金で引き出しやすく

生活費や急な出費への備えは、必要なときに引き出せることが大切です。ATM・振込の限度額、利用時間、手数料、他行への入金にかかる時間も確認します。定期預金を使うのは、すぐには動かさない部分について満期を合わせられる場合です。

定期預金は、満期日と中途解約の扱いを確認

定期預金は期間を決めて預ける商品です。満期前に必要になった場合の解約可否・手続き・適用金利は商品条件によります。金利だけで選ばず、支払日までに取り出せるかを先に確認します。預金の種類は普通預金・定期預金などの違い、商品選びは定期預金の比較で確認できます。

投資信託は、目論見書と販売会社の画面を両方見る

  • 交付目論見書の「手続・手数料等」:換金代金の支払日、申込不可日、換金制限、信託財産留保額など。
  • 販売会社の売却画面:申込締切、約定日、受渡日。受渡し後に証券口座から銀行へ出金する場合は、その所要時間も別に確認。
  • 「投資リスク」と費用欄:何の値動き・為替変動に影響される商品か、保有中の信託報酬やその他費用はいくらか。

投資信託は、5年・10年持てば元本割れしなくなる商品ではありません。長い期間を取れることは判断材料ですが、教育費のように必要額を減らせないお金は、使用時期が遠くても慎重に分けておきたい部分です。

仕組みの確認先:全国銀行協会「定期預金」、資産運用業協会「換金の種類と手続き」。

預金保険と投資信託の分別管理は、守る対象が違う

金融機関の破綻に備える制度と、投資した商品の値下がりは分けて考えます。銀行の窓口で買った投資信託も預金ではなく、預金保険の対象にはなりません。

円預金:1人・1金融機関ごとに保護範囲を確認

預金保険の対象となる利息付き普通預金や定期預金などは、預金者1人につき1金融機関で合算し、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。同じ銀行の支店や口座を分けても、保護枠が増えるわけではありません。

無利息・要求払い・決済サービスの提供という条件を満たす決済用預金は全額保護です。一方、外貨預金は対象外です。1,000万円を超えて預けるときの整理はペイオフと預金の分け方で詳しく説明しています。

投資信託:信託財産を金融機関自身の財産と分けて管理

投資信託の資産は信託銀行が保管し、信託銀行自身の財産と区分して管理します。販売会社や運用会社もそれぞれ役割が分かれており、関係する金融機関が破綻しても信託財産を保全する仕組みがあります。

証券会社が適切な分別管理を行わず、対象となる顧客資産を返還できない場合には、日本投資者保護基金による一般顧客1人当たり上限1,000万円の補償があります。相場の下落や、投資先の破綻による損失を埋める制度ではありません。銀行で購入した投資信託について、この基金の補償が受けられるという意味でもありません。

制度の確認先:金融庁「預金保険制度」「預金・融資等に関する相談」、資産運用業協会「投資信託の安全性」、日本投資者保護基金「投資者保護とは」。

預金はインフレでどうなる?残高と買える量を分けて見る

物価が上がると、同じお金で買える量は少なくなります。預金の残高が減っていなくても、物価の上昇に税引後の利息が追いつかなければ、実質的な購買力は下がります。

今100万円で買えるもの値上がり後は120万円
手元の100万円の購買力今の約83.3万円相当

価格が累計20%上がり、手元のお金は利息等で増減しないと仮定した例です。必要額は100万円×1.2=120万円、現在の価値への換算は100万円÷1.2≒83.3万円。将来の物価予測ではありません。

ただ、物価上昇を心配して必要資金まで投資に回すと、今度は値下がりや換金のタイミングに左右されます。投資信託も投資対象によって値動きが異なり、インフレを上回る利益が保証されるわけではありません。

近い支払いを守る預金と、長く持てる範囲で成長を目指す投資信託。それぞれの役割を残すのが、このページの使い分け方です。物価上昇率や年数を変えた計算はインフレ計算シミュレーターで試せます。

物価とお金の価値の確認先:日本銀行「おしえて!日本銀行」(PDF)。上の数値は当サイトによる仮定の計算です。

NISAは投資の利益を非課税にする制度。貯金との優先順位は変わらない

NISA口座で対象の投資信託を購入すると、その売却益や普通分配金が非課税になります。投資に回すお金を決めたうえで、利用条件を確認する価値がある制度です。

一方で、NISAにも元本割れはあります。損失を課税口座の利益と損益通算したり、翌年以降に繰り越したりすることもできません。非課税枠が空いていても、生活費や近い支出を削って埋める必要はありません。

まずは貯金を残す額、その後に投資する額、最後に口座と商品。この順で整理すると、制度のお得さだけで金額を大きくしにくくなります。枠や口座開設の手順はNISAの仕組みと始め方へ、積立を選ぶ際の準備はインデックス投資の始め方へ進めます。

確認先:金融庁「NISAを知る」「NISA制度資料(PDF)」。

自分のお金で、使い分けを決める4つの手順

  1. 口座残高と予定支出を書き出す今ある預貯金、支払い・備えに残す額、別に必要な予定支出を整理します。予定支出には支払う年月も添えます。
  2. 残す資金を、普通預金と定期預金に分けるすぐ使う部分は普通預金へ。定期預金に置く場合は、満期・中途解約条件と支払日を照らし合わせます。
  3. 投資を検討する額と、下落時の円額を書くたとえば50万円の30%は15万円。額を変えながら、生活や支出予定への影響と自分の負担感を確かめます。この30%は損失上限ではありません。
  4. 商品を選ぶ前と、生活が変わったときに見直す目論見書で投資対象・リスク・費用・換金条件を確認。転職、出産、住宅購入などで必要資金が変わったら、投資額も見直します。

退職金のようなまとまったお金も同じ順序です。今後の生活費と予定支出を分けてから、投資に回す部分を考えます。一括で買うか、何回かに分けるかだけでは、必要資金を投資してよいかという問題は解決しません。

投資を検討する額が決まったら、投資信託を扱うネット証券の比較で取扱商品や利用条件を確認できます。今ある貯金に加えて、これからの給料をどう分けるか考えたい場合は、毎月の口座使い分けシミュレーターが役立ちます。

最初に書くのは、投資額より「残す金額」

預金と投資信託は、必要なお金を守る役割と、値動きを受け入れて資産形成を目指す役割で使い分けます。今日の口座残高から、近い支払い、急な出費への備え、予定のある支出を順に分けてみてください。残ったお金について、どの程度の変動なら受け入れられるかを考えるところから始められます。

本記事は公的機関・業界団体の資料をもとに、当サイトが使い分けの手順と架空の計算例を整理した一般的な解説です。個別商品の推奨や、特定の配分・運用成果の保証ではありません。

あわせて読みたい