ナカモトカード(RAREPEPE)とは最初期NFT「シリーズ1・カード1」の歴史と取引データ
最終更新:2026年6月9日
暗号資産の世界で「名画」のように扱われる、一枚のカード。
ナカモトカード(Nakamoto Card)は、2016年9月にビットコイン上で生まれた、レアぺぺ(RAREPEPE)コレクションの第1作です。世界的なミーム「Pepe(ペペ)」をブロックチェーンに刻んだ最初期のNFTで、いまも世界中に根強いファン(コレクター)のコミュニティを持ち、大手オークションハウスSotheby'sでも取引されてきました。本記事では、公開されている取引記録や報道をもとに、その仕様・歴史・取引データを整理します。投資をすすめるものではありません。末尾の「リスクと注意点」も併せてご確認ください。
- 2016年9月発行。レアぺぺの第1作(シリーズ1・カード1)で、CryptoPunks(2017年)より前の最初期NFT。
- 過去には147 ETH(約5,500万円)の記録、Sotheby'sでも約$240,000で取引。
- 発行は300枚。バーンや紛失で、動かせる現物はさらに少ないとみられる(推定)。
- 価格変動・流動性のリスクは大きい。本記事は投資をすすめるものではありません。
ヒナコ
これ、普通のカエルの絵に見えるんですけど……どうして数千万円もするんですか?
トシ
そのカエルは「Pepe(ペペ)」という、世界中で知られたミームのキャラクターだ。そしてこれは、Pepeをブロックチェーンに刻んだ「レアぺぺ」というコレクションの、いちばん最初の一枚だ。
ヒナコ
最初の一枚……。世界に、集めている方も多いんですか?
トシ
世界中に、根強いコレクターのコミュニティがある。2016年生まれでCryptoPunksより前、美術品を扱うSotheby'sにも並んだ。暗号資産の世界では、名画のように「来歴」で語られる一枚だ。
1. ナカモトカードとは(基本仕様)
ナカモトカードは、2016年に始まったレアぺぺ(RAREPEPE)コレクションの「シリーズ1・カード1」、つまりコレクションで一番最初に発行されたカードです。コレクション全体の名称もRAREPEPEですが、この第1作はカード上部に「Nakamoto Card」と記されているため、個別にそう呼ばれています。匿名の制作者(コミュニティでは "Mike"/@rarepepe として知られています)が2016年9月にCounterpartyのチャットへ投稿したのが始まりとされ、ビットコインのブロック428,919で記録されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コレクション名 | RAREPEPE(シリーズ1・カード1) |
| 固有名称 | Nakamoto Card |
| 発行時期 | 2016年9月(ビットコイン ブロック428,919) |
| 発行チェーン | ビットコイン(Counterparty/XCPプロトコル) |
| 総発行枚数 | 300枚(現存は約299枚とされる) |
| トークンの性質 | 個別のシリアル番号を持たず総枚数で管理される、現行NFT規格以前の仕様 |
| 図柄 | ビットコインの考案者と報じられた人物の肖像と、ミーム「カエルのPepe」を融合 |
| 作者 | 匿名("Mike" として知られる) |
図柄について
図柄は、2014年に米誌Newsweekがビットコインの考案者だと報じた(本人は否定)ドリアン・サトシ・ナカモト氏の肖像を、ミーム「カエルのPepe」風に描いたものです。「ビットコインの始まり」と「ネットミーム文化」という、暗号資産(仮想通貨)の黎明期を象徴する2つの要素が一枚に同居しています。現在の一般的なNFTのように固有番号を持たず、総発行枚数で管理される仕様は、NFTという概念が固まる前の過渡期を示す資料として見られています。
2. 誕生の背景:2016年の市場とレアぺぺの始まり
ナカモトカードの位置づけは、発行当時の状況を押さえておくと分かりやすくなります。
2016年は、2014年のマウントゴックス事件の影響が市場に残っていた時期でした。NFTという言葉はまだなく、ブロックチェーン技術そのものも、一部の技術者や愛好家に知られている程度でした。多くの市場参加者は暗号資産(仮想通貨)を投機の対象と見ており、技術の「使いみち」には懐疑的な見方が少なくありませんでした。
そうした中で、ブロックチェーンをトレーディングカードやアートに応用する試みが始まります。2015年の「Spells of Genesis(SoG)」や「Memorychain」が先駆例で、レアぺぺもこの流れの中で2016年9月に第1作(ナカモトカード)が生まれました。その後、Rare Pepe Wallet(開発者Joe Looney)という売買・保管の場が整い、世界中の制作者が「レアなPepe」を持ち寄る分散的なムーブメントへ広がります。2016年から2018年にかけて36シリーズ・計1,774種類のカードが作られ、区切りを迎えました。これは、イーサリアム上のCryptoPunks(2017年6月)やCryptoKitties(2017年9月)よりも前の出来事です。
3. 取引データ:いくらで取引されてきたか
ナカモトカードは、その歴史的な位置づけから、過去に高額な取引記録を残しています。一方で価格の幅は大きく、すべての個体が高額というわけではありません。記録に残る主な取引は以下のとおりです。
| 時期 | 取引の場・出来事 | 取引価格(成立時点) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2016年9月 | 発行直後(Counterparty上) | 少額・愛好家間の交換が中心 | OpenSea/Emblem ほか |
| 2021年8月30日 | NFTブームでの再評価 | 111.1 ETH=約$352,627(当時およそ3,900万円) | Emblem Vault Bot/CoinDesk |
| 2021年9月10日 | 発行5周年前後 | 147 ETH=約$505,483(当時およそ5,500万円) | Emblem Vault Bot/Coin Rivet |
| 2021年10月(Sotheby's) | 大手オークションハウスのNFTセールに出品 | 約$240,000(当時およそ2,700万円) | Coin Rivet |
| 2021年11月5日 | コレクターMetaKovan氏が取得と報道 | 約$500,000 | nftevening |
| 2023年11月22日 | OpenSea | $109,293(53 ETH) | rarepepes.com |
| 2023年12月9日 | OTCオークション | $160,000(69.42 ETH) | rarepepes.com |
| 2024年1月20日 | Scarce City | $166,660(67 ETH) | rarepepes.com |
※円換算は取引成立時点の為替レートに基づくおおよその目安です。上記は記録に残る代表的な取引です。最終確認日(2026年6月9日)時点で、主要トラッカー上では2024年1月以降にこれを上回る公開記録は確認していません(コミュニティでは2024年後半に約42.69 ETHでの取引も報告されています)。ラップされた個別Vaultの売買では数千ドル規模で取引された例も確認されており、出品時期・状態によって価格は大きく異なります。
イーサリアムでの取引を可能にした「Emblem Vault」
価格形成の大きな転機になったのが、Emblem Vaultという技術の普及です(2020年ごろから)。これは、ビットコイン(Counterparty)上の資産を「Vault(金庫)」に入れ、イーサリアム上のNFT(ERC-721/ERC-1155)として包む(ラップする)仕組みです。これにより、世界最大級のマーケットプレイスであるOpenSeaなどでの売買が可能になり、流動性と注目度が高まりました。
コレクション内での位置づけ(参考)
2021年10月のSotheby's「Natively Digital 1.2」では、3点のレアぺぺが出品されました。最も話題になったのは1点もののPEPENOPOULOS(約360万ドル)で、ナカモトカードは約24万ドルで取引されています。なお、レアぺぺで最も有名な単体カードは1点ものの「Homer Pepe」で、2021年3月に205 ETH(約32万ドル)で取引されました。1点もののカードと、300枚発行のナカモトカードとでは価格帯が異なる点は、希少性の違いとして押さえておきたいところです。
4. NFT・暗号資産の世界での位置づけ
新規プロジェクトが日々生まれては消えていく暗号資産(仮想通貨)・NFTの世界において、ナカモトカードは、名画や骨董品と同じように「出自(プロブナンス)と歴史」で評価される収集対象として扱われています。これは次のような事実に支えられています。
- 最初期のNFTの一つ:2016年発行で、CryptoPunks(2017年)やBored Ape Yacht Club(2021年)よりも前にあたります。
- 大手オークションハウスが扱った実績:美術品を扱うSotheby'sのNFTセールに出品されました。
- コレクター間での呼称:第1作・第1番という位置づけから、コレクターの間では「グレイル(聖杯)」と呼ばれることがあります。
- 継続する取引:一過性のブームのあとも、数十万ドル規模の取引が記録されています。
こうした背景から、ナカモトカードは、価格の派手さよりも、ブロックチェーン上のデジタルアートの「出発点」という歴史的な意味で語られることが多い一枚です。
5. なぜ希少なのか:発行300枚
ナカモトカードの総発行枚数は300枚です。現在主流のNFTコレクション(数千〜1万枚規模が一般的)と比べると、供給量はかなり限られています。
発行は300枚ですが、現存して動かせる枚数はそれより少なく、約299枚とされています。初期ウォレットの秘密鍵を紛失して動かせなくなった個体や、Emblem Vaultの取り扱いの過程で中身ごと失われた(バーンされた)とされる個体の存在が指摘されているためです。こうした不可逆な減少により、実際に流通しうる枚数は時間とともに減る構造にあります。(※バーン・紛失の具体的な枚数は確定的な一次資料が限られるため、本記事では「〜とされる」と留保付きで記載しています。)
現物(ネイティブ)とラップ済み — 動かせる枚数はさらに少ない
ナカモトカードには、大きく2つの「持ち方」があります。発行当時のままビットコイン(Counterparty)上で保有する「現物(ネイティブ)」と、Emblem VaultでイーサリアムのNFT(ERC-1155)として包んだ「ラップ済み」です。OpenSeaなどで売買されているのは主に後者で、Vaultを開く(アンラップする)と中の現物を取り戻せる一方、その個体はイーサリアム上では取引できなくなります。イーサリアム上にラップされた個体の総供給量は91、所有者は79です(OpenSea・2026年6月時点)。
ここで重要なのは、額面の発行枚数と「実際に動かせる枚数」は別だという点です。300枚のうち2枚はすでにバーン(焼却)されたとされ、加えて初期に取得した個体には、秘密鍵の紛失や長期休眠で動かせなくなったものが相当数あるとみられます。
- 価値が高く追跡も進むビットコインでさえ、供給のおよそ17〜23%(概ね2割)が失われたと推計する調査がある(Chainalysis等)。
- 2016年発行の初期ミーム資産は、保有者の入れ替わりや鍵管理の甘さもあり、失われた比率はこれより高いと考えるのが自然。
こうした事情から、実際に取引可能な個体——とりわけ未ラップの「現物」——は、額面の300枚を大きく下回り、数十枚規模にとどまる可能性もあります(正確な紛失数は性質上、確定できません)。一部のコレクターが現物を強く選好することもあり、まとまった現物が市場に出た際には、希少性や来歴の純粋さを理由に高い評価がつく場面もあると指摘されています。
ただし、ラップは元に戻せる操作で(Vaultを開けば現物に戻る)、紛失枚数も正確には測れません。需給や評価は今後も変わりうる点に注意が必要です。本記事は、こうした市場の見方を紹介するものであり、価格の上昇を予測・保証するものではありません。
※ラップは元に戻せる操作(Vaultを開けば現物に戻る)で、紛失枚数も正確には測れません。本記事は市場の見方の紹介であり、価格の上昇を予測・保証するものではありません。ラップ済み(ERC-1155)の総供給量91・所有者79はOpenSeaで確認した数値です(2026年6月時点・変動します)。バーン2枚・ロスト多数・動かせる現物が数十枚規模かはいずれも推定で、正確な紛失数は確定できません。
6. 日本とレアぺぺの関係
レアぺぺ/Counterpartyの文化には、初期から日本の市場が深く関わってきました。レアぺぺ経済圏の基軸通貨だった「PepeCash」は、日本で取扱いのある数少ない暗号資産(仮想通貨)の一つで、当時は日本の取引所Zaifで活発に取引され、海外より高い水準で取引される場面もあったと報じられています。Counterparty(XCP)は、もともと日本のコミュニティ活動が活発なプロトコルとしても知られています。レアぺぺのカードにも「Japan Inspired(日本に着想を得た)」という分類が存在します。(※個別の日本人制作者・保有者に関する具体的な点は、確証のある公開情報が乏しいため、本記事では踏み込んでいません。)
7. リスクと注意点
- 価格変動が大きい:同じカードでも取引価格は数千ドルから数十万ドルまで大きく開きます。値下がりによって、投じた資金を失う可能性があります。
- 流動性が低い:取引の頻度が少なく、売りたいときにすぐ希望価格で売れるとは限りません。
- 真贋・技術リスク:Emblem Vault等でラップされた資産は、Vaultの扱いを誤ると中身を失う場合があります。購入時は、対象がどのチェーン上の何という資産かを確認する必要があります。
- 規制・税制:暗号資産(仮想通貨)・NFTの税制や規制は変わる可能性があります。売却益の扱いなどは、最新の制度と各自の状況を確認してください。
本記事は、歴史的・市場的な事実を整理したものであり、購入や投資をすすめるものではありません。最終的な判断は、ご自身の責任で、最新の一次情報を確認したうえで行ってください。
8. まとめ
- 最初期のNFTの一つ:2016年9月、ビットコイン(Counterparty)上で発行されたレアぺぺの第1作。CryptoPunks(2017年)より前。
- 限られた供給量:発行300枚(現存は約299枚とされる)。さらに、2枚はバーン済みとされ初期の紛失・休眠も相当数とみられ、実際に動かせる現物は額面を大きく下回る可能性がある(推定・確定数は不明)。
- 記録に残る取引:2021年に111.1 ETH(約$352,627)・147 ETH(約$505,483)、Sotheby'sで約$240,000、2023〜2024年に$109,000〜$166,660。一方で個別Vaultが数千ドルで取引された例もあり、価格の幅は大きい。
- 位置づけ:名画や骨董品と同じく「出自と歴史」で評価される、デジタルアートの出発点として語られる一枚。
よくある質問
Q. ナカモトカードとは何ですか?
2016年9月にビットコイン上(Counterpartyプロトコル)で発行された、レアぺぺ(RAREPEPE)コレクションの第1作です。シリーズ1・カード1にあたり、最初期のNFTの一つとして知られています。
Q. なぜ高額で取引されるのですか?
NFTという言葉が定着する前の2016年に発行され、CryptoPunks(2017年)より早い「最初期の一枚」という来歴を持つためです。名画や骨董品と同じく、出自と歴史が評価される収集対象として扱われています。ただし価格は変動し、すべての個体が高額というわけではありません。
Q. 発行枚数は何枚ですか?
総発行枚数は300枚です。秘密鍵の紛失やバーン(焼却)とされる事例により、現存して動かせる枚数は約299枚とされています。
Q. どこで取引・確認できますか?
Emblem VaultでイーサリアムのNFTとして包まれた個体が、OpenSeaなどのマーケットプレイスで確認・売買されています。実物の図柄や直近の出品状況は、各正規リスティングで確認してください。
Q. 購入を検討する際の注意点は?
価格変動が大きく、流動性も低いため、希望価格ですぐ売れるとは限りません。ラップされた資産は扱いを誤ると中身を失う場合があります。対象がどのチェーン上の何という資産かを確認したうえで、税制・規制は最新の制度をご自身で確認してください。本記事は投資をすすめるものではありません。
出典(主なもの)
- OpenSea/Emblem Vault 各リスティング(2026年6月時点)
- CoinDesk、Coin Rivet、nftevening、NFT Plazas、Right Click Save、Bitcoin Insider
- rarepepes.com(取引アーカイブ)
- Outland Art、Know Your Meme
実物の図柄を確認する場合は、OpenSea または rarepepes.com の正規リスティングをご利用ください(画像の引用・転載は行っていません)。外部サイトはご自身の判断でご利用ください。
暗号資産は価格変動が極めて大きく、投資元本の全額を失う可能性があります。NFTは流動性が低く、購入後に売却できないリスクがあります。本記事は歴史的・市場的な事実の整理であり、投資をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任で、最新の一次情報をご確認のうえ行ってください。

