個人向け|緊急時・予防

インターネットバンキングの不正送金対策|被害時の初動と補償条件

偽サイトへ認証情報を入力した、不審な承認操作をした、身に覚えのない送金がある場合は、送金表示や被害額の確定を待たず、取引銀行へ連絡します。現在の状態から初動を選び、公式窓口へ進めるように整理しました。補償・救済は、取引の経緯と銀行の規定に沿って確認します。

最終更新日: 編集:金融ナンバーワンサイト編集部

認証情報を入力した・身に覚えのない送金がある場合

取引銀行の公式窓口へ直ちに連絡し、不審取引の調査と、インターネットバンキング・認証手段等の利用停止を相談します。実際に止める範囲は銀行が状況に応じて判断します。

メールやSMSに書かれた番号は使わず、銀行の公式連絡先の探し方・入口へ進みます。遠隔操作中なら端末の通信を切断してから別の電話等で連絡します。だまされて自分で振り込んだ場合は、警察と振込先金融機関への連絡も必要です。

今の状態から選ぶ|不正送金の対応早見表

行った操作に近いものを選びます。複数に当てはまる場合や、何を入力・承認したか分からない場合も、その経緯を銀行へ伝えてください。以下の分岐は連絡先を選ぶためのもので、補償の可否を判定するものではありません。

状態 1

SMS・メールを受け取っただけ

リンク、添付ファイル、記載番号を使いません。気になる通知は公式アプリや登録済みブックマークから確認します。送信元表示だけでは本物と判断できません。

状態 2

開いただけで、入力・承認・アプリ導入はしていない

ページを閉じ、同じ画面からログインしません。公式経路で明細・通知を確認し、OS等を更新します。入力・承認をしたなら状態3、アプリを入れた・遠隔操作を許可したなら状態5へ進みます。

状態 3|緊急

ID・パスワード・OTPを入力、または承認操作をした

送金表示がなくても銀行の公式窓口へ連絡します。新しいコードの入力や相手の指示による承認は中止し、銀行の案内に沿って利用停止と認証情報変更を進めます。

状態 4|緊急

身に覚えのない送金・ログイン・限度額変更がある

銀行へ不審取引を申告し、利用停止と調査を相談します。連絡と証拠保存の手順へ進み、警察にも通報・相談します。身に覚えのない設定変更だけでも銀行へ伝えます。

状態 5|緊急

不審なアプリを入れた・遠隔操作を許可した

被害端末で銀行へのログインを続けず、通信の切断と別の電話等からの連絡へ進みます。「入力はしていない」場合も、画面や操作を見られた可能性を伝えます。

状態 6|緊急

だまされて自分で振り込んだ

警察と振込先金融機関へすぐ連絡します。送金元の銀行にも相談し、追加の送金は止めます。口座乗っ取りと操作が混在する場合は、順序をそのまま説明します。

取引銀行の公式連絡先へ進む

自分の口座の情報流出・不審送金は、取引銀行の「不正利用・金融犯罪・緊急利用停止」の窓口を選びます。通常の問い合わせやカード紛失と窓口が分かれていることがあります。下記は公式の被害連絡ページの例で、安全性の順位や銀行の網羅一覧ではありません。

掲載のない銀行は、公式アプリ、登録済みブックマーク、キャッシュカード等で案内された公式経路から、被害時の連絡先を確認します。電話番号・受付時間・時間外の停止方法は各行の最新案内に従ってください。偽メッセージの番号へかけ直したり、検索広告からログインしたりしません。

遠隔操作・不審なアプリの導入があるとき

遠隔操作を止めるには、被害端末のネットワークを切断します。PCはLANケーブルを外す・Wi-Fiを切るなど、スマホはモバイル通信とWi-Fiを切る方法があります。切断した端末で銀行へ再ログインせず、別の電話等で公式窓口へ連絡し、アプリ名、入力・承認した情報、見られた画面、送金の有無を伝えます。

再接続前に、遠隔操作アプリの終了・削除や端末の点検方法を、正規のサポートへ相談します。証拠の保存方法を銀行・警察等へ確認し、端末メーカーなどの正規サポートの案内に従って、復元・初期化等の復旧を進めます。認証情報の変更は、不審な操作を受けていない端末等から銀行の案内に沿って進めます。

根拠:IPA「遠隔操作中に遮断したい場合の対応」、IPA「サポート詐欺の被害に遭ってしまったら」

本人が詐欺口座へ振り込んだとき

警察と振込先金融機関へすぐ連絡し、送金元銀行にも対応を相談します。振込先は、全銀協「振り込め詐欺等で資金を振り込んだ先の銀行」の一覧で確認できます。この一覧は、取引銀行のネットバンキング利用停止窓口の一覧とは用途が異なります。

連絡しただけで返金や分配手続が完了するわけではありません。振込先銀行へ対象口座・申請方法・必要資料を確認し、預金保険機構の公告と申請期間を案内に沿って確認します。残高や他の被害者の状況によって分配額は変わります。補償・救済の区別も参照してください。

被害・情報入力に気づいた直後の5ステップ

被害の確認に時間をかけすぎず、銀行への連絡と証拠保全を並行します。銀行・警察へ伝えた内容と時刻も記録しておくと、その後の説明をそろえやすくなります。

  1. 取引銀行の公式窓口へ連絡する
    不審な送金、情報入力、スマホ・カード紛失のどれかを伝え、インターネットバンキングや認証手段の利用停止、不審取引の調査を相談します。
  2. 銀行の案内に沿って認証情報を守り直す
    不審な操作を受けていない端末等から正規画面を開いて変更します。使い回したパスワードも各サービスで変更します。相手の指示による追加のOTP入力やプッシュ承認は行いません。
  3. 証拠を消さずに保存する
    メール・SMS、URL、送信元、通話履歴、ログイン履歴、取引明細、振込先、金額、通知時刻、銀行とのやり取りを保存します。スクリーンショットだけでなく時系列のメモも残します。
  4. 警察へ通報・相談する
    最寄りの警察署等へ連絡します。サイバー事案は全国統一オンライン窓口からも通報・相談できますが、被害届を出す場合は最寄りの警察署等へ連絡します。事件・事故で緊急の対応が必要な場合は110、緊急でない警察相談は#9110です。
  5. 補償申出と周辺アカウントを確認する
    銀行の補償手続、必要書類、調査中の扱いを確認します。メールや携帯電話アカウントも不正利用された疑いがあれば、そのサービス提供者にも連絡します。

銀行へ伝えると整理しやすい情報

  • 気づいた日時、最後に正常利用した日時、銀行へ連絡した日時
  • 不審な送金の金額、振込先、取引番号、ログイン・設定変更通知
  • 入力した情報の種類(ID、パスワード、暗証番号、OTP、秘密の質問等)
  • 不審なアプリの導入、画面共有・遠隔操作、スマホ・カード紛失の有無
  • 自分で振込操作をしたか、OTPやアプリの承認だけをしたか、相手からどのような指示を受けたか。分からない部分は不明のまま伝える

連絡後に残すメモ:受付日時、担当窓口、止めたサービスの範囲、次に提出する資料、補償申出の方法を記録します。利用停止、警察への相談、銀行への補償申出はそれぞれ別の手続です。停止済みの範囲と、まだ必要な対応を銀行へ確認してください。

同じ「お金が出た」でも補償・救済の入口は3つ

口座乗っ取り、自分で振り込んだ詐欺、盗難キャッシュカードでは、制度の入口が異なります。ただし、偽画面での承認や遠隔操作が重なることもあるため、「自分がボタンを押したか」だけで対象外・補償対象と決めず、操作の順序を銀行へ伝えます。

被害の経緯ごとに確認する補償・救済の入口
被害類型 最優先の連絡 制度の入口 誤解しやすい点
第三者が本人の意思なくネット送金 取引銀行の公式窓口、警察 全銀協の申合せと各銀行の補償規定。個人・無過失なら原則補償、過失・重過失は個別対応 預貯金者保護法の直接対象ではなく、自動・一律全額でもない
だまされて本人が詐欺口座へ振込 警察、振込先金融機関。送金元銀行にも対応を相談 振り込め詐欺救済法による被害回復分配金等 分配上限は凍結時の振込先口座残高。複数の被害者がいる場合は被害額に応じて按分され、全額返金を保証する制度ではない
盗難キャッシュカードでATM出金 取引銀行、警察 預貯金者保護法。盗難に気づいた後の速やかな通知、十分な説明、警察への届出等を確認 原則として銀行への通知日の30日前の日以降の対象払戻しを確認。例外や過失の扱いは盗難カードの補償条件と30日の範囲へ

ペイオフは別制度:金融機関破綻時の預金保険制度であり、不正送金の補償制度ではありません。破綻時の保護範囲はペイオフの解説で確認できます。

個人のネットバンキング不正送金|「原則補償」の条件

全国銀行協会は、銀行に過失がない場合でも、個人の預金者に過失がなければ原則補償し、過失・重過失がある場合は個別対応とする申合せを公表しています。これは預貯金者保護法による一律の全額補償ではありません。

  • 銀行へ速やかに通知し、被害状況を十分に説明する
  • 警察へ被害事実等を説明し、銀行・捜査当局の調査に協力する
  • 銀行の現在の補償規定、対象期間、必要書類、申出方法を確認する

30日あるから待てる、という意味ではありません。全銀協の参考資料には、個人のインターネットバンキング不正払戻しについて、被害発生日の30日後まで通知されなかった場合を補償しない考え方があります。盗難キャッシュカードの法律上の「30日」は、原則として銀行への通知日から遡る対象期間で、通知できない特別な事情などの例外があります。ネット送金にそのまま当てはめず、気づいた時点で連絡して利用銀行の規定を確認します。

全銀協が公表する一部会員銀行へのアンケート結果では、銀行が複数回にわたり個別的・具体的に注意喚起していたにもかかわらず、その手口にだまされてID・パスワード等を入力した場合、正当な理由なくID・パスワード等を他人に教えた場合、不審な残高変動や端末感染による不正払戻しの可能性を認識しながら銀行への通報を怠り、その間に犯行が行われた場合などが、減額または不補償として扱われています。これは一部会員銀行の実務例であり、各行が個別事情を踏まえて判断します。

法律・過失区分の詳しい整理は預金者保護法と補償条件の解説に委譲します。実際の申出では利用銀行の最新規定が基準です。

不正送金を防ぐ・早く気づく・被害を抑える設定

一つの機能へ依存せず、接続経路、認証、通知、限度額、端末を分けて整えます。利用できる機能や名称は銀行ごとに異なるため、利用銀行の公式案内で設定状況を確認します。

公式アプリ・ブックマークから接続

SMS、メール、検索広告のリンクからログインせず、事前登録した公式URLか公式アプリを使います。送信元名や画面の見た目だけでは判定しません。

銀行推奨の多要素認証

生体認証、OTP、取引内容を確認する認証等、銀行が推奨する方式を利用します。OTPや承認通知を他人に伝えたり、相手の指示で操作したりしません。

ログイン・送金・設定変更の通知

通知機能を有効にし、残高と入出金明細も確認します。通知は被害を完全に止める機能ではなく、異常へ早く気づくための手段です。

振込限度額を利用範囲へ調整

銀行が変更機能を提供している場合は、普段の送金に必要な範囲へ設定します。限度額変更の通知も確認し、必要なときだけ引き上げます。

銀行ごとに異なるパスワード

銀行ごとに異なるパスワードを設定し、メール、通販、SNS等と使い回しません。保存・管理方法は利用銀行の規定に従い、ID・パスワード等を他人に教えません。

OS・アプリ・ブラウザを更新

スマホやPC、銀行アプリ、ブラウザ、セキュリティソフトを更新します。アプリは公式ストアや銀行公式サイトで案内された経路から導入します。

OTPは重要だが、単独では完結しない

OTPは固定パスワードだけより不正利用リスクを下げます。一方、警察庁は、偽サイトへ入力されたOTPを犯人が即時に正規サイトへ転用する「リアルタイム型フィッシング」で二段階認証を突破する手口を公表しています。全国銀行協会も、端末感染等でOTPが盗まれる可能性を案内しています。

OTPの方式と注意点はワンタイムパスワードの解説、認証要素の違いは二要素・多要素認証の解説で確認できます。ネット銀行全体の防御レイヤーはネット銀行のセキュリティ解説が担当します。

2026年上半期の不正送金は253件・約20.7億円

警察庁の2026年(令和8年)上半期資料では、インターネットバンキングに係る不正送金事犯は253件、被害総額は約20億7,000万円です。個人と法人を合わせた集計で、個人だけの被害額ではありません。

253件不正送金事犯の発生件数
約20.7億円個人・法人を合わせた被害総額

半年の集計を過去の1年分と単純比較して、安全になったとは判断できません。メール・SMS・電話など接触方法にかかわらず、情報を入力・承認した場合は被害の表示を待たず銀行へ連絡することが大切です。

出典:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」19ページ

連絡先・相談先の使い分け

取引銀行

利用停止、不審取引、認証情報の変更、補償申出は取引銀行の公式窓口へ。公式アプリ、登録済みブックマーク、公式サイト、キャッシュカード等で案内された経路から番号と受付時間を確認します。

警察

不正アクセス・不正送金は最寄りの警察署等へ。サイバー事案のオンライン窓口からも通報・相談できますが、被害届は最寄りの警察署等へ連絡します。緊急は110、一般相談は#9110です。

全国銀行協会相談室

銀行へ相談した後の苦情やあっせん制度は、全国銀行協会相談室で確認できます。緊急の利用停止先ではありません。

確認した公式一次情報

本ページの最終更新日時点で確認しています。銀行の窓口、受付時間、認証機能、補償規定、必要書類は変更される場合があります。手続時点の取引銀行公式情報を確認してください。

記事の作成方法・責任主体

編集責任主体は金融ナンバーワンサイト編集部です。調査・構成・文章整理にAIを活用し、公的資料と銀行の公式案内を照合しています。実際の被害相談や補償審査を行った体験談ではありません。個別の被害・補償は取引銀行や警察へご相談ください。編集方針・調査方法をご覧いただけます。

まとめ|情報入力や不審送金は、公式経路で銀行へ連絡

偽サイトへ認証情報を入力した、OTPを入力・承認した、身に覚えのない送金や設定変更がある場合は、送金表示を待たず取引銀行の公式窓口へ連絡します。通知・取引履歴・URL・時刻を保存し、警察にも通報・相談します。

遠隔操作中なら被害端末の通信を切り、別の電話等で銀行へ連絡します。自分で詐欺口座へ振り込んだ場合は、警察と振込先金融機関にも連絡します。経緯が混在する場合も、銀行規定と事実関係に沿って補償・救済の手続を確認します。

平時は公式アプリ・ブックマーク、銀行推奨の多要素認証、取引通知、固有パスワード、利用範囲に合わせた振込限度額、端末更新を組み合わせます。

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