相続人の初動・税務・安全な生前準備

暗号資産(仮想通貨)の相続手続き|必要書類・税金・生前準備

故人の暗号資産が見つかったら、端末や記録を残し、どこで保管していたかを確かめます。国内取引所なら相続窓口へ連絡し、自己管理ウォレットなら鍵や端末を保全します。資産の移管を待つ間も、申告に必要な資料と期限の確認は進めてください。

最終更新日:

制作・編集:金融ナンバーワンサイト

最初にすることは、保管先の確認と相続窓口への連絡

  • 暗号資産は相続税の課税対象になり得る財産です。申告要否は暗号資産だけでなく、預貯金・不動産・債務等を含む遺産全体で判定します。
  • まず端末・書類を保全して保管先を判定し、国内取引所は相続窓口へ連絡、自己管理ウォレットは権利関係と移転方法を個別に確認します。
  • 相続税評価は単純な「死亡日の終値」ではありません。評価資料を確保し、相続放棄・準確定申告・相続税申告の3つの期限を別々に管理します。
死亡後の初動と資産の探し方から確認する → 秘密を露出させない生前準備から確認する →

最初に避けたい3つの操作

  • 故人のスマートフォン、PC、ハードウェアウォレット、紙の記録を廃棄・初期化する
  • 相続人間の合意や事業者手順を確認せず、故人の認証情報でログイン・売却・送付する
  • シードフレーズや秘密鍵を、検索で見つけた復旧サイト、サポート担当を名乗る相手、クラウドやメールへ入力・送信する

相続発生直後の初動6ステップ:保全から始める

暗号資産は24時間動く資産ですが、相続人が急いで取引することと、期限管理を早く始めることは別です。最初は資産を動かさず、証拠とアクセス手段を失わない状態を作ります。

  1. 死亡日時と端末・書類の現状を記録する
    スマートフォン、PC、ウォレット端末、紙、USB、郵便物を現状のまま保全し、発見日時と保管者を記録します。端末の充電可否は確認しても、初期化や再設定はしません。
  2. 相続人と連絡担当を確認する
    取引所への連絡者、書類の収集担当、税務の相談担当を決めます。相続放棄を検討している人がいる場合は、資産操作より先に弁護士等へ行動範囲を確認します。
  3. 正当な権限の範囲で資産の痕跡を集める
    預金明細、確定申告書、年間取引報告書、交換業者からの郵便、アプリ一覧、ウォレット端末、公開アドレス等を一覧化します。
  4. 保管先を3種類に分ける
    国内登録交換業者、自己管理ウォレット、海外取引所・DeFi・NFT等に分けます。同じ銘柄でも保管先によって相続手順と証拠が変わります。
  5. 公式窓口へ相続人として連絡する
    国内取引所には故人のIDで入らず、公式の相続・問い合わせ窓口から連絡します。必要書類、凍結時点、残高証明、移管・換価方法をその事業者の回答で確定します。書類を一式そろえてから連絡するのではなく、まず案内を受けてください。
  6. 数量・価格・取得価額の資料を別々に確保する
    相続税評価用の残高と価格、遺産分割で使う基準、相続後売却の所得計算に使う故人の取得履歴を混ぜずに保存します。

初動から手続き完了までの全体像

資産を引き継ぐ手続き

保全・保管先の確認 → 公式窓口へ連絡 → 個別に指定された書類を提出 → 移管・払戻し等。

初動から並行する確認

相続人・遺言の確認、数量・評価・取得履歴の収集、申告要否と3つの期限の確認を進めます。移管や遺産分割が終わるのを待ちません。

移管・払戻しの方法や完了時期は事業者と相続関係で異なります。10か月は、必要な相続税申告・納付の期限であり、全手続きの共通完了期限ではありません。

取引所へ連絡する前の確認メモ

分かる範囲を手元でまとめ、不明な欄は「未確認」と残します。口座の有無が分からないときも、bitFlyerの口座確認案内のように相続人から問い合わせる窓口があります。各社が指定する項目と提出方法を優先してください。

これは手元で使う整理用のひな形です。コピーしてから記入し、氏名などを送る場合は確認した取引所の公式窓口だけにします。パスワード・PIN・認証コード・秘密鍵・シードフレーズは書きません。

【分かっていること/不明なら未確認】
問い合わせる取引所:
故人の氏名・生年月日・住所:
死亡日:
登録メールアドレス(分かる場合):
連絡する相続人の氏名・続柄・連絡先:
遺言・遺言執行者・遺産分割協議の有無:
見つかった資料の種類と保管場所:

【公式窓口へ確認すること】
口座の有無・取引停止の時点:
必要書類・有効期限・原本返却:
死亡時の残高証明と過去の取得履歴:
代表相続人の口座要否・移管/払戻し方法:
積立・貸出・ステーキング等の残高や契約の有無:

【連絡後の記録】
連絡日・受付番号:
未解決の質問・次にそろえる資料:
次の連絡日・担当者:
申告要否と期限を確認する相手・確認日:

資料が一部しかない場合:取引所名と銀行の入出金記録だけ分かるなら、その範囲を伝えて口座確認の方法を尋ねます。自己管理の端末だけ見つかった場合は、取引所の口座照会ではなく端末とバックアップの保全へ進みます。

故人の暗号資産を探す順番:残高より先に「保管先」を特定

ひとつの資料だけで「暗号資産はない」と判断しないことが重要です。国内取引所の年間取引報告書に自己管理ウォレットの現在残高は載らず、銀行明細の入出金だけでも保有数量は分かりません。

資産発見に使う手掛かりと限界
手掛かり分かる可能性があること確認時の注意
預金・カード明細 交換業者への入金、出金、購入関連の事業者名 過去の送金は現在残高を示しません。法人名がサービス名と異なる場合があります。
税務資料 年間取引報告書、損益計算書、確定申告書から交換業者名や取得記録 申告対象外だった年、海外取引、自己管理への移出は別調査が必要です。
郵便・メール・アプリ一覧 口座開設、本人確認、取引通知、ウォレットアプリの存在 正当な権限の範囲で確認し、故人名義の口座操作へ進まないでください。
端末・紙・USB ハードウェアウォレット、バックアップ媒体、ネットワークやアドレスの手掛かり 復元操作、PINの推測、初期化、未知のPCへの接続は状態を変えたり秘密を漏らしたりするおそれがあります。
公開アドレス・取引ID 特定ネットワーク上の取引と残高の技術的な痕跡 公開アドレスだけで故人の所有権や操作権限が確定するわけではありません。

事業者名が曖昧なとき

国内の暗号資産交換業者は登録が必要です。金融庁の暗号資産交換業者登録一覧で、正式社名、登録番号、連絡先を照合します。検索広告やSNSの「相続サポート」ではなく、登録事業者の公式サイトから窓口へ進んでください。

保管先で相続手続きを分ける

「ビットコインを持っていた」という情報だけでは手順を決められません。秘密鍵を誰が管理しているか、どのサービスやネットワークにあるかで分岐します。

経路A

国内登録交換業者

交換業者が秘密鍵を管理する口座です。

  • 相続人として公式窓口へ連絡
  • 凍結時点と必要書類を確認
  • 死亡時残高・価格・取引履歴を依頼
  • 現物移管か円払戻しかを個別確認

国内取引所5社の公式公表例を見る →

経路B

自己管理ウォレット

本人が秘密鍵やシードフレーズを管理する形です。

  • 端末・バックアップ・公開アドレスを保全
  • 権利関係を確認するまで送付しない
  • 秘密情報を第三者やウェブへ渡さない
  • 所有・数量・評価を個別に立証

秘密情報が見つからない場合を見る →

経路C

海外・DeFi・NFT等

準拠法、利用規約、ネットワーク、スマートコントラクト、評価方法が重なります。

  • 公式ドメインとサービス状態を確認
  • 不明なサイトへウォレット接続しない
  • トークン・権利・負債を分ける
  • 税理士と弁護士へ早期に相談

論点別の相談先を見る →

「秘密鍵がない=価値ゼロ」「アクセスできない=満額課税」と一律に決めない

国税庁は、活発な市場がない暗号資産について、内容・性質・取引実態等を踏まえた個別評価を示しています。アクセス可否だけで課税関係や評価額を断定できる公開ルールは確認できません。資産の存在、故人の所有、残されたアクセス手段、市場性を整理し、個別に税務判断を受けてください。

ウォレットの分類は暗号資産ウォレットの基礎、秘密鍵とシードフレーズの違いは秘密鍵の仕組みで確認できます。本ページでは製品比較や通常時の設定方法を扱いません。

国内取引所の相続対応は同じではない:公式公表の比較例

必要書類、口座凍結のタイミング、暗号資産のまま移すか円で払戻すか、所要期間は事業者と相続関係で変わります。以下は全登録業者を網羅した表や優劣のランキングではなく、具体的な相続手順を公式ページで確認できた5社の公表例です。手続きが始まる入口と、公表範囲の違いを比べています。記載はページ上部の最終更新日時点です。

交換業者が公表する連絡・書類・移管方法の違い
事業者連絡・凍結書類移管・所要期間等
bitFlyer 代表相続人が相続用フォームから連絡。問い合わせ時点ではなく、同社の確認後に凍結手続きへ移行。 法定相続情報一覧図、印鑑証明書、同社書式等は一例。アカウント状況で変わる。 本人確認済みの代表相続人口座へ、日本円と暗号資産をそれぞれ移管。移管時に円転しない。
Coincheck 法定相続人が問い合わせフォームから連絡。資産確認後、相続届を代表相続人等へ送付。 遺言、遺言執行者、遺産分割協議の有無で署名者・提出書類が変わる。 暗号資産がある場合は原則Coincheck口座へ移管。日本円のみの場合等には銀行払戻しの案内もある。
bitbank 代表相続人が問い合わせフォームの相続項目から連絡。 担当部署が個別に案内し、書類は郵送。公開ページに固定一式を掲載していない。 資産の有無で対応が分かれ、各種手続きは1~2か月程度と公表。
BITPOINTサービス 相続人が問い合わせ後、同社案内に従って相続届と確認資料を提出。 戸籍・法定相続情報、印鑑証明等は一例で、状況により追加資料が必要。 新規口座開設は2026年7月31日に受付終了。相続人が口座を持たない場合を含め、現在の受取先・方法を相続窓口へ確認。
GMOコイン 相続人が問い合わせフォームから連絡し、担当部署が案内。 公開ページでは固定一式を示さず、相続関係に応じて個別案内。 現物移管、円払戻し、相続人口座の要否は公開ページだけで断定せず、担当部署の回答を確認。

BITPOINTの旧相続FAQには口座開設の案内が残っていますが、現在は新規受付を終了しています。口座がない相続人の受取方法は、旧案内だけで進めず相続窓口へ確認してください。

窓口の回答で埋めておきたい7項目

  • どの時点で口座の取引・入出金が止まるか
  • 相続関係に応じた提出書類と発行期限、原本返却の有無
  • 死亡日時点の残高証明書に、数量・日本円換算額・採用価格が載るか
  • 年間取引報告書や過去の取引履歴を誰がどの形式で受け取れるか
  • 代表相続人の新規口座開設が必要か
  • 暗号資産の現物移管、外部送付、円換価のどれに対応するか
  • 手続き見込み期間と追加書類が生じる条件

複数の金融機関で同じ戸籍資料を使う場合は、法務局の法定相続情報証明制度も確認できます。暗号資産交換業者が同制度の一覧図を受け付けるか、発行から何か月以内を求めるかは各社へ確認してください。

暗号資産の相続税評価:国税庁ルールを順番に当てはめる

暗号資産は金銭に見積もることができる経済的価値のある財産として、相続税の課税対象になり得ます。評価では、まずその暗号資産に「活発な市場」があるかを確認します。

国税庁FAQに基づく評価の入口
判定評価の考え方実務で残す資料
活発な市場がある 相続人等の納税義務者が利用する交換業者の、課税時期における取引価格で評価。 数量、価格日時、事業者名、価格画面・公表資料、残高証明書、計算表。
販売所で買値・売値がある 納税義務者が交換業者へ売却する価格を使って差し支えない。 同じ日時の売却価格と、その価格を選んだ記録。
複数の交換業者を利用 納税義務者が選んだ一つの交換業者の課税時期の価格を使って差し支えない。 銘柄ごとに選択した交換業者、価格と計算根拠。
活発な市場がない 資産の内容・性質・取引実態等を踏まえ個別評価。売買実例価額や精通者意見価格等が例示される。 取引実例、権利内容、流動性、ネットワーク、専門家意見、採用しなかった方法。
基本の計算構造 課税時期の根拠ある1単位価格 × 保有数量 = 暗号資産ごとの評価額 課税時期は相続開始時です。単に任意サイトの「死亡日の終値」や「一日平均」を当てるのではなく、上の選択条件と証拠を先に確定します。

数量の証拠

  • 死亡日時点の残高証明
  • 取引所の通貨別数量
  • ウォレットアドレスとネットワーク
  • ステーキング等の預入分

価格の証拠

  • 価格を公表した交換業者
  • 日付・時刻・買値/売値の別
  • 残高証明書の換算価格
  • 活発な市場の有無

再計算の証拠

  • 銘柄別の数量×単価
  • 価格源を選んだ理由
  • 端数・円換算の方法
  • 作成日・作成者・確認者

相続税評価、遺産分割、相続後売却を混同しない

同じ暗号資産でも目的ごとに確認する価額が異なる
目的確認する基準注意点
相続税評価 相続開始時の財産価値を、国税庁FAQの市場性と交換業者価格の条件で評価。 相続税の申告要否・税額計算に使う目的です。
遺産分割の協議 どの時点の価格を協議の基礎にするか、現物・換価等をどう分けるかを相続人間で確認。 税務上の評価額が協議上の価額へ自動的に固定されるとは限りません。価格日時と合意を記録します。
相続後の売却所得 国税庁FAQは、相続で取得した暗号資産の取得価額を、死亡時に被相続人が選択していた評価方法で算定した額としています。 相続税評価の時価へ自動で置き換わるわけではありません。故人の取得履歴と評価方法を保存します。

相続時より値下がりしても、売却益が出る例

次は、相続した1 BTCの引き継ぐ取得価額が200万円と確認できた場合の仮定です。相続時の評価額は600万円、その後の売却代金は550万円とします。他の取引や保有分、売却手数料はないものとした説明用の計算です。

税額ではなく、2種類の価額を分ける例
確認するものこの例の金額
相続税の評価に使う財産価額600万円。遺産全体の申告要否・税額計算に使います。
売却時の所得計算の基になる損益550万円 − 200万円 = 350万円。
相続時からの値下がり550万円 − 600万円 = −50万円。これをそのまま売却損として計算するわけではありません。

350万円は税額ではありません。実際には同じ銘柄の他の取得・売却や必要経費等も関係します。死亡時の残高証明だけでなく、故人の取得履歴と評価方法も残すのは、この計算の基になる情報が別だからです。根拠は国税庁FAQ「1-5 暗号資産の取得価額」です。

相続後に売る時点の税制も再確認

本ページの最終更新日時点では、個人の通常の暗号資産売却益は原則として雑所得等です。雑所得・事業所得の計算には、相続税を取得費に加える特例は使えません。税制改正の成立と適用開始は別なので、実際に売る時点の国税庁案内を確認してください。所得税の計算と制度改正は暗号資産の税金で説明しています。

3か月・4か月・10か月:別々の時計を同時に管理

相続税の10か月だけを見ていると、相続放棄の検討や準確定申告を見落とすおそれがあります。逆に、取引所の相続手続きが10か月以内に必ず終わるという意味でもありません。

4か月以内 準確定申告が必要な場合

故人に所得税の申告義務がある場合、相続人等が死亡日までの所得と税額を計算し、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税します。

10か月以内 相続税申告・納付が必要な場合

課税価格の合計が基礎控除を超える等で申告が必要なら、相続開始を知った日の翌日から10か月以内が原則です。

相続税の基礎控除 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 暗号資産だけでなく、預貯金・不動産等の財産、一定の贈与、債務・葬式費用等を含めて正味の遺産額を判定します。特例の利用に申告が必要な場合もあるため、式だけで最終判断しません。

期限表へ追加する交換業者タスク

  • 問い合わせ、口座確認、凍結、書類到着、追加照会、残高証明発行、移管・払戻しを別行にする
  • bitbankが公表する1~2か月は同社の目安であり、全社・全案件の期限ではない
  • 相続税申告までに事業者手続きが終わらない場合を想定し、税理士へ必要な代替証拠を早めに相談する

遺産分割が終わらなくても、相続税の期限は自動で延びない

国税庁は、申告期限までに遺産分割が終わっていない場合でも、相続税の申告・納付期限は延びないと案内しています。未分割の申告で適用できない特例と、後の更正の請求等を含め、期限前に税理士または税務署へ確認してください。

書類は「事業者用」「相続税評価用」「相続後売却用」に分ける

事業者手続き

  • 死亡と相続関係を示す資料
  • 遺言・遺産分割の状況
  • 代表相続人・代理人の資料
  • 事業者指定の相続届

固定一式ではなく、必ず公式回答を優先します。

相続税評価

  • 死亡日時点の通貨別数量
  • 採用した交換業者価格
  • 残高証明・価格公表資料
  • 評価計算と選択理由

相続後売却

  • 故人の年間取引報告書
  • 取得数量・取得価額・手数料
  • 採用していた平均法
  • 移管後の入出庫履歴

2018年1月1日以後の国内暗号資産交換業者を通じた取引について、年間取引報告書が手元にない場合、国税庁FAQは交換業者への(再)交付依頼を案内しています。2017年以前は報告書が交付されない場合があるため、銀行入出金や取引履歴等も確認します。後で売る予定がなくても、相続手続き中に取得履歴を確保しておくと、将来の計算を再現しやすくなります。年間取引報告書と通常の損益計算・e-Taxは暗号資産の確定申告ガイドで扱います。預貯金もある場合は、銀行口座の相続手続きと口座照会を別に進めます。

自己管理ウォレットの秘密情報が見つからない場合

自己管理ウォレットには、銀行や国内取引所のように本人確認で秘密鍵やシードフレーズを再発行する共通管理者はいません。ただし、残された端末、バックアップ、ウォレット方式、追加パスフレーズの有無で状況が変わるため、発見直後に「復旧不能」と断定するのも危険です。

状態を変えずに残す情報

  • 端末の製品名・外観・シリアル等と発見場所
  • 電源・画面・接続状態の写真。ただし秘密語やQRコードは撮影・共有しない
  • ウォレット名、ネットワーク名、公開アドレス、取引ID
  • 紙・金属・USB等のバックアップ媒体の存在と保管者
  • 誰が、いつ、どの端末を操作したかの記録

「復旧できます」と秘密情報を求める相手へ渡さない

シードフレーズや秘密鍵を他人へ渡さないことは、MetaMask・Ledgerともに公式に注意を呼びかけています。ただし、復元方法は製品や設定によって異なります。MetaMaskの正規アプリには初期設定・復元時に入力する場面があり、Ledgerの復元フレーズは正規端末上で扱います。検索で見つけた復旧フォームやSNSの相手へ入力・送信しないでください。

相続のために技術調査を頼む場合は、先に弁護士と調査範囲・証拠の残し方・委託先を確認します。故人の設定や権利関係を確かめずに復元操作を始めないことが大切です。

生前対策:資産の「存在」と「動かせる秘密」を一緒にしない

相続人が資産を発見できることと、第三者が生前に資産を動かせないことの両方が必要です。エンディングノート一冊にログイン情報、2段階認証コード、PIN、秘密鍵、シードフレーズを集約する方法は避けます。

共有できる情報

資産の存在・所在を示す一覧

  • 利用する交換業者の正式名称
  • 自己管理ウォレットの種類とネットワーク
  • 公開アドレスは必要性とプライバシーを検討して記録
  • 年間取引報告書・取得記録の保管場所
  • 万一の連絡先と一覧の最終確認日
分離して管理

資産を動かせる秘密情報

  • パスワード・2段階認証コード
  • ハードウェアウォレットのPIN
  • 秘密鍵・シードフレーズ
  • 追加パスフレーズ・復旧用の情報
  • 暗号化解除やアクセスの具体的な手順
  1. 存在を知らせる一覧を作る
    相続人が「どこへ問い合わせるか」を判断できる情報に絞り、残高や秘密情報を過剰に露出させません。
  2. 秘密情報はオフラインかつ別系統で保護する
    写真、クラウド、メール、通常の共有文書へ置かず、利用するウォレットの公式バックアップ方法を確認します。
  3. 死亡後に誰がどの権限でアクセスするかを専門家と設計する
    家族構成、遺言、事業承継、法人保有、海外居住等で適切な設計は変わります。法的な分配を決める場合は、エンディングノートの名称に頼らず、遺言の法定方式を満たすかを弁護士等へ確認します。
  4. 取得価額の履歴を同時に残す
    銘柄、数量、取得日、取得価額、手数料、採用した評価方法、入出庫履歴を保存します。アクセスできても税務記録がなければ後の売却計算が難しくなります。
  5. サービス・端末・家族状況が変わるたびに更新する
    解約済み口座を消し、新しいウォレットやネットワークを追加し、古い秘密情報が残り続けないよう更新履歴を付けます。

生前贈与を「簡単な相続対策」として自己判断しない

暗号資産の贈与は受贈者側で贈与税の課税対象になり得るほか、移転する側にも所得税関係が生じる場合があります。ウォレット間で送るだけで終わると考えず、移転前に税理士へ課税関係と取得価額の記録方法を確認してください。一般の税制は暗号資産の税金ページで扱います。

どこへ相談するか:金額ではなく論点で分ける

相談先と確認する主な範囲
相談先主に確認すること早めに相談したい例
暗号資産交換業者 口座の有無、凍結、必要書類、残高証明、履歴、移管・払戻し。 事業者名が判明した、期限前に残高資料が必要、複数口座がある。
税理士・税務署 相続税申告要否、評価、準確定申告、取得価額、相続後売却。 市場性が低い資産、DeFi/NFT、取得履歴不足、期限接近、海外要素。
弁護士 相続人の権利、遺産分割、相続放棄、故人口座・端末へのアクセス、紛争。 相続人間で意見が違う、秘密情報を一人が管理、負債不明、海外規約。
司法書士等 法定相続情報や遺言・相続手続きに関する担当可能範囲。 多数の金融機関へ戸籍資料を提出、一般の相続手続きも並行。

資格名だけで暗号資産の対応経験は分かりません。相談時に、取引所残高証明、自己管理ウォレット、複数ネットワーク、相続後の所得計算を扱った経験と、秘密情報を受け取らない安全手順を確認してください。

確認した主な公式情報

記載した制度・手順はページ上部の最終更新日時点の公式資料に基づきます。法令・税制・交換業者の手順は変更されるため、実際の手続き日と売却日の公式情報を再確認してください。

確認が止まってしまったときの進め方

取引所の書類待ちで期限が近い

取引所には発行見込みと先に出せる資料を確認します。同時に税理士・税務署へ、不足資料と期限を伝えます。移管や書類到着まで税務相談を待つ必要はありません。

期限の起算点と申告条件へ

端末はあるが復元情報が不明

初期化やPINの推測をせず、製品名・保管場所・残された資料を記録します。アクセスできるかという技術の確認と、所有権・相続税評価の確認を分けて相談します。

保全する情報と相談先へ

TRUST & TRANSPARENCY|情報の信頼性について

本ページは国税庁、金融庁、裁判所、法務局、各暗号資産交換業者の公式情報を優先し、税務上の評価、法的期限、事業者固有の手順、編集上の安全策を区別して掲載しています。広告の有無や報酬額を根拠に結論を決めていません。

本ページは日本の個人相続を中心とする一般的な情報提供であり、税務・法律・情報セキュリティの個別助言ではありません。
相続人、遺言、居住地、法人保有、海外サービス、DeFi・NFT、負債、アクセス状況により結論が変わるため、税理士・弁護士・各事業者へ確認してください。
暗号資産は法定通貨ではなく価格が大きく変動し、元本を失う可能性があります。相続手続きと売買判断を分けてください。
シードフレーズ、秘密鍵、パスワード、2段階認証コードを当サイトや第三者へ送信しないでください。

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