住宅ローンと家族の備え
団信とは?住宅ローンの保障・保険料・加入条件と選び方
団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンの返済中に死亡するなど、契約で決められた状態になったとき、保険金をローンの返済に充てる保険です。がんなどの疾病に備える保障を付けた商品もあります。
選ぶときは、保障名より「何が起きたら」「残高の何%が」「誰のローンで」保障されるかを確認しましょう。同じ病名が書かれていても、支払われる条件や家族に残る返済は違います。
団信の仕組みと種類:まず、支払われる条件を比べる
一般的な団信では、金融機関が保険の契約者・保険金の受取人、ローンを借りる人が保障の対象者(被保険者)になります。残高の弁済に使う保険金が、そのまま家族の生活費として渡される仕組みではありません。一時金などの付帯給付がある商品は、ローン返済の保障と分けて確認します。
基本の仕組み・保険料・ワイド団信:生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」
| 種類・呼び名 | 主な保障 | 見落としたくない違い |
|---|---|---|
| 一般団信 | 死亡・所定の高度障害など | 障害の定義は商品ごとに異なる。身体障害を基準とする制度もある |
| がん団信 | 一般団信に加え、所定のがんの診断確定など | 残高の50%か全額か。保障開始後の待機期間、対象外のがんを確認 |
| 3大疾病保障 | がん・急性心筋梗塞・脳卒中など、商品で定める疾病 | 診断だけで足りるか、所定の状態の継続や手術が必要か |
| 8大疾病・全疾病保障など | 所定の疾病や、病気・けがによる入院・就業不能など | 対象外の疾病・状態、継続期間。月々の返済保障と残高弁済の条件を分ける |
「全疾病」は、どんな病気でも診断されたら残高がゼロになる、という意味ではありません。対象に含まれる病気でも、必要な入院・就業不能の期間などを満たさなければ支払われないことがあります。疾病の数だけで保障の手厚さを並べるのは避けたいところです。
ワイド団信は、健康状態の引受基準を緩和した団信です。病気の保障を幅広く追加する「全疾病保障」とは役割が違います。加入の判断と保障内容は、それぞれ確認します。
「がん」と「心筋梗塞」でも、必要な状態は同じではない
具体例として、フラット35の新3大疾病付機構団信では、がんは所定の診断確定が支払条件です。ただし、上皮内がん、悪性黒色腫以外の皮膚がん、保障開始日からその日を含め90日以内の診断確定などは対象外です。
同制度の急性心筋梗塞・脳卒中では、所定の労働制限・神経学的後遺症が60日以上続く場合のほか、治療のために所定の手術を受ける場合にも支払条件があります。「3大疾病なら診断だけ」「必ず60日待つ」と、どちらにも一律には言えません。
これは同制度の条件の一部です。他の商品や旧制度の条件は各契約で確認してください。出典:住宅金融支援機構「団体信用生命保険の契約概要(詳細版)」
保障が始まる日と、終わる年齢も確認する
申込日からすべての保障が始まるとは限りません。保障開始日、疾病保障の待機期間、保障ごとの終了年齢を確認しましょう。返済が続いていても、一部の保障が先に終わることがあります。
例えば、新3大疾病付機構団信は、満75歳の誕生日がある月の翌月1日から新機構団信へ変わり、3大疾病・介護保障がなくなります。また、新機構団信は「高度障害」という一括りの条件ではなく、所定の身体障害を基準にしています。
制度ごとの保障・終了条件:新3大疾病付機構団信/新機構団信
がん50%保障と全額保障では、返済がいくら残る?
残高2,400万円で、契約に定めるがん保障の支払条件を満たし、支払いが認められた場合を比べます。ここでいう50%はがん保障の割合であり、死亡保障まで半分という意味ではありません。
| がん保障の内容 | 保険による返済 | 保障後も残るローン |
|---|---|---|
| 残高の50%を保障 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 残高全額を保障 | 2,400万円 | 0円 |
50%保障でも負担は減りますが、残ったローンの返済は続きます。治療で収入が減ったとき、その返済と生活費を賄えるかが選ぶ目安になります。実際に引き落とされる月額や返済予定の変更方法は、金融機関に確認してください。
支払条件を満たさない場合は、この表の弁済は起きません。診断を受けても待機期間内だった、契約で対象外となるがんだった、といった場合です。がんの名称だけで判断せず、手元の「被保険者のしおり」の支払事由と支払われない場合を照合します。
また、毎月の返済額を一定期間保障する特約と、残高をまとめて弁済する保障は別です。片方の条件を満たしても、もう片方まで支払われるとは限りません。
割合・月々の保障・残高保障を分けて確認できる商品例:auじぶん銀行「団体信用生命保険」。上の表は特定プランの見積もりではなく、保障割合を比べるための計算例です。
ペアローンは、どちらの残高がなくなるかを確かめる
ペアローンは2人がそれぞれローンを組みます。各自のローンを各自の団信で保障している場合、1人に万一のことがあっても、もう1人のローンは残ります。フラット35のペアローンも、この点を注意事項として案内しています。
Aさんの残高2,400万円・Bさんの残高1,600万円
Aさんが死亡し、免責などに該当せず、死亡保険金の支払いが認められたと仮定します。AさんとBさんが加入している保障の組み方によって、次の違いが生じます。
| 保障の組み方 | Aさんのローン | Bさんのローン |
|---|---|---|
| 各自の一般団信で、自分のローンを全額保障 | 0円 | 1,600万円が残る |
| 一方の死亡で、両方のローン全額を保障するペア連生型 | 0円 | 0円 |
「ペア団信」「連生団信」という名前だけで両方が常に全額保障されるとは決めず、死亡・疾病それぞれについて対象の債務と割合を確認します。りそな銀行のペアローン団信は、所定の場合に2人の残高を保障する商品の一例です。
なお、連帯債務で1本のローンを借り、2人を保障する仕組みは、2本のペアローンとは別です。フラット35の「デュエット(ペア連生団信)」を検討する場合も、まず借入契約が何本かを確認してください。
個別の残高が残る例:フラット35「ペアローン」/両方を保障する商品例:りそな銀行「ペアローン団信」/1本の連帯債務の保障:新機構団信・デュエット
残高の確認を、毎月の暮らしにつなげる
前の例で、Aさんの死亡後も続くBさんの手取り収入等を月20万円とし、生活費18万円、住宅の維持費2万円、Bさんのローン返済6万円で考えます。
| 毎月の家計 | Bさんのローンが残る | 両方のローンが弁済される |
|---|---|---|
| 継続する手取り収入等 | 20万円 | 20万円 |
| 生活費+住宅維持費 | 20万円 | 20万円 |
| 残るローンの返済 | 6万円 | 0円 |
| 差し引き | 月6万円不足 | 0円 |
家計の仕組みを示す仮の例です。住宅維持費は固定資産税・管理費・修繕費などの月割り想定。返済月額6万円も仮定で、残高1,600万円から算出した値ではありません。臨時支出・付帯給付・債務弁済に伴う税負担などは反映していません。
ローンが両方なくなっても、この例では貯蓄や急な出費に回す余力がありません。自分の家計では、万一の後にも続く収入、公的給付の見込み、預貯金、既存の保険を確認し、残る支出と照らし合わせます。
団信に入ったことだけを理由に、今の生命保険をすぐ解約するのは避けましょう。教育費や生活費、療養中の支出は、住宅ローンの残高とは別です。保険の見直しは、団信の加入・保障開始が確認できてから、必要な備えを整理して進めます。手元に残す資金は生活防衛資金の必要額と置き場所も参考にしてください。
団信の保険料はどう払う?年0.2ポイント上乗せの費用例
団信の費用が住宅ローン金利に含まれる商品もあれば、保障を追加すると金利が上乗せされる商品、保険料を別に支払う仕組みもあります。「一般団信」「がん団信」という種類だけで、全銀行共通の保険料は決まりません。
例えば、団信の追加保障により適用金利が年1.0%から年1.2%になる場合を考えます。借入3,000万円・35年・元利均等返済で、両方とも全期間同じ金利とすると、負担の差は次のとおりです。
| 仮の適用金利 | 毎月返済額 | 35年間の元利返済総額 |
|---|---|---|
| 年1.0% | 約84,700円 | 約3,557万円 |
| 年1.2% | 約87,500円 | 約3,675万円 |
| 上乗せによる差 | 約2,800円/月 | 約119万円 |
当サイトの仮定による概算。毎月100円・総額1万円単位に四捨五入し、差は丸める前の値から算出しています。金利は商品相場ではありません。ボーナス返済・繰上返済・諸費用・税・保障の支払いは含みません。
約119万円はこの条件での元利返済総額の増加分です。必ず支払う保険料の総額や、保険金を受け取る場合の損得を示す値ではありません。変動金利、途中の完済、借り換えなどで差は変わります。
試算の計算方法を見る
毎月返済額=借入額×月利÷{1−(1+月利)−返済回数}。月利は年利÷12、返済回数は420回です。総額は丸める前の月額×420回。年0%なら借入額÷返済回数で計算します。金融機関固有の日割り・端数処理は再現していません。
比較するときは、正式に提示された団信の条件と、上乗せ後の金利を住宅ローンの比較票へ記録します。銀行候補はネット銀行住宅ローンの比較、返済額の変動への備えは変動金利・固定金利の違いと選び方で確認できます。
団信の加入条件と、入れないときに確認すること
民間の住宅ローンでは、団信への加入を融資の条件とする商品が多くあります。加入には、商品ごとの年齢条件と、健康状態などに関する保険会社の引受判断があります。住宅ローンの融資審査と、団信の加入審査は分けて考えます。持病があるという事実だけで、加入できる・できないとは決められません。
告知は、質問された内容を正確に
告知書に書かれた対象期間・病気・診療や投薬などの質問に沿って、事実を記入します。通院日や検査内容が曖昧なら記録を確かめ、追加資料や訂正方法は案内窓口に確認してください。
事実を告げなかったり、異なる内容を告げたりすると、契約の解除や保険金が支払われない原因になります。加入を通すために治療歴を省くことはできません。
申込みの窓口と書類:フラット35「ご加入の手続・ご注意点」。告知義務違反などの扱いは、契約概要の「債務弁済されない場合」も確認してください。
団信に加入しない場合の利用:フラット35・新機構団信の案内/保証型の利用条件
返済中に団信を追加・変更できる?
契約の途中で保障を追加・変更できるかは、金融機関と商品によります。申込時に選ぶものも、所定の中途加入を扱うものもあるため、現在の契約を伝えて確認します。
借り換えでは新しいローンの団信へ申し込み、改めて健康状態などの告知が必要になります。今の団信に入れていることだけで、新しい保障がそのまま認められるとは限りません。契約内の金利変更と借り換えの違いを踏まえ、保障と費用の両方を確認しましょう。
告知・借換え・ワイド団信:生命保険文化センター「生命保険相談マニュアル」48頁(PDF)
万一のときは、まず借入先へ団信の請求を連絡する
診断を受けたら自動的にローンが消えるわけではありません。家族が手続きする場合もあるので、借入先、団信の商品名、書類の保管場所を共有しておくと役立ちます。
- 借入先の金融機関へ連絡する。ローン契約者・被保険者の氏名、契約番号、起きたことと日付を伝え、団信の請求窓口を確認します。
- 必要書類と提出先を確認する。請求書や指定の診断書など、事由に応じた書類を案内に沿ってそろえます。銀行から保険会社の窓口を案内される場合も、その手順に従います。
- 支払結果と返済の扱いを確認する。審査・支払い・弁済後の残高や引落しについて案内を受けます。結果が分からない間は、自己判断で返済を止めず、金融機関に相談してください。
手続きの具体例:住宅金融支援機構「債務弁済(保険金請求)手続きのご案内」2026年4月版・2頁(PDF)。同制度は債務弁済が決まるまで返済を続けるよう案内しています。
支払いの対象外と案内されたときは、どの条件に該当しなかったのか、資料の不足なのかを確認します。生活費や返済に困りそうな場合も、請求の結論を待つだけにせず、借入先へ返済の相談を進めましょう。
契約前は、候補の団信をこの4点で照合する
- 1.何が起きたら支払われるか
- 被保険者のしおりで、診断・入院・就業不能・手術などの支払事由と、対象外の条件を確認する。
- 2.何が、どこまで減るか
- 対象は残高か月々の返済か。割合は50%か全額か。ペアローンなら本人分と相手分を分けて記録する。
- 3.いつから、いつまで保障されるか
- 加入条件・保障開始日・待機期間・終了年齢を確認する。返済期間だけを見て判断しない。
- 4.費用を払った後、保障された後も暮らせるか
- 上乗せ後の返済額と、保障後にも残るローン・生活費・住宅維持費を、収入や貯蓄と照合する。
候補を比べるときは、分からない条件を空欄のまま「手厚そう」と判断せず、しおりの該当箇所を示して金融機関に確認します。整理できた条件を金利・団信・諸費用の比較票へ持ち帰れば、住宅ローン全体で選びやすくなります。
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