FXの取引判断

FXの両建ては意味がない?
デメリットと続ける前の判断基準

両建てには、買いと売りを残しながら値動きの影響を抑える働きがあります。ただし、含み損を取り戻す仕組みではありません。値動きを小さくしたいだけなら、今の建玉を減らす方法も比べたいところです。

この記事では、両建てを追加・継続する理由を整理し、同じ値動きへの影響でも必要資金が変わる例と、会社ごとに確認したい条件をまとめます。

両建てのメリットは、建玉を残したまま値動きを抑えられること

同じ通貨ペアの買いと売りを同時に持つのが両建てです。同数量なら、相場が一方向に動く影響はおおむね打ち消し合います。一方、売買価格の差、スワップ、必要証拠金、決済の管理は残ります。「値動きを抑えられる」と「口座のお金が減らない」は別です。

値動きを小さくしたい

反対の建玉を加えるほか、一部決済で数量を減らす方法もあります。同じ値動きへの影響にそろえ、必要資金と費用を比べると判断しやすくなります。

同じ条件の比較を見る

異なる戦略の建玉を残したい

長期の買いと短期の売りなどを分けて管理する目的はあります。ただし、それぞれを終える条件、合計コスト、片側だけ残った場合の数量まで管理できることが前提です。

続けるための条件を確認

損失を確定したくない

両建てにしても、それまでの損失は消えません。相場が戻れば両方を利益にできる、という前提で追加すると、今度は外す判断が必要になります。

損失と費用の関係を見る

定義や売買ごとの損益を先に確かめたい場合は、両建ての仕組み・損益計算へ。ここでは、両建てにする理由と代わりの方法を比べます。

買い2万通貨に売り1万通貨を足すなら、一部決済も比べたい

米ドル/円を2万通貨買っていて、今後の値動きの影響を半分にしたい場面を考えます。売りを1万通貨追加しても、買いを1万通貨決済しても、残る影響は差し引きで買い1万通貨分です。しかし、保有する量と資金の拘束は違います。

表が画面に収まらない場合は、左右に動かして比較できます。

同じ出発点から、値動きの影響を半分にする2つの方法
比べる点売り1万通貨を追加買い1万通貨を決済
残る建玉買い2万+売り1万
合計3万通貨
買い1万通貨
今から1円下落した場合買い−2万円+売り+1万円
合計−1万円
−1万円
必要証拠金の単純例MAX方式で買い2万通貨分
12万円
残った買い1万通貨分
6万円
それまでに含み損がある場合元の買いの評価損として残る決済した分は実現損、残りは評価損
今後管理するもの買い・売り両方のコストと終了条件残った買いのコストと終了条件

説明用の試算です。現在の米ドル/円を150円、証拠金率4%、同一口座・同一銘柄のMAX方式と仮定。必要証拠金は数量×150円×4%です。損益変化はスプレッド一定とし、スワップ・手数料・スリッページを除いています。発注時の必要額や計算レートは各社の規定で異なります。12万円と6万円の差は拘束資金の差で、利益や口座資産の増加ではありません。

一部決済すると損失が画面上で確定するため、ためらうこともあるでしょう。ただ、実現損益と評価損益を合わせて見ると、決済しただけで損が増減するわけではありません(売買価格差などの影響を除く)。建玉を残したい理由が「確定させたくない」だけなら、その理由と資金の負担を分けて考えたいところです。

数量を変えると比較結果も変わります。売りを2万通貨追加すれば差し引き数量はゼロですが、MAX方式でも買い2万通貨分の必要証拠金は残ります。反対に、元の買いをすべて決済し、未約定注文もなければ、その取引の建玉維持に必要な証拠金はなくなります。

残す数量は「入金できる額」だけで決めず、許容できる損失からも検討できます。損失の上限から取引数量を考える方法も参考にしてください。

両建てのデメリットは、損失を残したまま費用と判断が増えること

スプレッドは、保有する日数ごとの料金ではない

スプレッドは買値と売値の差です。両建ては買いと売りの双方を取引するため、費用負担が増え得ます。例えば同数量の買い・売りをそれぞれ通常決済し、各取引のスプレッドが同じなら、片側だけの1往復に対して2取引分のスプレッドを負担します。

ただし、「毎日スプレッドが引かれる」「どの決済方法でも必ず2倍」とは言えません。スプレッドの変化や、会社が用意する決済方法でも結果は変わります。まずスプレッドの仕組みとコストを押さえ、取引画面の売買価格を確認します。

スワップは、買いと売りを合算する

スワップは通貨ペア・会社・日によって変わります。受取額より支払額が大きければ差額が負担になりますが、売買が同額で相殺する商品もあります。「両建てなら必ず毎日マイナス」と決めつけず、同じ商品・同じ数量・同じ付与日数で買いと売りを合算してください。付与のない日や複数日分をまとめる日もあるため、単純な暦日数だけで見積もらないことも大切です。

商品ごとの付与予定は公式カレンダーで確認します。仕組みを確かめたい場合はスワップポイントの受取り・支払いへ。取引所FXのくりっく365は、公式の特徴とメリットで売買同額のスワップを特徴として案内しています。

含み損は、両建てにしても取り戻せない

後から反対の建玉を持っても、先に生じた評価損は残ります。同数量なら、その後の一方向の値動きはおおむね相殺されるため、相場が戻るだけで全体の損失が消えるわけではありません。片側を外して取り戻そうとすれば、残った建玉に値動きのリスクが戻ります。

「損益が固定される」は条件を省略した説明です。売買数量が違えば差分の値動きが残り、同数量でもスプレッドやスワップで評価額は変わります。円を含まない通貨ペアでは円換算の影響もあるため、円ベースの損益が完全に固定されるとは限りません。

MAX方式でも、証拠金が不要になるわけではない

MAX方式は、同一通貨ペアの買いと売りのうち、大きい側を基準に必要証拠金を計算する方式です。買い1万・売り1万ならゼロではなく、1万通貨分が基準になります。一方、売買双方の証拠金が必要な会社もあります。

必要証拠金は取引のために拘束される資金で、手数料とは違います。MAX方式は双方合算より拘束額を抑えられる場合がありますが、それだけで両建てが有利な取引になるわけではありません。

また、保有中の計算方式と、新しい注文を出すときに必要な余力は別です。成立後はMAX方式でも、発注時には新規注文分の証拠金が必要な商品があります。取引できると思って売り注文を出しても、余力不足で成立しない可能性があるため、注文前のルールまで確認してください。

国内7サービスの両建て条件は、必要証拠金と発注時の扱いを確認

下表の国内7サービスについて、個人の通常のFX口座で両建てに関係する仕様を確認しました。推奨順位ではありません。スワップやスプレッドの実数、口座の総合評価は比較対象に含めていません。広告報酬による順位づけは行っていません。

条件は本ページの最終更新日時点。法人、取引所FX、他社間の取引はこの表の対象外です。同じ通貨名でも、通常銘柄・大口銘柄・LIGHTペアなど商品区分が違う場合は、同じ銘柄として扱われるとは限りません。

表は左右に動かせます。各行の公式資料から、ご利用中の商品の条件を確認できます。

両建て時の証拠金と、注文前に読む公式資料
サービス保有中の必要証拠金確認すること・公式資料
みんなのFX売買それぞれの必要額の大きい側(MAX方式)新規注文時には、注文数量分の証拠金が別途必要。両建て設定も確認。
公式の両建て条件
LIGHT FX売買それぞれの必要額の大きい側(MAX方式)新規注文時には別途証拠金が必要。通常・LIGHT等の銘柄区分を確認。
公式の両建て条件
ヒロセ通商[LION FX]売買数量の多い側。同数量なら片側通常銘柄と大口銘柄は別扱い。注文時の条件も取引説明書で確認。
公式の両建て条件
JFX[MATRIX TRADER]売買数量の多い側。同数量なら片側MATRIX TRADERの条件。通常銘柄と大口銘柄は別扱い。
公式の両建て条件
GMOクリック証券[FXネオ]売買数量の多い側(MAX方式)FXネオの条件。注文中の必要額と保有時の必要額を区別。
公式の両建て条件
SBI FXトレード数量の多い側。同数量なら取引金額の大きい側SBI FXTRADEの条件。SBI証券のFXとは別サービス。
公式の両建て条件
DMM FX買い・売りの双方に必要MAX方式ではありません。両方を保有する分の必要額を確認。
公式の両建て条件

証拠金だけで口座を選ばず、利用する通貨ペアの売買スワップ、注文方法、取引できない時間も合わせて確認します。口座全体の比較はFX口座の比較と選び方へ。ここにない会社を劣ると評価しているわけではありません。

両建てでもロスカットは起こり得る

買いと売りが同数量でも、スプレッドが広がると合計評価損益が悪化する場合があります。スワップの支払いや必要証拠金の変動などによっても、証拠金維持率は変わります。両建てをしただけで、ロスカットを回避できるわけではありません。

経済指標の発表時などに値動きを抑える目的で使うとしても、同じ時間帯に売買価格差が広がることがあります。各社の判定基準と口座の余力を確認する必要があります。基礎はロスカットの仕組みと証拠金維持率で整理しています。

別の会社で買いと売りを持つ場合は、口座ごとの余力が必要

A社の買いとB社の売りを合算して値動きの影響が小さく見えても、証拠金の管理はそれぞれの口座で行います。片方の利益が、もう片方の口座の不足を自動で補うわけではありません。片側だけが強制決済されると、反対側の建玉が残ります。

スワップ差を狙う取引も、付与額の変動、資金移動の時間、両社の取引条件を含めた判断が必要です。別業者間の両建てが一律に禁止・許可されていると考えず、利用する各社の規約を確認します。

続けるか迷ったら、「いつ・何のために終えるか」を先に整理する

「上がったら売りを外す」と決めても、その後に下がることはあります。値動きを見て片方を外せばうまくいく、という共通のタイミングはありません。続ける理由を確かめるには、次の3点を紙やメモに書き出すと整理しやすくなります。

  1. 残す理由:損失の確定を避けたいだけなのか、別々の戦略を管理する必要があるのか。
  2. 続ける条件:保有期限、許容できる合計損失・コスト、見直す条件を決められるか。
  3. 終えた後:買いと売りのどちらが何通貨残り、未約定の注文がどうなるかを説明できるか。

理由や期限が曖昧なら、保有量を減らす場合や両方を決済する場合も比較します。両方を終えたいときは、「一括決済」が希望する建玉だけを対象にするか、売買が同時に約定する仕組みかを会社の操作説明で確認してください。注文名だけで判断せず、決済後の建玉一覧と残った注文まで確認します。

外す前後の数量の見方は両建てを解除するときの確認へ。保有中の注文や記録の整理は建玉管理の基本で詳しく扱っています。

「両建ての勧誘禁止」と「利用者の取引禁止」は別

金融庁は、顧客にとって経済合理性を欠くおそれがある両建てについて、金融商品取引業者等が顧客に勧誘する行為を禁止する規定を説明しています。これは「顧客が自分で両建てをすることは、どの商品でも禁止」という意味ではありません。

実際に利用できるか、どの注文方法や口座の組合せが認められるかは商品ごとの規定によります。「注文できる」ことを「費用面でも有利」という意味に読み替えないことが大切です。

制度の確認:金融庁「外国為替証拠金取引について」/金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」

両建てを選ぶ前に、同じ目的を少ない建玉で達成できるか比べる

両建てを続ける意味は、買いと売りを残す目的があるかで変わります。値動きを抑えたいだけなら、今の数量を減らす方法も候補になります。必要証拠金、売買合計のコスト、終了条件をそろえて比べると、損失を確定したくない気持ちと取引の判断を分けやすくなります。

FXでは相場の急変などにより、預けた証拠金を上回る損失が生じるおそれがあります。余力があるかだけでなく、失っても生活に影響しない範囲かを確認しながら判断してください。

この記事の確認方法

金融ナンバーワンサイト編集部が、金融庁・金融先物取引業協会の制度説明と、表に示した各社の商品仕様を照合して整理しています。数値例は条件をそろえるための計算で、実際の売買成績や将来の利益を示すものではありません。

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