住宅ローンを返済中の方へ
住宅ローンの繰上返済はいつ?期間短縮型・返済額軽減型の効果と注意点
住宅ローンの繰上返済は、毎月の返済とは別に元金を前倒しで返し、将来の利息を減らす方法です。早く完済したいなら「期間短縮型」、毎月の負担を下げたいなら「返済額軽減型」が候補になります。
金利などの条件が同じなら、早く返すほど利息を減らせます。生活費や教育費、修繕費を確保したうえで、返す額・返済方式・実行日を、手元資金と住宅ローン控除を含めて考えます。変動金利が上がり返済額が据え置かれている場合などは、方式名だけでなく、試算に出る変更後の月額・完済年月まで確認することが大切です。
いくら繰上返済する?先に、残すお金を決める
まず、当面の生活費や通常のローン返済、教育費・家の修繕費など、使う予定のお金を取り分けます。繰上返済したお金は預金のように引き出せないため、収入が減ったときの備えも残して候補額を出します。
返済候補額を出すためのメモ
すぐ使える預貯金 − 緊急時に残すお金 − 近いうちに使う予定のお金 − 返済にかかる費用
緊急時の備えは、収入が減っても生活費と住宅ローンを何か月払えるかで考えます。共働きか、収入の変動が大きいか、家族の支出予定があるかで必要額は変わります。考え方は生活防衛資金の決め方と置き場所で確認できます。
たとえば預貯金400万円から、備え150万円と予定支出150万円を残すと、返済候補は100万円です。予定支出が200万円に増えれば、候補は50万円に下がります。どちらも返済手数料などを別に確保できるとした説明用の例で、100万円を一律に勧めるものではありません。
差し引いた額がゼロ以下なら、今回は手元資金を残す選択になります。毎月の返済がすでに苦しい場合も、預金を使い切る前に借入先へ返済条件を相談してください。
期間短縮型と返済額軽減型は、何を変えるかが違う
一部繰上返済では、元金を減らしたあとに「完済を早める」か「毎月の返済額を下げる」かを選びます。利用できる方式や短縮単位は契約によって異なります。
早く完済したい
期間短縮型
月々の返済額を原則維持し、返済期間を短くする方式です。金利が一定で、同じ時期・同じ繰上額なら、返済額軽減型より利息削減が大きくなります。
毎月を軽くしたい
返済額軽減型
残りの期間を原則維持し、減った元金に応じて月額を再計算する方式です。金利条件が変わらない場合は、月々の返済額を下げられます。
現金を残したい
金額を減らす・見送る
どちらの方式も、実行時にまとまった現金が減ります。生活の備えが足りなくなるなら、先に返済候補額を見直します。
たとえばauじぶん銀行は、一部繰上返済の金額などによって、期間短縮型でも返済期間が変わらない場合や、返済額軽減型でも現在より月額が増える場合を案内しています。金利上昇で増えた利息と、繰上返済時に月額を再計算する契約条件が関係します。auじぶん銀行:契約中の一部繰上返済の注意点
自分の借入先の試算で、現在の月額、変更後の月額と適用される返済回、最終回の金額・完済年月を並べて確認します。月額を下げるつもりが増える結果なら、その申込みでは目的を満たせません。期間短縮型に替える前に、返済額の再計算条件を借入先に確認し、残す現金と家計負担から候補額を見直します。
同じ100万円を返すと、どれくらい変わる?
次は、現在残高2,000万円・残り20年・年1.5%の固定金利・元利均等返済・ボーナス返済なしで、毎月の返済直後に100万円を元金に充てる試算です。
| 変わるもの | 繰上返済なし | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|---|
| 今追加で支払う元金 | 0円 | 100万円 | 100万円 |
| 毎月の返済額 | 約96,509円 | 約96,509円 原則変わらない | 約91,684円 約4,825円減 |
| 残りの返済回数 | 240回 | 227回 13か月短縮 | 240回 |
| 今後払う利息 | 約316.2万円 | 約282.3万円 | 約300.4万円 |
| 減らせる利息 | 比較基準 | 約33.9万円 | 約15.8万円 |
税金・控除・手数料・保証料の返戻などを含まない利息比較です。月ごとの計算は端数処理せず、表示は円単位または万円の小数1桁に丸めています。期間短縮型の最終回は約12,352円。実際は金融機関の端数処理、短縮単位、実行日などで変わります。
予定支出が増えて、50万円しか返せない場合
同じ条件で繰上額を50万円にすると、返済額軽減型の毎月額は約94,096円、減る額は月約2,413円です。
「月5,000円ほど軽くしたい」と考えていても、この例の50万円では届きません。月額を下げることが目的なら、期間短縮型に替えても解決しません。返す額を無理に増やさず、家計の支出や借入先への相談も含めて考え直す場面です。
利息軽減額が大きいことと、自分の目的に合うことは別です。定年前に完済することが目的なら短縮後の完済年月を、毎月の余裕が目的なら軽減後の月額を、借入先の試算で確認します。全国銀行協会の2方式の説明も参考になります。
試算の方法と対象外の条件
月利は年利÷12。元利均等の毎月額は「残高×月利÷{1−(1+月利)の−残回数乗}」で計算しました。返済額軽減型は元金を減らして同じ残回数で再計算。期間短縮型は元金を減らし、従前の月額を払い続け、最終回だけ残高と利息に調整しています。返済途中の金利変更、ボーナス返済、元金均等返済、日割利息には対応した例ではありません。金利が変わる契約では、将来の軽減額も変わります。
いつ返す?住宅ローン控除は「減る利息」と同じ期間で比べる
金利などの条件が同じであれば、早く元金を減らすほど、その元金に利息がかかる期間を短くできます。ただし、控除を受けている間は、繰上返済によって実際に減る控除額も確認します。
住宅ローンの金利と「0.7%」の大小だけでは、結論は出せません。控除率・期間・対象となる借入限度額は入居年や住宅の区分等によって異なり、計算上の控除額を全額使えるかも税額に左右されます。自分の控除証明書・申告内容と、国税庁の住宅ローン控除の案内を照らし合わせてください。
まず確認するのは、期間短縮後の「10年」
「今から残り10年以上あるか」だけで判定するものではありません。この期間が10年未満になると、該当しなくなった年以後は住宅ローン控除を受けられなくなります。10年以上でも、ほかの控除要件を満たす必要があります。
返済予定表の「最初の返済月」と、繰上返済の試算に出る「変更後の最終返済月」を確認しましょう。根拠は国税庁「繰上返済等をした場合の償還期間」です。借換えなどで条件が複雑な場合は、金融機関と税務署・税理士に確認してください。
同じ100万円でも、減る控除額は同じとは限らない
仮に、自分に適用される控除対象の残高上限が3,000万円で、取得対価などによる別の制限はないとします。年末残高が3,200万円から3,100万円に減っても、ほかの条件が同じなら、上限を超えたままなので控除計算に使う残高は変わりません。一方、2,800万円から2,700万円に減れば、控除計算に使う残高も減ります。
後者で控除率が0.7%なら、その年の計算上の差は7,000円です。ただし、もともと税額などの制約で控除を使い切れていない場合、実際の差は7,000円より小さいことがあります。この3,000万円は説明用の仮定で、すべての住宅に共通する上限ではありません。
年末に返すか、年明けまで待つか
比較するのは「待つ間に増える利息」と「待つことで多く受けられる実際の控除」です。ローン全期間の利息削減額と、1年分だけの控除をそのまま比べないようにします。
1か月待つ場合の、比較の入り口
100万円・年1.5%なら、1か月分の単純な利息差は100万円×1.5%÷12=約1,250円です。待つことでその年の実際の控除が7,000円多くなるなら、両者だけの差は5,750円。控除の差が0円なら、待つことでこの利息負担が増えます。
これは同じ金額を年末または1か月後に返す想定で、毎月返済や日割、預金利息、手数料などを省いた比較の例です。実行日や返済方式で翌年以後の残高も変わるため、最終判断は両方の返済予定表で確かめます。
年内に申し込んでも、実行日が翌年なら年末残高への反映が変わります。残高証明書の発行後に繰上返済する場合は、証明書の扱いや年末残高情報の訂正要否も借入先に確認してください。
団信・金利上昇・運用も、手元資金と合わせて考える
団信は、所定の事由に当てはまったときに住宅ローンの残債務の返済へ充てられる保障です。繰上返済で残高を減らすと対象となる債務も減り、完済すればローンに付く保障も終了します。
繰上返済では債務と利息負担が減る一方、手元の現金も減ります。団信の対象となる残債務と、家族の生活費として残る現金を合わせて確認します。がん保障などの条件や費用は契約ごとに違うため、詳細は団信の保障内容・加入条件・選び方へまとめています。
変動金利が心配なら、今の金利だけでなく上がった場合の返済予定も借入先に確認します。月々の支払いを下げたいのか、残高を減らしたいのかを分けると、方式を選びやすくなります。変動金利・固定金利の違いは別ページで確認できます。
余裕資金を運用に回すか迷う場合、期待する運用利回りとローン金利を単純に引き算するだけでは不十分です。運用には損失や税・費用があり、必要な時期に資金を取り出せるかも違います。生活の備えまで運用や返済に回さず、使う時期を先に分けて考えます。
繰上返済のやり方:申込前と実行後の確認手順
まず返済予定表を用意し、借入先のインターネットバンキングや窓口で試算します。申込み、資金の準備、実行結果の確認を分けて進めます。預金口座への入金に加えて、契約で定められた繰上返済の申込手続きが必要です。
返済額と、下げたいものを決める
残すお金を差し引いた候補額を出し、総利息・完済時期・月額のどれを優先するか決めます。予定表から現在残高、適用金利、月々の返済額、残期間、ボーナス分を確認します。
同じ金額で2方式を試算する
月額、最終回の金額、完済年月、今後の利息を比べます。入力する金額が「返す元金」か「利息込みの金額」かも確認します。たとえばauじぶん銀行の手続画面では元金と利息の合計を入力します。この記事の「元金100万円」の例と比べる際は、入力額のうち元金に充てられる額を照合します。控除中なら短縮後の期間要件と、実行時期ごとの年末残高も確認します。住宅金融支援機構には繰上返済の案内と返済方法変更シミュレーションへの入口があります。
最低額・費用・各期限を確認して申し込む
一部か全額か、ネットか窓口かで条件が変わることがあります。申込締切と取消期限に加えて、資金を入れる期限、引落日、繰上返済の実行日を確認します。借入先の通知で、繰上返済に充てる元金、経過利息、手数料、通常返済分がどう合算されるかを見て、指定口座へ準備します。保証料の返戻を当日の準備額から差し引けるかは、入金時期も含めて借入先への確認が必要です。
実行結果と新しい返済予定表を確認する
申込受付の表示に続き、実行済みか、元金がいくら減ったかを確認します。新しい返済予定表で、月額が変わる返済回と金額、最終回の金額・完済年月を照合します。給与振込や自動入金から返済資金を移している場合は、変更後の額を期限までに用意できる設定かも確認します。想定どおりになっていない場合は、追加申込みの前に借入先へ確認してください。
元金100万円を返す日に、口座へ用意する額
繰上返済元金100万円と通常の返済96,509円が、同じ日に同じ口座から引き落とされ、経過利息・手数料は0円とする説明例です。この場合、用意する合計は1,000,000円+96,509円=1,096,509円です。通知に通常返済を含む合計額が出ているなら、96,509円をもう一度足さないよう内訳を照合します。
この合計は、口座へ準備する額です。家計から返済候補額を出すときに通常返済を予定支出へ含めていれば、候補額から重ねて差し引く必要はありません。同じ口座のカード代など、ほかの引落しと、返済後の生活費も残っているか確認します。資金が入金期限に間に合わないときは、申込額・実行日の変更や取消しができる期限を借入先へ確認します。
個人住宅融資の一部繰上返済は、最低額が窓口100万円、住・My Noteは10万円で、いずれも手数料は無料です。繰上返済日は月々の返済日ですが、住・My Noteの案内では、収納代行会社を利用する保険会社・モーゲージバンク等は、それより前に来る毎月の引落日に資金が引かれます。
実行日までに用意するつもりでも、引落日には不足することがあります。申込・取消期限や利用できない契約も含め、機構の対象契約・手続条件と借入先の通知で、準備する日を確かめます。他の銀行の住宅ローンは、それぞれの契約で確認します。
全額繰上返済で完済する場合
全額返済では、元金残高だけを振り込まず、完済希望日の利息・手数料を含む正式な必要額を借入先へ照会します。団信の終了、保証料などの返戻の有無と時期、抵当権抹消に必要な書類の受取方法も確認します。
売却や借換えの決済日が決まっている場合は、書類が届く時期も先に相談してください。住宅金融支援機構の住・My Noteによる完済では、抹消関係書類の到着に完済後1か月程度かかるため、書類を急ぐ売却・借換えには利用できないと案内されています。
申込み前に確認することを、4つに絞る
- 生活費と予定支出を残したうえで、いくら返せるか。
- その金額で、月額・完済年月・利息がどう変わるか。
- 控除の期間要件と実際の控除額に、どんな影響があるか。
- 申込・入金の期限はいつか、いくら用意し、実行後に何を確認するか。
返済額軽減型で必要な月額まで下がらない場合や、毎月の返済が苦しい場合は、現在の借入先に返済条件を相談します。借換えなどの候補を比べたい場合は、住宅ローンの比較ポイントと確認票で、金利・費用・団信などの条件を並べられます。
公式資料とこの記事の作り方
- 全国銀行協会:住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?
- 住宅金融支援機構:繰上返済(個人住宅融資の場合)
- 国税庁:繰上返済等をした場合の償還期間
- 国税庁:住宅の新築等と住宅ローン控除/中古住宅の取得と住宅ローン控除
編集・試算・確認の範囲
上部の最終更新日時点で公式資料を照合し、AIを調査・構成・原稿作成と別視点の確認に利用しています。数値例は契約実績ではなく、記載した条件で当サイトが計算・検算したものです。制度は一般的な説明であり、個別の適用額・手続きは借入先や税務署等で確認してください。制作方法は編集方針に掲載しています。