📋 相続手続きガイド

ネット銀行の相続手続きガイド

口座名義人が死亡した際のネット銀行特有の相続手続きの流れと注意点を解説。口座の存在確認から凍結解除、払い戻しまでをステップ形式で網羅した。

最終更新:

ヒナコ

ヒナコ

親がネット銀行を使っていたのですが、急に亡くなってしまい、通帳もカードも見当たりません。どこにいくら預けているのかも分からない状態で、何から始めればいいのでしょうか…。

トシ

トシ

心中お察しする。メガバンクであれば通帳やキャッシュカードが物理的な手がかりになるが、通帳やキャッシュカードなどの物理的な手がかりが少ないネット銀行の相続手続きは、遺族にとって最初の大きな壁になりやすい。しかし、正しい手順さえ踏めば、必ず手続きは完了する。焦る必要はない。

ヒナコ

ヒナコ

正しい手順…。まずは口座がどこにあるかを探すところからですよね?スマートフォンのアプリとかメールを見ればいいのでしょうか。

トシ

トシ

そのとおりだ。スマートフォンの銀行アプリ、メールの受信履歴、ブラウザのブックマークなどが有力な手がかりとなる。口座の存在が判明したら、次にすべきことはカスタマーセンター(相続デスク)へ速やかに連絡することだ。銀行側が死亡の事実を把握した時点で口座が凍結されるが、これは相続人全員の権利を守るための法的に正当な措置だ。凍結を恐れる必要はなく、むしろ速やかに連絡すべきだ。

STEP 1. 口座の存在確認 — ネット銀行特有の「探し方」

ネット銀行は紙の通帳が発行されないため、メガバンクのように「通帳を探す」方法が使えない。故人が利用していたネット銀行を特定するためには、デジタルな手がかりを一つずつ確認していく必要がある。

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スマートフォンのアプリ一覧を確認する

故人のスマートフォンにインストールされている銀行アプリを確認する。住信SBIネット銀行、楽天銀行、auじぶん銀行などのアプリがあれば、その銀行に口座を保有している可能性が高い。

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メールの受信履歴を検索する

故人のメールアカウントで「口座開設」「入出金通知」「残高」「銀行」などのキーワードで検索する。ネット銀行は入出金のたびにメール通知を送るため、取引履歴から口座の存在を特定できる。

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全国銀行協会の「相続人等に対する預金等の取引経過開示」を活用する

デジタルの手がかりが見つからない場合でも、全国銀行協会を通じて故人名義の口座の有無を照会できる制度がある。戸籍謄本等で相続人であることを証明した上で、各銀行へ個別に照会する方法だ。

ネット銀行口座の存在確認フロー 📱 スマホアプリを確認 銀行アプリの有無をチェック 📧 メール受信履歴を検索 入出金通知・口座開設メール 🏦 全銀協へ照会 手がかりなしでも照会可能 口座の存在を確認 → STEP 2 へ
【図解のポイント】
ネット銀行の口座探しは「スマホアプリ → メール検索 → 全銀協照会」の順で進める。紙の通帳がなくても、デジタルの痕跡をたどることで口座を特定できる。すべて見つからない場合でも、全国銀行協会を通じた照会で最終確認が可能だ。

STEP 2. 口座凍結 — 銀行への連絡と凍結の仕組み

口座名義人の死亡が銀行に伝わった時点で、その口座は「凍結」される。凍結されると、入出金・振込・引き落としがすべて停止する。これは相続人全員の権利を平等に保護するための措置であり、凍結を恐れて連絡を遅らせると、かえってトラブルの原因になる。

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カスタマーセンター(相続デスク)へ電話する

ネット銀行の公式サイトに記載されている「相続に関するお問い合わせ窓口」へ電話する。口座名義人が亡くなった旨を伝えると、相続手続きの案内書類が郵送される。

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口座の凍結を確認する

連絡と同時に口座が凍結される。公共料金やクレジットカードの引き落としも停止するため、固定費の支払い元を別口座に変更する手続きを並行して進めること。

口座凍結のタイミングと影響 口座名義人の死亡 遺族が事実を把握 相続デスクへ電話連絡 死亡の事実を銀行へ通知 口座凍結 入出金・振込・引落を停止 凍結で停止するもの ATM出金・振込送金 公共料金の自動引落 クレジットカード引落 凍結は相続人全員の権利を守るための正当な法的措置です
【図解のポイント】
口座凍結は「遺族が銀行へ連絡した時点」で実行される。凍結されるとATM出金や振込だけでなく、公共料金やクレジットカードの自動引き落としも停止する。固定費の支払い元口座の変更を忘れずに並行して進めること。

凍結を恐れて連絡を遅らせてはいけない

「凍結されるとお金が下ろせなくなる」と心配して連絡を遅らせる方がいるが、これは得策ではない。故人の口座から相続人が勝手に引き出す行為は、他の相続人との間でトラブルに発展するリスクがある。凍結後でも「預貯金の仮払い制度」を利用すれば、遺産分割協議前に一定額(法定相続分の3分の1、最大150万円)を引き出すことが可能だ。

STEP 3. 必要書類の準備 — 銀行から届く書類と自分で揃える書類

相続デスクへ連絡すると、銀行から「相続届」「相続手続きの案内書」などの書類一式が郵送される。同時に、遺族側でも戸籍謄本や遺産分割協議書などの公的書類を準備する必要がある。この段階が相続手続きで最も時間を要する部分だ。

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銀行から届く書類を受け取る

相続届(銀行所定の書式)、残高証明書の発行依頼書、相続手続きの流れを説明した案内書などが郵送される。記入方法が不明な場合は、相続デスクへ問い合わせると丁寧に教えてもらえる。

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遺族側で準備する公的書類を揃える

被相続人(故人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)が基本的に必要となる。市区町村の役所で取得できる。

相続手続きに必要な書類一覧 銀行から届く書類 1. 相続届(銀行所定書式) → 代表相続人の情報を記入 2. 残高証明書 発行依頼書 → 相続税申告に必要 3. 相続手続き案内書 → 手続きの流れと注意事項 ※ 銀行によりオンライン提出   に対応している場合もあり 遺族が準備する書類 1. 故人の戸籍謄本(出生〜死亡) → 相続人の範囲を確定 2. 相続人全員の戸籍謄本 → 相続人であることの証明 3. 相続人全員の印鑑証明書 → 遺産分割協議書の実印照合 4. 遺産分割協議書 or 遺言書 → 誰が・いくら受け取るか ※ 法定相続情報証明制度を利用すると、戸籍謄本の束を1枚にまとめられ、複数の銀行で使い回せます
【図解のポイント】
相続手続きの書類は「銀行から届く書類」と「遺族が自分で揃える書類」の2種類に分かれる。特に故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取得には時間がかかるため、早めの準備が重要だ。法務局の法定相続情報証明制度を活用すれば、戸籍の束を1枚の証明書にまとめて複数の銀行で使い回すことができ、手続きの効率が大幅に向上する。

法定相続情報証明制度を活用しよう

複数のネット銀行に口座がある場合、それぞれに戸籍謄本の原本を提出するのは大きな手間だ。法務局で「法定相続情報一覧図」を作成してもらえば、戸籍謄本の束を1枚の公的証明書にまとめることができ、何通でも無料で再発行してもらえる。複数の銀行・証券会社の相続手続きを並行して進める際に非常に有効な制度だ。

STEP 4. 書類提出 → 審査 → 代表相続人への払い戻し

必要書類がすべて揃ったら、銀行へ提出する。ネット銀行の場合、書類の提出は郵送が基本だが、一部のネット銀行ではオンラインでのアップロードに対応しているケースもある。銀行側で書類の審査が行われ、問題がなければ代表相続人の指定口座へ残高が払い戻される。

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書類一式を銀行へ郵送する

相続届(記入済み)、戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)を一式まとめて銀行指定の宛先へ郵送する。書類に不備があると差し戻しとなるため、提出前に相続デスクへ電話して内容を確認してもらうのが安全だ。

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銀行による審査(1〜3週間程度)

銀行が提出書類を審査し、相続人の正当性と遺産分割の内容を確認する。審査期間は銀行により異なるが、一般的に1〜3週間程度だ。不備がある場合は電話または郵送で連絡がある。

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代表相続人の口座へ払い戻し

審査が完了すると、故人の口座残高が代表相続人の指定口座へ振り込まれる。口座は解約され、手続き完了の通知が届く。相続税の申告が必要な場合は、残高証明書を税理士へ提出する。

書類提出から払い戻しまでの流れ 📮 書類を郵送 相続届+公的書類一式 🔍 銀行が審査 1〜3週間程度 💰 払い戻し完了 代表相続人口座へ振込 口座 解約 全体の所要期間目安:書類準備1〜2ヶ月 + 銀行審査1〜3週間 = 合計2〜3ヶ月程度
【図解のポイント】
書類提出から払い戻しまでは「郵送 → 銀行審査(1〜3週間)→ 振込」の流れで進む。書類準備の期間を含めると、全体で2〜3ヶ月程度が目安だ。書類に不備があると差し戻しとなるため、提出前に相続デスクへ電話で確認してもらうことを強く推奨する。

結論:もしもの時に備えて、口座の存在を家族に書き残す思いやりを

ネット銀行の相続手続きは、「口座の存在確認 → 銀行への連絡(凍結)→ 必要書類の準備 → 提出・審査 → 払い戻し」という4つのステップで完了する。手続き自体はメガバンクと大きく変わらないが、通帳やキャッシュカードという物理的な手がかりが少ない分、「口座の存在を遺族が発見できない」というネット銀行特有のリスクがある。

このリスクを回避するために最も有効な対策は、自分が利用しているネット銀行の名前と、緊急時の連絡先を書面に残しておくことだ。パスワードを書き残す必要はない。銀行名さえ分かれば、相続人は正規の手続きを通じて残高を受け取ることができる。

エンディングノートや封書で「どの銀行に口座があるか」を家族に伝えておくこと。それはネット銀行を利用するすべての人が、大切な家族のためにできる小さな、しかし極めて重要な思いやりだ。

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相続手続きのよくある疑問

Q. ネット銀行の口座の暗証番号やパスワードが分からない場合、お金は引き出せませんか?

故人のパスワードや暗証番号が分からなくても、所定の相続手続きを行うことで資金を受け取ることができます。相続人であることが証明できる公的な書類(戸籍謄本など)を銀行へ提出すれば、パスワードロックがかかっていても、銀行側で手続きを進めて代表者の口座へ払い戻しをしてくれます。

Q. 遺産分割協議が終わる前でも、葬儀費用として口座からお金を下ろすことはできますか?

預貯金の仮払い制度を利用すれば可能です。2019年の民法改正により、遺産分割協議の成立前であっても、相続人単独で法定相続分の3分の1(1金融機関につき最大150万円まで)を上限として、凍結された口座から直接払い戻しを受けることができるようになりました。詳しくは各ネット銀行の窓口へお問い合わせください。

Q. ネット銀行で投資信託や株(銀証連携)を持っている場合はどうなりますか?

ネット銀行の口座だけでなく、連携しているネット証券の口座でも別途相続手続きが必要になります。証券口座にある株式や投資信託は、現金化して引き出すか、相続人名義の証券口座(原則として同じ証券会社で開設する必要があります)へ移管することになります。銀行と証券の両方の窓口へ速やかに連絡してください。

当記事の参考・出典

全国銀行協会(公式サイト)

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