トラベルルールとは?仮想通貨の送金制限・送れないときの確認方法
トラベルルールは、暗号資産を送るときに、送付元の取引所が送付人・受取人の情報を受取側の取引所へ通知する仕組みです。日本では2023年6月1日に法的な通知義務が施行されました。
実際に送れるかは、送付元の宛先リスト、受取側の受入条件、銘柄・ネットワーク、登録情報の順に確認します。TRUSTやSygnaという通知システム名だけでは判断できません。
自分名義の別の取引所へ移す場合も、取引所間の送付です。「本人宛てだから確認不要」と考えず、利用中のサービスの案内に沿って進めてください。
送金前に確認する4つの条件
送金先のアドレスを持っていても、それだけでは送れると決まりません。先に次の順で確認すると、宛先の問題と銘柄の問題を切り分けられます。
- 送付元のサービスで、その宛先を選べるか
送付元の公式リストや送金先登録画面で、相手の正しいサービス名を探します。リストにない取引所を、別の会社名や「プライベートウォレット」で代わりに登録しないでください。
たとえばCoincheckは、サービス名リストにない事業者へは送金できないと案内しています。
- 受取側が、その送付元からの入庫を受け付けるか
受取側の入金・預入・受取の案内も開きます。AからBに送れるという説明を、BからAにも送れるという意味に広げないことが大切です。受取側で追加情報の登録や確認が必要な場合もあります。
- 銘柄とネットワークが双方で対応しているか
同じ銘柄でも、対応するネットワークが異なることがあります。受取画面で指定されたネットワークと、送付側で使うネットワークを照合し、宛先タグ・メモの要否も確認します。取扱銘柄一覧に載っていることと、外部から受け取れることは別です。
- 受取人・宛先区分などの登録情報が正しいか
本人か他人か、取引所か自己管理ウォレットか、氏名・住所など、画面で求められる項目を実態どおりに登録します。住所欄が受取人の住所なのか事業者の所在地なのかも、項目の説明で確認してください。
費用を確認する場合は暗号資産の送金・出金手数料の比較へ。複数口座をどう使い分けるかは2つ目の取引所口座の選び方で整理しています。
国内取引所の対応は「送付元」から公式案内を確認する
以下は、このページで確認する5サービスの案内先です。おすすめ順位や全社間の送金可否表ではありません。各社の記載は本ページの最終更新日時点で確認しており、送付時には最新のリスト・登録画面を優先します。
| 送付元 | 公式で確認すること | あわせて見る条件 |
|---|---|---|
| Coincheck | 送金・受取の対応案内。相手先・銘柄・方向ごとの条件と、登録画面のサービス名。 | 送金のみ・受取のみの銘柄もあるため、表の注記まで読む。 |
| bitFlyer | 送付先リストと銘柄別の対応表。上の表で相手先のグループA・Bを確認し、下の表で送りたい銘柄の同じグループの欄を読む。 | 相手がリストにあっても、全銘柄を送れるとは限らない。受取側でも銘柄とネットワークの対応を確認。 |
| bitbank | 直接送付可能な事業者一覧。一覧にない取引所などのVASP(暗号資産サービス提供者)は「その他」へ入力しても送付不可。以前に登録した宛先でも、現在の一覧にないVASPへは直接送付できません。 | VASPに該当しないウォレット等の宛先は別の扱い。宛先の実態を確認。 |
| GMOコイン | 送付・預入の対応案内。Coincheck・bitFlyerなどは送付できない例に掲載。 | 送付可能な区分でも個別に断られる場合がある。預入は通知内容の確認も必要。 |
| SBI VCトレード VCTRADEサービス | 出庫可能な国内業者一覧と、同ページから案内される出庫・入庫の注意事項。 | BITPOINTサービスとは案内が分かれている。同じ運営会社でも利用中のサービスを確認。 |
TRUSTとSygnaは何が違う?
どちらも送付人・受取人の情報を事業者間で通知するためのシステムです。参加事業者や接続方法が異なりますが、方式の名前だけで現在の送金可否は決まりません。接続状況に加え、各社の審査、銘柄、受取条件が関わるためです。
過去の「TRUST組」「Sygna組」という一覧ではなく、今使っているサービスの送付先リストと受取側の案内で、今回の組み合わせに対応しているかを確認します。
トラベルルールの仕組みと、日本で対象になる送金
トラベルルールは、資金の移動に送付人・受取人の情報を伴わせ、マネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐための仕組みです。FATF(金融活動作業部会)の基準が2019年6月に改訂され、暗号資産にも導入・履行が求められました。
日本では犯罪収益移転防止法に基づき、2023年6月1日から暗号資産交換業者などに通知義務が設けられています。個人の利用者がFATFへ直接申請する制度ではなく、取引所の手続きに沿って必要な情報を登録します。
送付元 → ブロックチェーン → 受取先
アドレス・ネットワークなどを確認。
送付元の取引所 → 受取側の取引所
氏名などの通知情報を確認。
暗号資産の移転が確認できても、受取側での情報確認が終わらず、口座残高に反映されないことがあります。この2つを分けて見ると、問い合わせ先を選びやすくなります。
対象範囲は、国内・海外の取引所と自己管理ウォレットで異なる
| 送付先 | 通知義務の扱い | 利用者が確認すること |
|---|---|---|
| 国内の暗号資産交換業者 | 対象となる移転には情報通知が必要。 | 自分名義の口座でも送付元・受取側の条件を確認。 |
| 海外の暗号資産交換業者 | 日本の通知義務に相当する規制がある、指定された国・地域の業者への移転が対象。 | ブランド名だけでなく利用する法人・所在地と、送付元の対応を確認。 |
| 自分で鍵を管理するウォレット | 事業者間の通知義務の直接の対象外。 | 取引所による所有者情報の収集・保存や送付審査は別にある。 |
日本の対象となる暗号資産の移転には、少額だから通知不要という扱いはありません。金融庁は、金額・種類にかかわらず対象としています。対象国外や自己管理ウォレットへの送付も、確認なしで自由に通せるという意味ではありません。
海外の対象国・地域は2026年8月3日にも追加されています。送付先の所在地は金融庁の対象法域一覧(PDF)で確認できます。ここでは日本の暗号資産送付を扱い、海外の居住者に適用される個別法令や電子決済手段の例外までは扱いません。
どんな個人情報が通知される?
金融庁の説明では、個人の送付人については氏名、住居または顧客識別番号等、ブロックチェーンアドレスまたはそれを特定できる番号が通知事項です。受取人については氏名と、アドレスまたはそれを特定できる番号が示されています。
一方、登録画面では送金目的、相手との関係、住所など、さらに詳しい情報を求められることがあります。法律上の通知事項と、各社が確認のために集める項目は同じとは限りません。
この制度は、氏名や住所をブロックチェーン上で一般公開させるものではありません。ただし、情報の送信・保管には安全管理が必要です。利用先のプライバシーポリシーや同意事項で、情報の提供先と扱いを確認してください。
自分のウォレットへ送る場合も、宛先を正しく申告する
区別するポイントは「自分の資産か」だけでなく、誰が秘密鍵を管理しているかです。取引所にある自分の口座は取引所宛て、自分で鍵を管理するウォレットは自己管理の宛先として扱います。
自己管理ウォレットは事業者間の通知義務の直接の対象外ですが、取引所には、その所有者情報を収集・保存することが求められます。送付先の登録・確認を省けるわけではありません。
ウォレットを選ぶ前に取引所管理と自己管理ウォレットの違いを確認し、自分で鍵を持つ場合は秘密鍵・シードフレーズの管理と復元も読んでおきましょう。送付先情報の確認を理由に、秘密鍵やシードフレーズを他人へ渡さないでください。
「手続き中」「送付済みなのに未反映」のとき
まず申請履歴を開き、送付元の処理が終わっているかを確認します。「残高に反映されない」という状態だけでは、トラベルルールが原因とは決められません。
| 今の状態 | 確認する内容 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 宛先を選べない・登録できない | 正しいサービス名が送付元のリストにあるか。宛先区分・登録内容に誤りがないか。 | 送付元の公式案内へ。別の宛先名で代用しない。 |
| 手続き中・確認中 | 送付元からの確認メール、申請履歴、通知の進行状況。 | 送付元の案内に従い、情報修正や問い合わせを行う。同じ申請を重ねる前に状況を確認。 |
| 送付完了・受取残高に未反映 | 取引ID(TXID)と承認状況、銘柄・ネットワーク・宛先・タグ、受取側の情報確認。 | 送付記録をそろえ、受取側の未反映時の案内へ。TXIDが不明なら送付元にも確認。 |
Coincheckは、「手続き中」の理由として、送金先への通知完了待ちや送金内容の確認を挙げています。GMOコインの預入でも、通知事項と送付内容の確認が完了するまで反映に時間がかかる、または反映できない場合があると案内されています。
取引IDの調べ方や、自己管理ウォレットでの残高表示を確認する場合は、送った資産が表示されないときの確認手順へ進みます。取引所での情報通知・追加登録の確認と、ブロックチェーンの処理・アプリの表示を分けて調べてください。
問い合わせ前に手元へそろえる情報
- 送付元と受取先のサービス名、銘柄、数量、ネットワーク
- 申請日時、画面の状態、エラーメッセージ
- 送付先アドレス、タグ・メモ、TXID(表示されている場合)
必要な情報は、各社の公式窓口へ案内に沿って伝えます。秘密鍵・シードフレーズ・ログインパスワードは送らないでください。身に覚えのない送付がある場合は、通常の未反映確認より先に不正送金が疑われるときの初動へ進みます。
送付先や状況が変わると、確認先も変わる
例1:GMOコインから、自分名義のCoincheck口座へ
GMOコインの現行案内では、Coincheckは送付できない国内業者の例に入っています。自分名義かどうかや、アドレスを知っているかにかかわらず、この直接送付は進めません。
例2:同じGMOコインから、自分で管理するウォレットへ変更
GMOコインはプライベートウォレットを送付対象に挙げています。ただし個別に断られる場合もあります。例1の結論をそのまま当てはめず、実際の宛先を登録し、銘柄・ネットワーク・必要情報の確認へ戻ります。ウォレットへ移した後の鍵の管理も自分で担います。
例3:送付可能な別の組み合わせで、送付完了後に未反映
今度は送付履歴・TXID・受取側の確認状況を調べます。送付元での完了と、受取側で利用できる残高への反映を分けて確認してください。
送付先を変えたら、確認もその組み合わせでやり直す。この手順を押さえておくと、古い対応表やシステム名だけに頼らず、今回の送金条件を確かめられます。